絹の白生地を、地元の知り合いの奥様からたくさんいただきました。ずっと和裁をしていらした方で、長じゅばんや着物の端切れや反物をいつか使おうと思ってしまっておられたものを、染色に役立つなら、とくださったのです。
日本産の繭からとった絹糸で織った、美しい布。手触りがとても気持ちよくて、あたたかい。さまざな織りの布があって、紅絹とか綸子とか、かなり高価な布もいただきました。すべて「正絹」です。
写真右上の、黄色っぽい色の折りたたんである布は、昔の子守半纏の裏地だそうです。奥様の話では、中に綿を入れたときにくっつきやすいよう、少し毛羽立った絹地を使ったのだそうで、触ると確かにふわっとあたたかく、張り付くような感じがします。
左手前の巻きになっている布は、絹糸の端糸をつないで長い糸にし、その糸で織ったもの。この地域では養蚕が盛んで、繭を売って生計を立てていた家が多かったのですが、絹糸を紡いだり織ったりする仕事は、大きな工場で行われていました。それで、工場から織り糸の端を安く仕入れ、手でつないで玉にするのが、お年寄りの女性の仕事だったとか。そしてその糸を遠くの織り屋に送り、布に仕立ててもらって、嫁入りの道具にしたのだそうです。
話には聞いていて、つないだ糸もいただいたことがあるのですが、織った布を見たのは初めて。ところどころ糸の継ぎ目が厚くなっていてそれが模様のようになり、味わいがある布です。
草木染めをはじめてから、お蔵にずっとおいてあったという古い白生地の端切れなどをいただくことがたまにありましたが、こんなにいろいろな種類の織りの白生地をいただいたのは初めて。それに、生地の状態がかなりいいのもありがたい。
生地に茶色の班点がついていることがあり、古いから仕方ないな、と思っていたのですが、今回下さった奥様の話では、あのしみは、生地につけた糊がかびたものだとか。その糊がこちらの生地にはついていないため、しみができていないのだそう。でも、それだけでなく、奥様が毎年すべての布をきちんと虫干しなさっていたので、いい状態を保つことができたようです。
一般に動物性の繊維は、植物性の綿や麻とちがって、草木染めしやすいことになっているのですが、いざ染めてみると、必ずしも絹だから染まりやすいとはいいきれないこともあります。一口に絹といっても、繭のよしあしや織り方によって、絹の生地の質が変わるからだとおもうのですが、「もしかしたら化学繊維が混じっているのではないかしら」と疑いたくなるほど染まりつきが悪いこともあります。
以前、絹100%と書いてあるスカーフ生地と、今回いただいたような白生地を一緒に染めたことがあるのですが、色の冴え方がかなり違っていました。昔の白生地の色のつき方はすばらしかった! 「正絹」ということばがあるということは、「絹100%」ではない「絹まがいの絹」も存在しているということなのかもしれません。
こちらは、納屋にずっと保管してあった繭のくず。ご主人が出してきてくださいました。養蚕をなさっていた当時は、この綿のような塊から、真綿を作っていたのだそうです。紡げば糸にもなるそうですが、蚕の糞や殻のようなものが混ざっているので、まず洗うところからはじめる必要があります。枯れ草や糞のこびりついた羊の毛を1頭分洗ったことがあるので、洗い方さえ教えてもらえば、なんとかできそう。そのあとは、紡ぐことは私にはできないので、染色して絹のボールのようなものができたらおもしろそう。
昔の貴重な布や真綿の材料をたくさんいただき、いささか興奮気味で帰途に就きました。これから採れる草木で、いろんな色を出してみたいと思います。
日本産の繭からとった絹糸で織った、美しい布。手触りがとても気持ちよくて、あたたかい。さまざな織りの布があって、紅絹とか綸子とか、かなり高価な布もいただきました。すべて「正絹」です。
写真右上の、黄色っぽい色の折りたたんである布は、昔の子守半纏の裏地だそうです。奥様の話では、中に綿を入れたときにくっつきやすいよう、少し毛羽立った絹地を使ったのだそうで、触ると確かにふわっとあたたかく、張り付くような感じがします。
左手前の巻きになっている布は、絹糸の端糸をつないで長い糸にし、その糸で織ったもの。この地域では養蚕が盛んで、繭を売って生計を立てていた家が多かったのですが、絹糸を紡いだり織ったりする仕事は、大きな工場で行われていました。それで、工場から織り糸の端を安く仕入れ、手でつないで玉にするのが、お年寄りの女性の仕事だったとか。そしてその糸を遠くの織り屋に送り、布に仕立ててもらって、嫁入りの道具にしたのだそうです。
話には聞いていて、つないだ糸もいただいたことがあるのですが、織った布を見たのは初めて。ところどころ糸の継ぎ目が厚くなっていてそれが模様のようになり、味わいがある布です。
草木染めをはじめてから、お蔵にずっとおいてあったという古い白生地の端切れなどをいただくことがたまにありましたが、こんなにいろいろな種類の織りの白生地をいただいたのは初めて。それに、生地の状態がかなりいいのもありがたい。
生地に茶色の班点がついていることがあり、古いから仕方ないな、と思っていたのですが、今回下さった奥様の話では、あのしみは、生地につけた糊がかびたものだとか。その糊がこちらの生地にはついていないため、しみができていないのだそう。でも、それだけでなく、奥様が毎年すべての布をきちんと虫干しなさっていたので、いい状態を保つことができたようです。
一般に動物性の繊維は、植物性の綿や麻とちがって、草木染めしやすいことになっているのですが、いざ染めてみると、必ずしも絹だから染まりやすいとはいいきれないこともあります。一口に絹といっても、繭のよしあしや織り方によって、絹の生地の質が変わるからだとおもうのですが、「もしかしたら化学繊維が混じっているのではないかしら」と疑いたくなるほど染まりつきが悪いこともあります。
以前、絹100%と書いてあるスカーフ生地と、今回いただいたような白生地を一緒に染めたことがあるのですが、色の冴え方がかなり違っていました。昔の白生地の色のつき方はすばらしかった! 「正絹」ということばがあるということは、「絹100%」ではない「絹まがいの絹」も存在しているということなのかもしれません。
こちらは、納屋にずっと保管してあった繭のくず。ご主人が出してきてくださいました。養蚕をなさっていた当時は、この綿のような塊から、真綿を作っていたのだそうです。紡げば糸にもなるそうですが、蚕の糞や殻のようなものが混ざっているので、まず洗うところからはじめる必要があります。枯れ草や糞のこびりついた羊の毛を1頭分洗ったことがあるので、洗い方さえ教えてもらえば、なんとかできそう。そのあとは、紡ぐことは私にはできないので、染色して絹のボールのようなものができたらおもしろそう。
昔の貴重な布や真綿の材料をたくさんいただき、いささか興奮気味で帰途に就きました。これから採れる草木で、いろんな色を出してみたいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます