goo blog サービス終了のお知らせ 

超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 10巻/伏見つかさ

2012-04-10 20:44:28 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない





伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」10巻読了。ネタバレ込み感想なので注意ですよ。








今回、我らが(?)桐乃ちゃんは割と出番少なめでした。表紙が新妻みたいだったので
割と期待した部分もあったんですが冒頭にかなりの量のニヤニヤを振り撒いて、後は裏方に徹した感じ。
しかし、それでも不思議と満足度っていうか興奮した度合いは相当高いんですよね。
最早群雄割拠になってきた感覚もある京介という存在の取り合い
その布石であると同時に、
桐乃が決めた判断も、行動もどれもが勇気に溢れたもので
ここまで読んで来た者からするとその成長っぷりが嬉しかったりもするんですけど
それでも桐乃の出番は少ない訳で
桐乃大好き人間からすると要所要所にしか登場しない構成を憂いてもまた仕方ない・・・とか思ってたんだけど
結局は最後までワクワクしながら読ませられっちゃったんだよねえ(笑)。
基本ラノベ読まない人間なのに
ここまで前のめりに読んでしまうものなのか・・・?っていう。
それもまた悔しくはあるんだけど。
やっぱり最後は桐乃ちゃんを目立たせて欲しいんだけど。
でも、今回の内容って絶対に「俺妹」って物語に於いて必要だとも思うからさ。
じゃなければ、なんで彼女に好意持たせたの?って話になるし
破綻しちゃいますからね。

その描き方がいかにもなハーレムものだったらきっと不満足だったんでしょうけど
でも何気に良く分かるっていうのか、、、
なんだろう、京介だったら仕方ないよね、っていう(笑)。
それ考えると桐乃って本当は最初から京介の本質なんてとっくに見抜いてたのかもしれないですね。
ある種過剰にも思えた妨害だったり嫉妬は、彼の本当の格好良さを知ってるから
それはもう幼い頃から見てきてる分余計なんだろうな。
そんな桐乃が思い描いてたであろう理想の兄がその姿を取り戻し始めた頃合から既に危険を察知し
自分の友達に近づくのを嫌がってた訳ですけど、あやせも骨抜きにされちゃったからね。
それも本人の知らない所でね。

これは完全に自分の予想になるんですが、きっと桐乃はその感情も見抜いてて
本当のところ彼女に気持ちを曝け出させる為に
自分を気遣って苦しい思いをさせない為に
自分の気持ちを犠牲にしてまであやせの想いを優先させたんじゃないですかね?あの嫉妬深い桐乃が
ここまでするだなんて普通に考えて有り得ないと思いますもん。
件のラスボス前に装備整えて~っていう発言も
個人的には対等に勝負する為って意味合いに思えるんですけどね。あやせの事も考えてるだろうし。
そう考えると桐乃って、元々なんですが本当に良い子なんですよね。
そういう他人の事を考えられる部分は
おせっかいな部分は
きっと京介に似た部分もあるのだろうけど、それでも彼女の成長や思い遣りを如実に感じられるシーンで。
確かに妹と云う特権を生かす事は彼女ならばいくらでも出来ただろうけど
そこで周りの人物の気持ちも殺さないあたりは
本当に立派だな、っていうか。
それに、京介自身の事も真面目に考えた上での提案ですからね。
確かに交代制だとか、ケンカだとか、そんな状況下で京介が勉強に打ち込める筈はないし
明らかに気が散ってた可能性の方が絶対に高いと思うんですよね。
あやせのモヤモヤも結果的に晴らして、
京介が真に打ち込める環境も作ってしまうっていうそのあまりの手さばきに感動した。
そんな桐乃の思惑が感じ取れる想像したくなってしまったからこそ
特に不満もなく最後まで読めてしまったのかもしれません。

個人的に、巻数を重ねる毎に桐乃の好感度が上がりっぱなしです(笑)。
だって本当に一番京介を想って行動出来てるの彼女ですし。
なんかもう、本当に好きですね桐乃。
夢オチとは言え、同棲生活の場面では最大限にニヤニヤ出来ました。
同時にあれが夢オチで半分安心もしたけども!まあ一番のニヤニヤは勿論冒頭なんですがね。



で、肝心のあやせの話。
なるほど、安易なハーレム展開に思えて
その実彼女がどれだけ京介に救われて来たのかはよく伝わる描き方でしたね。
同時に、なんで京介がこんなにモテるのかも伝わってくる内容で。
彼の場合、ちょっと優しくしてくれました~とか
気にかけてくれました~とか
そんなレベルではないんですよね。そのキャラの人生や価値観に本気で作用するほど
ガッツリとその人自身を救ってあげてるんですよね。それが読んでてよく分かって嬉しかった。
確かに、こんなに格好の良い男なんてそうそういないとは思える。
それに顔も微妙にイケメンだしね(笑)。
あやせにとっては自分の立場を犠牲にしてまで桐乃との不仲を解消してくれた恩人で
その後も何度も親身になって相談してくれて、
困った時は全力で力になって全力で怒ってくれる、そんな相手。
ヒロインズの中では沙織さんにだけ特に惚れ的な好意が無いのもよく分かりますね。
ハーレムに大した理由がなかったり、都合もまた全然悪くは無いけれど
その点この作品ってすっごく真面目なんでしょうね。
そこもまた好感が持てるっていうか。

今回、桐乃ファンである自分が満足出来ましたって内容の文章を書けるのは
そんなあやせの描かれ方も相応に良かったからなんですよね。
彼女が最後涙流したのは
恐らくは桐乃に対する罪悪感があるから、それでも溢れ出る気持ちを抑えられなかった、から。
作中のセリフでなんで桐乃が妹もののゲームやアニメ云々~ってセリフあったけど
本当は自分の願望を託してるって事実も
きっと彼女は見抜いた上でああいう質問をしたんでしょうな。
それもまた鈍感な京介を試したのかもしれないけれど。
ただ、そこで最後のストーカー事件の京介の活躍によってタガが外れてしまったというか
例の京介の嘘発言に対する真意も知ってしまった事で
抑えられない気持ちが溢れ出てきてしまった
その結果がラストシーンに繋がってるのかな・・・と。そうやって色々想像して考えたら
本当名作じゃね?っていうか、微妙に嬉しいのに切ないっていうか。
まったく罪な男だよ京介って奴は。
でも、そんなあやせの覚悟も、決意も、気持ちも、如実に伝わって来ちゃって
あやせファンでもないのに何故か妙に感動しちゃってる自分も居たりなんかして。
う~んやはり「俺妹」って作品は凄い!と断言せざるを得ないな。
最終的には納得させられてしまう。
多分結果は、正直それでも桐乃を選ぶような気はするんですが、そうだとしてもこの引きは最高ですよね。
あやせってキャラクターの可愛さが全部ワンシーンに凝縮されているような感覚でした。
そう思わせられるっていうのもこの作品が真面目である一つの証拠なんだろうな。


さて、まだちょっと続きますよ(長くて申し訳ない)。
なんか今回語りたい事が多すぎる!
当然無視出来ない事柄として沙也佳ってストーカー小学生の件がある訳ですが・・・。
かつてのあやせみたい、或いは本人そのもののような女の子で。
自分の理想を押し付ける類の女の子。
個人的には私が大好きな漫画「明稜帝梧桐勢十郎」のこんなセリフを思い出しました。

「ふざけるな オレは生まれた時からずっとこうだ
 おまえが勝手に自分の理想を押しつけたのだろう」

これまた、主人公の勢十郎をストーカーしてた女の子に言い放つセリフなんですが
正にこの通りだと思うんですよね。人間は人形ではないから決して自分の思い通りには動かない
自分が好きなように行動してる分、相手も好きなように行動してるんです。
その帳尻が合うなんて事は絶対にないし
事情も知らずに相手を否定して攻撃するのは無知だし傲慢な行為でしかない。
まだ小学生だからこそ京介も甘い判断に出たんだろうけど、
それ以上に
まだここからだったら引き返せるって考えもまたあったんでしょうね。
子供を叱ってあげられるのは大人でしかないですから。

京介が言った通り、誰にだって変な部分や嫌な部分は確実に存在する。
自分の理想通りの人間なんて
それこそ画面の中でしか存在し得ないですよ。
でも現実はそうじゃないから、重ならない部分のが逆に多い訳だから、で、それはきっと
相手だけではなくその子自身もまた傍から見たら変な人間なんですよね。
だから、結局はみんな変なんだよ
変わんないんだよ、っていう。
一方的に説教する訳でもなく、かといって叱るだけの怖い大人でもない
実に絶妙な方法で説得して来たなっていうか・・・。確かに甘いのは事実ですけど
はっきり分かってもらうのと分からないまま叱られるのとじゃ
その後の生き方もまた違ってくるとは思いますからねえ。
ある種、あやせの為に、彼女が純粋に大好きだからこそ行動する沙也佳ちゃんだからこそ
彼女の想いも汲んだ上で事件の解決を京介は図ったんでしょう。
それって考えてみれば最も凄い事ですよね。
傷は出来たけど
この先めいっぱい叱られるだろうけど、少なくとも彼女の人生がダメになる予感はしないですからね。
それもまた京介が京介である所以の一つなんだろうなあ。また一人の人生を救った訳だ。
これで後々彼女にも惚れられたりしたら怖いとは思いますけど(笑)。
まあ正直この男がモテるのは仕方がないって感じですよね。
自分が女でもこんな出来る男がいたら普通に惚れちゃってたかもしれないな。
そんな京介も今や普通に親に期待されたり、頑張る気持ちを取り戻せたり、桐乃様様って感じはする(笑)。
最終的には謝罪も処罰もこなして、また雪解けが出来る日も個人的には楽しみです。


で、個人的に触れたいのがいよいよクライマックスも近いんじゃないかな?って事。
ラブコメでライバルキャラが告白するって展開は
ある意味畳むフラグでもありますし
ちゃんと面白い展開のままにきちんと畳んでくれる予感も往々にして伝わったり
遂に麻奈実と桐乃の真剣勝負の段取りもついてたりして(笑)。その辺も今からすっごく楽しみです。
麻奈実ってある意味京介にとっては一番自然にくっ付く可能性が高いキャラだから
それもあって昔から毛嫌いしてたと思うんですけど
ここで本当に決着付ける時が来るのかと思うと・・・ゾクゾクしますね。
内容的にはあやせの巻ではあるものの、
桐乃の約束の件だったり、その麻奈実と桐乃の仲直り(という名のぶつかり合い)の件だったり
今後の展開や最高潮を匂わせる複線や発言もぞくぞくと登場して
終盤を盛り上げていく気合は十分に伝わったりしてね。それ妄想するだけでもちょっとニヤニヤします。

黒猫さんの発言通り、本当に桐乃と京介が■■■■する展開があればいいのにな(笑)。
その発言を読んで真剣に実現を願ってしまった自分がいます。
結ばれて欲しいっていうか。
だからこそ、桐乃の本音の本音の告白を先延ばしにしてるんじゃないか、って思いますし。
何にせよそんな今後の展開を示唆させる発言も出来来て、そういう観点でも楽しめた新刊でした。
この先は結構辛い展開等も待ち受けてるだろうけど、
それ含めて11巻以降を読むのが楽しみで仕方ない。
今や自分にとってすっごく大きな存在になってます。「俺妹」。心から大好きって言える作品ですから。

最後に、冒頭の家族会議のシーンは過去最高潮レベルでニヤニヤ出来ました(笑)。
桐乃の反応が可愛くて可愛くて!
いちいち動揺しちゃってる幼さが最高ですね。
冷蔵庫のプレゼントだったり、ちゃんと過去のピアスの分とかも返してくれてるじゃん。
出番は少なかったけど、そんな要所要所の輝きは何気に凄いとも思ったので結果的にはやっぱ満足。
一番欲しいタイミングで「がんばれ」メールを送ってきたのも良い美談でした。
そんな今巻最大の功労者である桐乃ちゃんに乾杯!って〆で。







今まで一度もラノベに手を出さなかった自分がここまでこの作品にハマれてる事が驚き。
大抵は主人公の説明口調とか、まどろっこしい展開や表現で途中挫折するのが常套だったんですが
「俺妹」の場合はキャラに持たせてる含みや、その裏の感情を探るのが個人的にいちいち面白いので
つい夢中になって読んじゃうんだよなあ・・・。あんまり無駄がないように感じるんですよね。
本当にアニメ化してくれて出会えて良かったなってしみじみ思います。
あのアニメがなかったら原作読まなかったと思いますから。
その意味でもやっぱ桐乃ってキャラは偉大です。こんなキャラを待ってた!って感じですね。次巻の活躍も期待。


今までの感想はこちら
俺妹 1巻感想
俺妹 2巻感想
俺妹 3巻感想
俺妹 4巻感想
俺妹 8巻感想
俺妹 9巻感想




最新の画像もっと見る

コメントを投稿