Syrup16g全曲レビューその5「もういいって」

今日からまた頑張っていきます。
その一発目、Syrup16g全曲レビューからスタートです。
今日はこれの他にもいくつか更新するのでよろしくです。
まあ予定を守れない人間なんですが（笑）。





もういいって　　　　　　　アルバム「delayedead」収録



非常にリズムの気持ちいいアッパーなロックチューン。
特に３ピースでありながら音の躍動感や厚さ、ダイナミックさはこれ以上ないくらいスパッと出ています。
一気にドカン！と来るような。
先天性の強い曲だと思います。
リアルタイムで「delayedead」がリリースされた時も、まずこの曲を一番にヘビロテしてた気がする。


んで、タイトルから分かるように、完全に自暴自棄になっている曲です。
シロップはそういう曲が他のアーティストに比べてやたら多いバンドなんですけど、
この曲はその中でも一番強く「ヤケクソ感」がパッケージされているのではないでしょうか。
歌い方もやや投げやり気味なんですが、
それが最高に格好良い！と思えてしまうのはSyrupの凄みの一つだと感じています。

一言で言うと、キャッチーなヤケクソチューン、というとこでしょうか？
ヤケクソにキャッチーも何もあるのかよ、って意見はさて置き。



個人的に好きな歌詞がこれ。


「どっかの街で爆発　どうせ俺には関係ないけど」


これ、みんなが思っていても中々口に出せないことを代弁してくれてると思う。
残酷だけど、
現実はこんなもんなんですよ。と。
みんな自分のことで精一杯というか。
それを取り繕って、わざわざ遺憾な立ち振る舞いをするのは作為的なんじゃないか？という。
本当に思ってることを言え！と。



この歌詞も素晴らしい。


「時間通りに起きて　やっているのは誰かの代わり」


極端に能力がない人間や、理想ばかりが高くて実際に伴っていない人間は誰しも思うんではないでしょうか。
　「誰かの代わり」の部分は、
最後にコブシの効いた歌声に変わるのがとてもいい感じです。
気持ちが伝わってきて。



極めつけ、サビの歌詞。


「夢は叶えるもの
　人は信じあうもの
　愛はすばらしいもの

　もういいって　」


この「もう、いいって～！！」の部分は聴いてると凄まじく高揚しますね。
歌詞だけ見てると嘆いてるだけじゃん！と思う人もいるとは思いますが、
これがロックに乗せると非常に合うんですよ。
リズムにもピッタリ合って、これ以外の詞はないんじゃないか？と思うくらい。
ざらついたギターの感触も、
跳ねまくってるベースとドラムもフレキシブルで気持ちがいいんだなあ。


最後にむちゃくちゃにギターをかき鳴らすところなんかも最高です。



個人的には、体の中に溜まっている鬱憤やモヤモヤを気持ちよく吐き出す為の一曲なんじゃないかな、と。
前向きな人間であっても、こういう気持ちになることもあるんではないでしょうか。
いい具合に感情に作用してくれる名曲です。