超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

Syrup16g全曲レビューその61「テイレベル」

2013-08-13 21:33:04 | Syrup16g全曲レビュー


















テイレベル              ミニアルバム「My Song」収録

















高校生の時、この曲を初めて聴きましたが
その時は非常にSyrup16gらしい曲だな~って印象が強かったんです
ただ今聴くと切り口が違うだけで名曲「ハピネス」と楽曲観を共有している風にも聴こえるというか
有り体に言えば「人間としてはまあザラ=無個性で独自性を感じられない」所謂普通でしかない人間であって
それを受け入れて認めて生きなければいけない痛みとジレンマ・・・のようなものが
この曲でも歌われているように感じられます
それはパッと聴き諦めのように思えて
その水面下では「人間としてはまあザラ」な自分を認識させて前に進ませようとする歌でもある
今では「らしい」という初聴きの印象に加えて深い葛藤や自己啓発の要素も感じられるようになりました

一度自己を見つめ直す、という意味合いでもこの曲に立ち返るのも無駄ではないと思います。


サウンド的にはグランジ色強めのいかついロックナンバーになっていますが
2番のAメロではこれまた若干お洒落でソウルフルなコーラスワークが光っていたりと
単調にならない工夫も見受けられて聴き直してみるとやっぱ練りこまれてるなって
淡々と無気力に歌われる始まりから
言い訳をサビに使う事で逆に不出来を自覚させる手法を含めて
一つのコンセプト・ソングとして苦悩の歌として上手さを感じる一曲です
過剰なまでにダークな世界観、過去を曝け出して責め立てる自己批判の要素と併せて
ここでしか聴けない曲になってると思うのでこのミニアルバムを購入する意義の一つにはなり得るかな、と。
自分が正しいのか間違ってしまったのかで心のモヤモヤが晴れない気分の時には是非と言いたい一曲です。









そんなんかい そんなんでカッコつけてんだ
大丈夫 全部バレてんだ


自分ではスマートに振舞っているつもりでも周りから見ればその下らない自尊心も
余裕こいてる浅はかで滑稽な甘さも本当は見透かされているものです
それで大丈夫だなんて思ってるのは自分だけでしかない。
このフレーズ自体はメッセージ云々でなく五十嵐隆自身の自問自答に近いと思うんですけど
そうやって傍から見ればスマートではない個を曝け出す事によって人によってはある種の助けにも
また今日を生き抜こうとする力にもなる、っていうのが何とも素敵だなと思います
幸せな人を見るよりも、個人的に足掻いてる人を見る方が勇気に変わるから。






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