読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『タルト・タタンの夢』

2015年04月22日 | 作家カ行
近藤史恵『タルト・タタンの夢』(東京創元社、2007年)

この前読んだ『ヴァン・ショーをあなたに』の前の作品のようだ。登場人物や舞台設定などは同じ。三舟シェフ、志村キュイジニエ、ソムリエの金子、ギャルソンの高築の四人。「パ・マル」というフレンチ・レストランが舞台。そこで起きる料理にまつわる事件というほどでもない事件を三舟シェフが見事に推理していくという展開をおきまりのパターンとした小説である。

いったいどんな人がこの小説を面白がって読むのだろうと不思議に思う。フレンチについての薀蓄が語られることもある。それが三舟シェフの謎解きのポイントになっていることが多々あるが、それだからといって、よほどフレンチに興味がなければ、面白いこともなんともない。フレンチに興味があるから手にとって読んでいる私でさえ、へぇーと思うだけで、その推理に特別感心するわけでもない。

そもそもこの小説で出てくるフレンチを何度も味わった経験がないと、読んでも面白くないだろう。それにフランスならいざしらず、日本で、こんなに客の好き勝手な要求に応えてくれる、それでいてリーズナブルなフレンチ・レストランなんかあるのだろうかと思う。まぁ東京は広いから、あるのかもしれない。

なんだかなーって感じの小説。

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