のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

なくなった映画館1

2013-02-25 | 映画
京極弥生座改め新京極シネラリーベが、2月15日をもって閉館しました。
ワタクシ自身もここ数年というもの、準新作の上映が主となった弥生座からは足が遠のいてはおりましたが、新顔の大手シネコンがショッピングモールと手を取り合って幅を利かせる一方で古顔の小さな映画館がなくなっていくというのは、やはり寂しいかぎりでございます。

振り返ればワタクシが京都に来た1995年には、あの界隈にはずいぶん映画館があったものです。
この度の弥生座を最後として、その全てが姿を消すか、シネコンへと転身してしまいました。

大きな手描き看板で三条通を飾った東宝公楽
『シンプル・プラン』のギョロっと目をむく3人や『スカーレット・レター』の涙を流すデミ・ムーアの顔が、濃ゆすぎてちょっと怖かった。

東宝公楽から数メートル西、河原町三条の交差点まで来れば、片側アーケードの下に(これまた今はなき)駸々堂書店、『カフカとの対話』や『ポオ詩集』や『魍魎の匣』を買った駸々堂が、そして上には京都スカラ座のネオンが目に入ったものです。

少し奥まった所にある美松劇場には、近隣のピンク映画上映館(八千代館)のポスターがずらずら並んでいる脇を通り抜けて『楽園をください』や『タイタス』や『耳に残るは君の歌声』といった佳品を観に行ったものでございました。

美松にほど近い京極東宝で観た映画には、なぜか「駄作とまでは言わないけどなんか微妙」なものが多く、しばしば釈然としない思いを抱きつつエスカレーターを下りて行ったものでございました。絵はいいもののストーリーがアレであった『スプリガン』や『スチームボーイ』、それからワタクシがアカデミー賞というものに対して疑問を抱くきっかけとなった作品、即ち『タイタニック』もここで観たような。
フランス発サスペンス・アクション時代劇withカンフー風味な『ジェヴォーダンの獣』を観たのもここであったはず。色々と(確信犯的に)無茶な映画ではございましたが、エンターテイメントとしてはなかなか上出来であり、何より悪役のジャン・フランソワ兄さんを演じる長髪のヴァンサン・カッセルがそりゃもう最高にイケていたので何もかもよしとして、パンフまで買ってしまったのでございました。

スカラ座と東宝公楽の間あたりに位置していた京都ロキシーでは『フェノミナン』や『イングリッシュ・ペイシェント』を観たはずなのですが、この劇場のことはほとんど覚えておりません。ここではよくも悪くも印象に残る作品と出会わなかったからかもしれません。MOVIXになった今もあんまり行っていないなあ。


次回に続きます。