アンティマキのいいかげん田舎暮らし

アンティマキは、愛知県北東部の山里にある、草木染めと焼き菓子の工房です。スローライフの忙しい日々を綴ります。

GONZORE TRAILの森を訪れました。

2020-09-17 10:56:38 | 小さな旅
   足助の過疎の集落に住んでいる知人の藤澤あやさんが、婚家先の持ち山を「GONZORE TRAIL」と名付けて整備し、美しい森に変えつつあります。しばらく前にこの話を聞いてから、ずっと訪れたいとおもっていましたが、昨日やっと願いが叶いました。

   手作りの木の橋を渡ると、杉やヒノキの針葉樹の森が広がっています。針葉樹の森と言っても、かなり間伐してあるので、明るい。木々の向こうには、清流が流れています。

   川のある場所は、森からすぐ。森と川が一体になって、あたりの景観を形作っています。そのせいか、木々の緑を見ながら聞く川の音が、ことのほか心地よく響きます。

   針葉樹のほか、カエデ類などの雑木も。古い木にからみついた太い蔓は、サルナシかもしれないとのこと。1町歩ほどの広い森には、コケや小さな植物、実生の木など、無数に生えています。

   細い木の株を覆った苔。かわいらしい。

   実生のねむの木。こういうのを見て歩いていると時間を忘れそう。

   朴の実。初めてみました。大きさはこんなです。

   もう、枯れていますが、とげとげ。クリのイガのようなものだとか。

   森の端のほうに横たえられた倒木。あやさんの夫君が川から運び出し、この場所にしつらえたのだそうです。揺れるベンチになりました。ここに座ると、森全体が眺められます。

  彼女たちは、今年の冬、この森の整備に着工。小さなお子さんもいっしょにご家族で作業を開始。標高600mにある寒い山の中で、笹竹の駆除にいそしみました。

   「私が住んでいる集落は、6軒ある家のうち、実際に住んでいるのは4軒だけ。子供がいるのはうちだけです。いまはみなさんまだお元気ですが、いつかこの集落が消滅の危機に見舞われることは必至。すばらしい場所なのに、朽ちていくのをただ見ているのはつらい。森の整備を始めた1番の目的と動機は、地域に人の動きを生み出し、地域の存続を目指すきっかけにしたかったからです。この土地の良さをまず知ってもらいたい。良さを感じてもらえる場所を作りたいとおもいました」

    はじめは、自転車が走れるトレイルを作って、人々が訪れる場所にしたいとおもいましたが、整備している間に、自転車のための場所だけにしてはもったいないと思うようになったのだそうです。

    彼女自身が森で過ごす時間が長くなるにしたがって、木々のにおいや風、川の音などが醸し出す心地よさに魅せられたのでしょう。わたしも、この日、数時間いただけで、なんだか胸が開くような気持ちよさを味わいました。

    この夏、彼女たちは、地域の方たちを呼び、山でのご飯会を開きました。過疎化が進むうえに、covid19禍でさらに人が集う場が減ったこのごろ。お年寄りたちはあやさんたちの計らいにとてもお喜びになったそう。この会はまたこの秋、開く予定だそうです。

    こちらは、デザイナーでもあるあやさんが考案したオリジナルTシャツ。鹿の角に山と川が配されています。

    シャツの前部分。木に寄り添うように人が座っているイラストです。書いてある言葉はドイツ語。「Waldeinsamkeit 」の後に地名が続いています。

   あやさんのFBの投稿によれば、「ドイツ語で、「Wald(ヴァルト)森」と「Einsamkeit(アインザムカイト)一人でいること、孤独」を合わせて「森の中に一人でいる気分」という意味です。森で孤独⁉︎‥ちょっと「怖い、寂しい」と思い浮かべがちですが、ドイツ語では、ポジティブな意味で、「自然との繋がりを強く感じて、リラックスしているような瞬間」の事を指します。森の中で、自然と共に在り、自然と一体化して、ゆったり過ごすようなイメージの言葉です。日本語にはない言葉ですが、まさに!私たちが作りたいフィールドを説明できる言葉です。MTBでももちろん遊べて、そして、自然の中で、ただ「自分で在る」ということを、ゆったり心地よく感じられる場所。自分のあるべきエネルギーを受け取り、満たせる場所。そんな場所です。(中略)アーシングや瞑想などのワークも考えています」とのこと。

    私はこの「Waldeinsamkeit 」という言葉に惹かれて、たぶんはじめて、オリジナルTシャツというものを買いました。選んだ色は「ダークフォレスト」。深い森の色です。きのうは、このシャツを着て森に入ったのですが、まさにこのことばどおりの気分を味わいました。

    お昼ご飯には、先週石窯でやいた黒パンを持参。杉の薄板のお皿に並べて木のカウンターに載せると、あまりに様になったので、うれしくなりました。森にはドイツパンがよく似合う。持参したナスのペーストとラフランスのジャム、あやさんの作った春雨と卵のスープ、キノコのアヒージョなどで、おなかも満喫。

    この日の帰り、同行した友人と話していて気がついたのですが、私はこんな山里にいても、木々の間を自由に歩きまわれる森に入ったのは、たぶんはじめて。この近辺には、きららの森や面の木など美しい森がたくさんあるのですが、どちらも、管理された散策路に沿ってしかあるいたことはありません。

    裏山など、その辺の山に分け入ることもありますが、そういうときは、木の株や竹の地下茎に躓かないように気を取られ、気分はなかなか愉快にはなりません。

   そんなことを思うと、自然を損なわないようにしながら、ゆっくり歩きまわることのできる森に変えてくださったあやさんたちのご苦労に、いまさらながら感謝の気持ちでいっぱいになりました。今度は、子供たちがこの森で自由に遊びまわる姿を見たい。倒木や木々は、かくれんぼうに格好の場所になると思います。

   帰る間際、あやさんがバッグから取り出したのは、松の精油。この森の松から採ったものです。松脂臭いかなとちょっとおもいましたが、そんな臭さは全然なくて、いつまでも嗅いでいたくなる芳香でした。この森にあるウスゲクロモジや、スギ、ヒノキなどからも精油を採り、様々な利用法を模索したいとのこと。あやさんの夢は広がります。
   ・・・・・・・ 
*GONZORE TRAIL オリジナルTシャツ 1枚 2800円(税込)
(ロッドにより価格が多少変動する場合があります。)
※このうち500円を環境活動家谷口たかひささん
https://m.facebook.com/chikyuwomamorou/
に寄付いたします。
GONZORE TRAIL のある御内の自然環境をずっと残したい。その為に、待ったなしの地球の状況を救う活動をしている谷口さんに、少しでも協力したい。との思いからです。
Tシャツご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。(以上は、GONZORE TRAILのFacebookから)
   





 




 
   
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