いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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ガバナンスの劣化。 decay of enterprise governance

2018-11-23 20:06:22 | 日記
 (1)ゴーン会長の有価証券報告書の50億円(本日さらに30億円発覚報道)過少記載不正の内部通報を受けて、日産内部では数か月前から社内調査を実施(報道)してゴーン会長のいくつものの不正を暴き出して、東京地検特捜部はゴーン会長を逮捕した。

 これを受けて日産取締役会は昨日ゴーン容疑者(会長)、ケリー容疑者(代表取締役)の解任を全会一致(同)で決定した。内部通報が発端ということもあり、クーデター説も伝えられて企業内権力闘争の様相もみせている。

 (2)ほとんどゴーン会長がガバナンスの実権を掌握して他の取締役員の報酬の配分権を握っていたといわれて、ゴーン会長も含めて経営、執行役員の一体だれがどれくらい報酬を得ていたのかもよくわからない状態で、ゴーン会長の50億円超にものぼる不正蓄財が続いていたと考えられる。

 ゴーン会長の不正ばかり突出しているが、この企業ガバナンス、経営執行体制に甘んじて放置してきた日産の企業体質は問われなければならずに、東京地検特捜部も日産社長から任意で事情聴取して法人の刑事責任も問う姿勢だ。

 (3)日産取締役会はゴーン容疑者(会長)、ケリー容疑者(代表取締役)の解任を決定したが、この不正を見逃がしてきた、見過ごしてきた日産経営執行役員の責任も同じく重く、果たして同罪ともいえる日産取締役会にゴーン容疑者、ケリー容疑者を裁く、解任する正当な資格があるのか疑問で問題だ。

 すでに日産は企業共同体として機能せずに、19年間のゴーン支配体制の中で独裁化企業支配の中にあって企業ガバナンスが緩慢とした中で従業員にはそんな企業に貢献し、企業利益をあげることを求めてきた背信、背任責任は重く大きい。

 (4)近年の日本経済を支えてきた企業の背信、不正横行は目に余るものがあり、それでいて(それだからというべきか)企業利益は好調を維持していることを背景に日本の企業ガバナンス劣化(decay of enterprise governance)、危機感はほとんど問題視されてこなかった。

 不正発覚のその都度、経営執行責任者が記者会見を開いてそろって頭を下げる謝罪シーンをくり返しみせつけられるだけで、企業としての社会責任ペナルティーは従業員の生活保障の論理の中で立ち消えていくくり返しだった。

 (5)どうして日本の企業ガバナンスがこれほどまでに劣化してしまったのか。高度経済成長時代もそういう企業体質はなかったとはいえず、しかし高度経済成長時代は豊富な労働力(団塊世代)の中で「戦後復興」の大きな社会命題に向けて一丸となって企業利益第一も日本経済復興への生産性、開発性、販売性、成長性にとってかわられて無我夢中のところがあった。

 いうなら企業不正など考えているヒマもなかった時代といえる。つくれば売れる時代でもあった。

 (6)そうして日本はGNP世界第2位(現在GDP世界3位)の経済国となりG7の主要国メンバーとなって安定を確保して、グローバル化時代の中で世界を相手の企業競争活動が激しくなる中で経済の成長よりは企業内利益が優先されて手段、方法論を選ばない企業不正が横行しだす。

 近年は企業内利益の内部留保が巨額となり、彼らは社会的還元、貢献をあまり考えない自己防衛の企業体質が目立つ。その象徴としての日産ゴーン容疑者の50億円の過少記載、不正蓄財による逮捕だ。

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