いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

思考停止国会。 the Diet of suspended thinking

2018-11-24 19:56:55 | 日記
 (1)政府が来年4月から実施を目指す外国人労働力受け入れの入管法改正案の衆院法務委員会の審議が与野党対立し、野党委員欠席のまま同委員長の職権で強行されている。
 同法案は当初政府は無制限に受け入れる移民政策ではないとしながらも、外国人受け入れ就労者数も示されずに、在留期間や報酬水準などの肝心の核心部分がないまま審議入りして、ようやく法務省が業種別の受け入れ枠を示したと思ったら、外国人専門学校生の失踪者数に誤りがあって法案基本データが不正確だとして野党の反発を受けて審議ストップして、審議日程が詰まった同委員長の職権で強行開催しているものだ。

 (2)同法案の根幹部分は法案成立後に政府の基本方針と省令で決められるとあって、国会で具体的に審議しようもない空手形(blank bill)法案が提出されている。政府の準備不足はあきらかで、いくら何でもこれで政府が入管法改正案を成立させようというのは言語道断の国会侮辱、空洞化のあきれた行政だ。

 衆参で圧倒的な勢力を保持する与党勢力の数の力に頼った国会軽視の姿勢が常態化して国会で政治が行われていない実態を示すものだ。

 (3)いくらなんでも法案名と目的だけで中身のない法案を勝手に決めた施行開始日が迫っているからと国会審議に付すなどとは、議会制民主主義の基本精神を逸脱するもので、安倍政権の政治感覚、政治機能が労力を使わない形式化、形がい化していることを示すもので、まるで独裁国家の様相をみせている。

 報道によると01年以降、新たに公布された政令、省令(2万6300本)は法律(2150本)の10倍以上にのぼっている。対立と時間の国会審議を避けて、国民にはあまり目の届かない政令、省令で簡単に都合よく規則を決めていく政治体質だ。

 (4)政府機関の法案データの不正確、デタラメ基準などのミスリードは、この常態化した安易さ、都合主義の油断、いいかげんさがもたらしているものではないのか。
 しかし国会審議を見ていると、時の桜田五輪担当相答弁がらみで同大臣はサイバーセキュリティ担当も兼ねておりしかしパソコンを使ったことがないと答弁して、スマホはと聞かれてポケットから自分のスマホを取り出してこれは便利で毎日使っていると答弁するなどこれが予算委員会でのやり取りとあっては何をかいわんやである。

 (5)思考停止国会(the Diet of suspended thinking)であり、大臣、議員の報酬の返還を求めたい。世間では企業元会長の50億円超の巨額の過少記載が注目を集めているが、国民からすればムダな大臣の報酬は返還してほしいし、このようなムダな国会活動、審議費用も同じで情けない政治のあり様だ。

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ガバナンスの劣化。 decay of enterprise governance

2018-11-23 20:06:22 | 日記
 (1)ゴーン会長の有価証券報告書の50億円(本日さらに30億円発覚報道)過少記載不正の内部通報を受けて、日産内部では数か月前から社内調査を実施(報道)してゴーン会長のいくつものの不正を暴き出して、東京地検特捜部はゴーン会長を逮捕した。

 これを受けて日産取締役会は昨日ゴーン容疑者(会長)、ケリー容疑者(代表取締役)の解任を全会一致(同)で決定した。内部通報が発端ということもあり、クーデター説も伝えられて企業内権力闘争の様相もみせている。

 (2)ほとんどゴーン会長がガバナンスの実権を掌握して他の取締役員の報酬の配分権を握っていたといわれて、ゴーン会長も含めて経営、執行役員の一体だれがどれくらい報酬を得ていたのかもよくわからない状態で、ゴーン会長の50億円超にものぼる不正蓄財が続いていたと考えられる。

 ゴーン会長の不正ばかり突出しているが、この企業ガバナンス、経営執行体制に甘んじて放置してきた日産の企業体質は問われなければならずに、東京地検特捜部も日産社長から任意で事情聴取して法人の刑事責任も問う姿勢だ。

 (3)日産取締役会はゴーン容疑者(会長)、ケリー容疑者(代表取締役)の解任を決定したが、この不正を見逃がしてきた、見過ごしてきた日産経営執行役員の責任も同じく重く、果たして同罪ともいえる日産取締役会にゴーン容疑者、ケリー容疑者を裁く、解任する正当な資格があるのか疑問で問題だ。

 すでに日産は企業共同体として機能せずに、19年間のゴーン支配体制の中で独裁化企業支配の中にあって企業ガバナンスが緩慢とした中で従業員にはそんな企業に貢献し、企業利益をあげることを求めてきた背信、背任責任は重く大きい。

 (4)近年の日本経済を支えてきた企業の背信、不正横行は目に余るものがあり、それでいて(それだからというべきか)企業利益は好調を維持していることを背景に日本の企業ガバナンス劣化(decay of enterprise governance)、危機感はほとんど問題視されてこなかった。

 不正発覚のその都度、経営執行責任者が記者会見を開いてそろって頭を下げる謝罪シーンをくり返しみせつけられるだけで、企業としての社会責任ペナルティーは従業員の生活保障の論理の中で立ち消えていくくり返しだった。

 (5)どうして日本の企業ガバナンスがこれほどまでに劣化してしまったのか。高度経済成長時代もそういう企業体質はなかったとはいえず、しかし高度経済成長時代は豊富な労働力(団塊世代)の中で「戦後復興」の大きな社会命題に向けて一丸となって企業利益第一も日本経済復興への生産性、開発性、販売性、成長性にとってかわられて無我夢中のところがあった。

 いうなら企業不正など考えているヒマもなかった時代といえる。つくれば売れる時代でもあった。

 (6)そうして日本はGNP世界第2位(現在GDP世界3位)の経済国となりG7の主要国メンバーとなって安定を確保して、グローバル化時代の中で世界を相手の企業競争活動が激しくなる中で経済の成長よりは企業内利益が優先されて手段、方法論を選ばない企業不正が横行しだす。

 近年は企業内利益の内部留保が巨額となり、彼らは社会的還元、貢献をあまり考えない自己防衛の企業体質が目立つ。その象徴としての日産ゴーン容疑者の50億円の過少記載、不正蓄財による逮捕だ。

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敵基地攻撃能力。 ability to attack the enemy base

2018-11-22 20:21:55 | 日記
 (1)新しい政府の防衛大綱に「敵基地攻撃能力」(ability to attack the enemy base)保有の明記を見送る。一応、日本を標的にした弾道ミサイルの発射基地などを攻撃するものだが、北朝鮮、中国を対象としたものか、それぞれに朝鮮半島の平和安定のために緊張緩和を目指すことが求められている中で、日本の「敵基地攻撃能力」保有というのは国際関係緊張緩和からも逆向するもので理解できない。

 迎撃ミサイルとして陸上のイージス・アショアの配備も検討されており、安全への備えは必要だがそれがどこまでかは周辺国をむやみに刺激しないことが大切だ。

 (2)イージス・アショア配備も発射された弾道ミサイル感知の強力な電波障害が周辺住民生活にとって大きな健康影響被害を生じるもので、簡単にはいかない。北朝鮮のミサイル発射を想定したものだが、今年6月の米朝首脳会談を受けてその後の北朝鮮のミサイル発射は行われずに国際情勢を注意深く見極めて対応すべきものだ。

 「敵基地攻撃能力」ということになれば、憲法第9条の戦力不保持、交戦権を有しない規定との整合性が問題であり、日本の自衛権に限定した防衛政策の精神を逸脱するものだ。

 (3)国の防衛も安全性の高さだけを追究すれば限りなく攻撃能力の高さが求められるもので、しかし行き着く軍事力強化だけで推し量れるものではない。防衛大綱に「敵基地攻撃能力」保有を明記することにより、国の自衛権による防衛政策の行き過ぎ、逸脱を示して周辺国の批判、警戒を招くだけのミスリードだ。

 (4)米子市長は拉致問題の早期解決を願う集会で「安倍政権が軍事行動や憲法改正する際には全面的に支持する趣旨の発言」(報道)をしたとされて驚かせた。
 安倍政権がまさか「敵基地攻撃能力」で北朝鮮を軍事攻撃する機会を狙っているとでも思っているのか、仮にそんなことをすれば拉致被害者の救助はまったく不可能になりあり得ない話ではないのか。米子市長たるものが一体何を考えて話しているのか意味不明の判断というしかない。

 (5)日本の(防衛大綱)「敵基地攻撃能力」保有については、岩屋防衛相は「敵基地攻撃は日米の役割分担で米側に依存する考え方に変わりはない」(報道)と述べている。安倍首相は安保法制で憲法第9条の戦力不保持、交戦権を有しない規定を独自の解釈変更で集団的自衛権の行使容認に踏み込んだが、「敵基地攻撃能力」保有ということになればさらに憲法第9条規定に反して自衛権の防衛裁量を逸脱した攻撃性の高いもので、認められるものではない。

 (6)その憲法上の自主的な制約の中で、日米安保条約による米軍による敵基地攻撃力に頼る日本の安全防衛政策だ。過去歴史のアジア占領支配の反省からのものだ。
 安倍首相、政権は保守思想を強めて、特定秘密保護法、安保法制、共謀罪と強行成立を進め、自衛隊を憲法第9条に明記する憲法改正を目指している。

 (7)社会思想的にも米子市長発言のように極端な保守思想が打ち出される風潮を生んでいる危険性がある。これは世界的な強い極右思想の傾向でもあり、そうだから日本の平和憲法の精神性の高さは意義のあるものだ。

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Gone with a crime。

2018-11-21 20:10:03 | 日記
 (1)結果論だから言うわけではない。主要工場を閉鎖し、従業員のクビを切り、コストカットすれば傾きかけた企業も持ち直せるのは考えられることだ。
 しかし従業員と長い間苦楽を共にしてきた経営者としてならば、そこまで非常には決断できない。

 多くの従業員とその家族の命運、生活、将来をも握っているからだ。だから多くの企業では退職者を募りながら経営者を替えながらなんとかやりくりして、時間をかけても再建に向けて努力する。

 (2)日産は業績不振から仏ルノーを再建したカルロス・ゴーン氏に再建を託した。ルノー再建ではコストカッターとして名をはせて日産に迎えられて、冒頭のような荒業を発揮して日産を立て直してルノー、三菱3社連合の経営責任者(CEO)となり一世を風靡した。

 10億円を超す高額報酬が目を引き、当時ゴーン氏は、社長は1年間休みもなく世界を飛び回って仕事をしているから相応の報酬だと言っており、それはそうで企業の命運をかけてそういうこともあるのが世界的な企業の経営責任者の姿なのだろうと感じたものだった。
 それはそうなら、同企業の従業員の命運をバッサリ切り捨てるのはそれはそれで理解できないものでもあった。

 (3)3社連合に傾注してゴーン氏は日産の会長になり、その後無資格者による完成車の不正検査が指摘されてそれはゴーン体制時代のもので、これもゴーン流のコストカッターなのではないのかの危惧が頭をよぎったが、当時社長のゴーン会長からは何の釈明もないままだった。

 そうこうしているうちに、19日夕にゴーン会長は報酬50億円過少記載(有価証券報告書不正)容疑で東京地検特捜部に逮捕された。さらに日産自らの事前調査で「私的目的の会社資金流出」、「経費の不正使用」の疑いも指摘された。

 (4)ゴーン容疑者は19年の日産など長期の経営責任者として他役員の報酬の配分権を掌握するなど権限を経営責任者に集中して、日産、ルノー、三菱自3社体制を完全支配して、裏では巨額の利益を手にしていた。
 報酬50億円の過少記載疑いなど不正内容を聞いた日産関係者は、あまりの金額の多さに想像もつかない巨額で事態がよくわからないと答えている。

 (5)個人が使う金額としてはあまりにも巨額で理解できない。ゴーン容疑者がCEO、会長職にある仏ルノーは仏政府が筆頭株主であり、将来的に政界(仏大統領)への進出でも考えていたのではないのと思わせるあらんかぎりの巨額の不正蓄財の疑いだ。

 今後巨額の不正蓄財の目的、使途、流用について、司法の捜査の解明が進むのか気になるところだ。

 (6)ゴーン容疑者としてはルノーを日産をそして三菱自まで再建に尽力したとして法外な巨額報酬は当然と考えて不正蓄財したのか、内部通報がなければ19年の間も問題視(問題視してもそれを指摘)できないゴーン権力体制のやりたい放題の企業不正の温床だった。

 個人、経済の枠におさまらない巨額の不正蓄財の目的、使途、流用について問題視し、仮に政治との結びつき、関連があるようであれば実態解明は避けてはとおれない。

 

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2島返還論。 theory of return of two isles

2018-11-20 20:04:49 | 日記
 (1)北方4島返還問題は今回の安倍首相とプーチン大統領との首脳会談で「平和条約締結の後、歯舞群島と色丹島を引き渡す」と規定した日ソ共同宣言(1956年)を基礎に交渉を加速することで合意(報道)した。

 これまでもプーチン大統領から「引き分け論」として2島・2島分離返還が伝えられたこともあったが、結局はそのロシア・ペースのシナリオで交渉が進められることになった。

 (2)安倍首相、菅官房長官からはこれまでの4島一括返還の日本の立場には変更はないとの説明があったが、今回の2島返還交渉の批判に対する従来の主張堅持を述べただけのもので、これでは訳の分からない説明となった。

 つまりまずロシア側が言うように2島返還を優先させて、返還後に残り2島の返還交渉をさらに求めるということのようだが、今回はプーチン大統領の「引き分け論」ではなく「2島返還」を明記した日ソ共同宣言を基礎として話し合う、交渉するということなので、通常はこれで1件落着というのがロシア側の理解でありロシア側がその後にさらに残り2島の返還の話し合いに応じるという保証はどこにもみえないものだ。

 (3)さらに日本側、安倍首相はこれまで平和条約の締結前の4島一括返還を求めて条件として主張してきたので、日ソ共同宣言の「平和条約締結の後」の2島返還ということになればこちらでも譲歩することになる。

 安倍首相とプーチン大統領は今回で30数回の首脳会談で首脳会談としては破格の多さであり、しかしまわりまわって「平和条約締結の後、歯舞、色丹2島を返還」する日ソ共同宣言を基礎に話し合い、交渉を進めるというプーチン大統領の主張に沿ったところに落ち着いたということで、破格の回数の安倍首相とプーチン大統領の首脳会談でも日本側の主張は通らなかったというところだ。

 (4)さらにこの日ソ共同宣言を基礎として話し合う2島返還に際してもすでにプーチン大統領は返還2島に対する「主権」についても注文をつけているようだ。
 日本に返還された領土、領域について、その後の国内対応について外国政府が関与、注文をつけることなど主権侵害でありえないことであり、ロシア側が返還をした後の北方領土、領域に対する米軍関与、進出に強い警戒をみせていることがうかがえるものだ。

 (5)日本とロシアは安倍首相とプーチン大統領が30数回も首脳会談をくり返しているというほど、国と国としては政治、経済などの情報が共有されている、発信されておらずに実態がよくわからない遠い国同士である。

 国家体制が自由主義、民主主義国日本と社会主義、一党独裁国ロシアとの違いがあり、日本と米国、韓国などの同盟関係に比べれば情報発信、共有が乏しく政治手法も異なり信頼関係は強固ではない。

 (6)プーチン大統領の意向、政治力、指導力、影響力は甚大ではあるが、果たしてひとりの国家指導者の力で微妙な領土問題が解決に向かうのかは不透明なところもある。
 プーチン大統領はすでに返還後の「主権論」も唱えており、2島返還交渉問題は紆余曲折も考えられて、とても日本側が言う残り2島の返還となれば視界は見えずに相当の覚悟がいる。

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