超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 11巻/伏見つかさ

2012-09-08 04:18:37 | 俺の妹がこんなに可愛いわけがない






ちょっと泣きました・・・。








ああもう、書きたい事が湯水のように溢れ出て来て仕様がないんですけど・・・。ネタバレするので気を付けて。
凄い納得もしたし、辛かったね、とも思ったし、可哀想とも思ったし、怒るような気持ちもあるけれど。
でもやっぱ、一番最初に感じたのは「本当は誰も悪くない」って事なのかなあ。
そう思わされるって事は物語自体が秀逸な証拠なんですけど。
だって、本音言えば誰も責められないですし。
京介もね
本当は最初からある程度は桐乃の事が好きだったっていうのが分かったし
だからこそ、彼女を突き放したのもいけない事だと感じるし
でもそれもねえ・・・
皮肉だけど「仕方がない」んだな。まだ中学生だもん、普通はそんな頑張れないって。
その結果が更なるコンプレックスを生んだかと思うと色々と思う所はある・・・っていうか
本当に真実はドラマチック過ぎたね(笑)。
まさかここまでドラマチックなネタバレが来るとは思わなかったけど、
でも結局桐乃は本当のツンデレじゃなかったし、
実質ツンデレキャラなのは逆に京介の方が近いなとは感じた
その意味じゃツンデレのようでツンデレじゃないツンデレ風キャラを生み出したのは一種の発明かと(笑
いやだって、桐乃みたいなキャラクターってマジでこれまで見たことないからなあ。
だから、繰り返し読むのにも適してるんですよね、「俺妹」って。
一回読んで使い捨てって作品ではなく
隠された意図をもう一回探りに行くのも面白いというか。
いや~、これは良い買い物をしてるねって自分で思いましたわ。凄く長く付き合っていけそうな作品だもの。


こういう複数ヒロイン系のラブコメの場合、
得てしてメインヒロインの物語になりがちと言いますか
主人公が感情移入の為の道具なパターンもよくあるっちゃあるんですけど
「俺妹」はそういう作品群とは一線を画してるような感覚があって
だって11巻の6割ぐらいが彼の掘り下げですから。
で、それがまた面白いんですよね(笑
自分完全なる桐乃派で、桐乃の出番が多ければ多いほど喜ぶ人間なんですけど
でも、京介の幼さ故の失敗もまた痛くてある程度共感も出来てね・・・。
自分が特別な人間だ、って感覚は
多分中学生までは持続するとは思います
でも、私の場合思ってるだけで実行には移さなかったんですが
彼は中途半端に実行出来る能力があった為に、そこで勘違いをしちゃって
それが取り返しの付かない失敗に発展する訳なんですけど
そこで一回「挫折」を経験して
初期のような状態になった・・・と言われると「なるほど」と思えるし、その後の活躍も
「根源的なものなんだろうな」と思える、要するに京介って主人公の肉付けを
高坂京介って人間自体をしっかりと描いた巻になっている訳で。
麻奈実の言うとおり、
「そんなに頑張り過ぎないでも」と思う気持ちもあったし
その辺りで多少共感出来ない部分もあったけど、それ含めて違う人間
自分と同じ特別に憧れて無力を悟ったただの人間という事実
それが分かって
痛いくらいに分かって
麻奈実の例のトラウマ台詞に完全に泣かされて・・・。
麻奈実のやった事は、結局長期的に考えれば単なるその場しのぎでしかなかったけど
でも確かにそれで京介があの時救われたのも事実であって。
何気に、凄く嬉しい言葉でもありますよね。
結果的にそれは優秀な妹へのコンプレックスに変わってしまったけれど
それまであんまり好きじゃなかった麻奈実、要するに桐乃派にとっての最大の天敵を(笑
この巻で、素直に、初めて・・・認められたような気がします
だって彼女のあの台詞で泣いちゃったしね。
典型的な幼馴染キャラ、噛ませ犬に思えてその実本当に偉大なキャラだなー、と。そう思わざるを得ないですね。


ただ、ぶっちゃけそこから京介に「地」を取り戻させた事を考えると
やっぱ本当に京介を救ってくれたのは桐乃だとも思う
麻奈実はクスリを与えただけで
それが根本的な解決になるとは個人的には思えない
その時は絶対にその言葉が正解だと感じたのは事実ですけど
いつかは自分の内に眠るコンプレックスと対峙しなきゃいけない時が来る
そんな機会を与えてくれたのは間違いなく桐乃だし
本来の京介を
京介の欠片を再び取り戻させたのも桐乃
あのまま挫折したまんま生きて京介が本当に幸せになっていたか?と言うと・・・微妙ですよね。
胸の内には半永久的にコンプレックスが眠る訳ですし、実際今の京介のが明らかに
男としては格好良い。
その影響で倍率は高くなってますけど(笑
桐乃は本当は他意があり過ぎるくらいにあるキャラなので
ついつい誤解されがちな一面がありますけど
でもきっと、ここまで読んで来た方ならそんな感情もなくなってる・・・とは個人的に思いたい
麻奈実との険悪沙汰も、恋愛感情以外の理由も入ってた訳ですしね。
どっちが正解もクソもないですけど
最終的に京介は、「頑張れる自分」を取り戻して
その上で「頑張り過ぎない自分」もまた意識するようになった
それが証拠に今は大体元々の知人の為だけに
自分の手の届く範囲でのみ頑張るキャラクターになってますから。それがまた京介らしい。
なんか、こう書いてると凄い壮大なお話のようにも思えますけど(笑 ついつい深く感動してしまう。
やはり私にとって「俺妹」という作品は今や完全にオンリーワンになってるみたいです
とにかくどのキャラもいじらしくて、ちゃんと自分の意思があって・・・
凄く「人間的」なんですよね。
動かされてるのではなく、動いてる感覚?
だから、ドラマを見守ってる気分というかね。最後まで、みんな、頑張って欲しいですね。



「俺妹」は普通のラブコメというよりは
それぞれにテーマ性があって、それもあって楽しく読めるのもいいですね。
「したいこと」をした後に起きる代償だとか
「普通」という誰もが向き合わなければいけない絶対的なコンプレックスとの向き合い方だったり
「誰か」が側に居る事がどれだけ人間に影響を与えるのか?って根本的な事実
結局は「正しさ」なんてどこにも存在しないですけど、
でも登場人物の行動の一つ一つに頷ける隙間は確実にあって
だからこそ思い返すあの日の自分や
さり気に共感もあったり、
様々な角度から読んでみて考えてみて、「本当に楽しい!」と思えるような
私にとってはそういう作品ですね。今回も今回で完敗でしたし、引きがどうって話ではなく
単純に「面白い」からこそ早く次を!って気持ちになれたその密度もまた素敵で。
まあ、次は所謂フィナーレ、端的に最終巻になっちまうんですが
それもまた
余計な引き延ばしが無くて潔いとも言える
個人的にはアニメからの逆流とは言え、原作を読んで心から面白い!と思え感銘を受けた身なので
本音を言うとめちゃくちゃ寂しいです
おまけに桐乃ENDになるって確約されてる訳でもないしね(笑
ただ、やっぱり前述の通り京介を本当の意味で救ったのは桐乃だと思うので・・・。
それを考えると、本心から彼彼女の幸せを願わざるを得ない
最初から最後まで私は絶対的に桐乃派でしたが
ただまあ、何気に嫌いなキャラもいないと言えばいないので(笑)。「みんな」の幸せも祈りつつ。
最終巻が届く日を心からお待ちしております。今回も、最高に面白く感動出来る内容でした。
桐乃ちゃん、最後まで頑張れっ!!







「俺妹」を読み終えた後に感じるこの何とも言えない充足感はなんなんでしょうね?
なんか、今すっごく気持ちがフワフワしてますけど
やっぱ大好きだなと思った
櫻井さんも櫻井さんで、「振ってくれて・・・ありがとう」って。切ないね。
でも引導を渡す事は絶対に重要だと思うので、その意味でも京介はやっぱ格好良い主人公です。
ヒーローでもないし、スーパーマンでもないけど、それでもやっぱ格好良い。
だからこそ、桐乃がそうなった理由も納得出来るし
それは他の女の子も・・・。

そして、何気に「SKET DANCE」ネタが出てきたのが嬉しかった(笑)。
一回「SKET DANCE」でもタイトルがネタに使われたのを思い出しますな。
京介は藤崎みたいになれなかった男の子なんでしょうね。

BGM:(I'm not)by you/Syrup16g




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