骨で聴く異世界

耳を使わずに「聴く」世界を旅します。耳をふさいでいても聴こえる世界です。

明了山正受院願光寺を骨で聴く

2013-09-02 18:20:27 | 骨で聴く巡礼旅
新宿区指定有形民俗文化財で、小野篁製作との伝承を持つ奪衣婆像があるのは、明了山正受院願光寺です。靖国通りに面していて、夜になると異世界を形成する新宿二丁目にある浄土宗の寺院です。

騒音の激しい靖国通りから骨伝導ヘッドセットとともに、正受院に小さな境内へと足を運んでみました。

正受乘蓮和尚を開山として文禄3年(1594年)に創建されたといわれています。
文禄年間といえば豊臣の時代で、文禄5年にはここ最近のように大きな地震が相次いだことでも知られています。この時代の天皇は後陽成天皇で、将軍は当然ながら不在の時代でした。

正受院が有名なのは奪衣婆像で、「綿のおばば」と呼ばれ、民衆の信仰を集めてきました。
咳止めや子どもの虫封じに霊験ありとされ、お礼参りには綿を奉納する習慣がありました。

江戸時代末期に流行した民間信仰の対象です。

もともとは三途川の渡し賃である六文銭を持たずにやってきた亡者の衣服を剥ぎ取る老婆のことです。奪衣婆が剥ぎ取った衣類は、懸衣翁という老爺によって衣領樹にかけられます。衣領樹に掛けた亡者の衣の重さに生前の業が現れるといわれ、その重さによって死後の処遇を決めるとされていました。

また正受院は幕末の会津藩主であった松平容保が葬られた寺院でもあります。
しかし、後に会津若松市の松平家院内御廟へ改葬されたため、現在の正受院には墓石も記念碑も何も残っていません。

喧騒の新宿の中にあるせいか、寺院の醸し出す荘厳さは皆無といえるかもしれませんが、文化を継承する寺院として、存在感は格別にあります。
何気なく靖国通りを通り過ぎるにはもったいないお寺です。

ただ、騒音が激しい地域でもありますから、好きなBGMを聴くには耳をふさがない骨伝導ヘッドセットを装着しての訪問が最適です。もちろん携帯電話の通話にも骨伝導ヘッドセットは有効です。

     ⇒ 新宿の街には骨伝導ヘッドセット

都内には意外な場所にとても価値ある名所・旧跡があります。
骨伝導ヘッドセットとともにぜひお出かけください。