いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

2島返還論。 theory of return of two isles

2018-11-20 20:04:49 | 日記
 (1)北方4島返還問題は今回の安倍首相とプーチン大統領との首脳会談で「平和条約締結の後、歯舞群島と色丹島を引き渡す」と規定した日ソ共同宣言(1956年)を基礎に交渉を加速することで合意(報道)した。

 これまでもプーチン大統領から「引き分け論」として2島・2島分離返還が伝えられたこともあったが、結局はそのロシア・ペースのシナリオで交渉が進められることになった。

 (2)安倍首相、菅官房長官からはこれまでの4島一括返還の日本の立場には変更はないとの説明があったが、今回の2島返還交渉の批判に対する従来の主張堅持を述べただけのもので、これでは訳の分からない説明となった。

 つまりまずロシア側が言うように2島返還を優先させて、返還後に残り2島の返還交渉をさらに求めるということのようだが、今回はプーチン大統領の「引き分け論」ではなく「2島返還」を明記した日ソ共同宣言を基礎として話し合う、交渉するということなので、通常はこれで1件落着というのがロシア側の理解でありロシア側がその後にさらに残り2島の返還の話し合いに応じるという保証はどこにもみえないものだ。

 (3)さらに日本側、安倍首相はこれまで平和条約の締結前の4島一括返還を求めて条件として主張してきたので、日ソ共同宣言の「平和条約締結の後」の2島返還ということになればこちらでも譲歩することになる。

 安倍首相とプーチン大統領は今回で30数回の首脳会談で首脳会談としては破格の多さであり、しかしまわりまわって「平和条約締結の後、歯舞、色丹2島を返還」する日ソ共同宣言を基礎に話し合い、交渉を進めるというプーチン大統領の主張に沿ったところに落ち着いたということで、破格の回数の安倍首相とプーチン大統領の首脳会談でも日本側の主張は通らなかったというところだ。

 (4)さらにこの日ソ共同宣言を基礎として話し合う2島返還に際してもすでにプーチン大統領は返還2島に対する「主権」についても注文をつけているようだ。
 日本に返還された領土、領域について、その後の国内対応について外国政府が関与、注文をつけることなど主権侵害でありえないことであり、ロシア側が返還をした後の北方領土、領域に対する米軍関与、進出に強い警戒をみせていることがうかがえるものだ。

 (5)日本とロシアは安倍首相とプーチン大統領が30数回も首脳会談をくり返しているというほど、国と国としては政治、経済などの情報が共有されている、発信されておらずに実態がよくわからない遠い国同士である。

 国家体制が自由主義、民主主義国日本と社会主義、一党独裁国ロシアとの違いがあり、日本と米国、韓国などの同盟関係に比べれば情報発信、共有が乏しく政治手法も異なり信頼関係は強固ではない。

 (6)プーチン大統領の意向、政治力、指導力、影響力は甚大ではあるが、果たしてひとりの国家指導者の力で微妙な領土問題が解決に向かうのかは不透明なところもある。
 プーチン大統領はすでに返還後の「主権論」も唱えており、2島返還交渉問題は紆余曲折も考えられて、とても日本側が言う残り2島の返還となれば視界は見えずに相当の覚悟がいる。

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