超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

THE NOVEMBERS/THE NOVEMBERS

2011-07-30 20:23:05 | 音楽(旧譜レビュー)





【もうこれ以上余計に生きても】

【もうこれ以上笑える気がしないから】 (最近あなたの暮らしはどう)





久々の旧譜レビュー。今日はTHE NOVEMBERSの「THE NOVEMBERS」です。



何気に一度も触れた事のなかったこのミニアルバム、
タイトルが示すようにこれが彼らの正式なデビュー盤になる訳なんですが
今聴いても
今のノベンバと大きく変わっている所は特になく
強いて言うならば今よりもギターロック成分は強めですけど
やっぱり自分的にはオルタナティヴバンドだと強く感じていて、
その要素は往々にして散りばめられています。
カッティングが気持ち良い「Exit」から、未だに根強い人気を誇る名キラーチューン「she lab luck」、
繰り返すように歌われるフレーズの強さ「最近あなたの暮らしはどう」、
ドスドスと心の奥まで強く鳴り響くようなミディアム・ブロー「ア_-オ」、優しくて悲しい「marble」、
そしてライブではいつもハイライト級のアンニュイで沁みる名曲「バースデイ」、
と当時こそそこまでハマらなかったんですけど
不思議と歳を重ねた今は
この詞世界も音の強さもメロディもどんどんハマってきてしまい、中毒にすらなるくらい。
キャッチーさに関して言えば正直今の方がずっと上ですけど
この頃のジワジワくる感じもこれはこれで素敵ですね。
初聴きでピンと来なくても
是非長い間味わって聴いて欲しいアルバム。
辛い経験とか悲しい出来事を経験したその後こそ思い切り響くアルバムかもしれません。

今が苦しくて、寂しくて、心空っぽで。
THE NOVEMBERSの曲には常にそんな生き難さが表現されてる訳ですけど
同系統のSyrup16gとかART-SCHOOLと違うのは
純粋にその風景と
その思想だけを切り取った形というか
五十嵐木下組ほど、そこまで熱心な描写をしてない印象で
でもその曖昧さが個性になってる印象もあって。
真っ直ぐに絶望を切り取ってしまったら彼らの二番煎じになってしまうけれど
ノベンバの音楽って云うのはふと感じる寂しい気持ちだったり
アンニュイな気分
やりきれない気分に作用するような・・・そして染み渡るような。そんな音楽になっていると思います。
例えば思いっきり沈みたい時に聴くのが彼らならば
その一歩手前で聴くのがTHE NOVEMBERSやPeople In The Box、みたいな。落ちるのではなく浸るときに。


【僕は今もずっとこの部屋で小さくなっていく
 同じ夢を見ている
 外は今もきっと誰かが犯されているのを忘れた】 (バースデイ)

退廃的で、耽美で、でもその瞬間こそが非常に美しかったりする、そんな世界観。
でもそういう嘆きだったり感情の吐き出しがあるのは
本当はまっすぐに
純粋に生きたいことの裏返しで
だからこそ同じタイプの人間にとっては一つの救いにも薬にもなりえる
そんな音楽の一つがTHE NOVEMBERSで、それはこのミニアルバムでも十二分に鳴らされていて。
風景描写だけで浸れる部分も大きいけれど
心の中にモヤモヤがある人物ほど
彼らの音楽って強く響く可能性が高いと思います。濃厚なアンサンブルに、グッと来るフレーズの数々。
この世界にたった一人取り残されてしまったような寂しい感覚。
その感覚はこの作品で特に色濃く鳴らされてるような。
そんな気もしますね。





来週は遂に新譜も出ます。
LOSTAGEの「CONTEXT」と併せて色々書けたらいいなあ。




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