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読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「白バラの祈り」

2006年04月19日 | 映画
『白バラの祈り』(ドイツ映画、2005年)

ナチスドイツという独裁政治のもとで挙国一致体制がとられているなか、ナチスに反対して反戦活動をしていたゾフィ・シュルとハンス・シュルという兄妹の最後の数日を描いた映画。もちろん実話にもとづいた作品ということだから、たしかにこういう立派な人がいたことをドイツ人は誇りとすべきだろう。あの時代にこうした反ナチの活動をするということ自体、じつに立派なことだ。

だが問題は、映画にある。この映画はいったい何なのだろう。この兄妹と仲間数人が反ナチのビラをつくり、電話帳で調べた住所に郵送する活動をしているのだが、ハンスが大学にも配ろうということになり、兄妹で授業中の大学構内に置きビラをしていく。ところがちょうど配布し終わって逃げようとする時に終業のベルがなり、学生たちが出てくる。ゾフィーは階段からビラを落としてまく。だがそれを見ていた管理人のような人の告発で、二人は逮捕され、ゾフィーは途中までは無関係だと逃げていたが、兄のハンスがやったことを認めたと言われ、やったことを認める。調書がとられ、仲間を教えろと脅かされるが拒否しつづけ、人民裁判が行なわれ、即死刑判決、即日死刑執行になる。

以上が、映画の展開なのだが、リアリティがまったくない。まるで自分たちは演技をしているのだから、本当に死刑にされるわけではないという匂いがぷんぷんしている。そこには恐怖も何もない。これからわが子が死刑になるのに、両親も駅で別れを惜しむかのような程度の態度。なにも、嘆き悲しめ、鼻水たらして泣け、とか言っているわけではないが、リアリティがまったく感じられない。それこそ紋切り型映画を見ているような印象を受けた。

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