(1)通常国会で積み残した政治とカネの課題は物音もしないのに、来年度予算要求の概算要求基準を閣議決定した。物価高対策、賃上げ促進策を手厚く、「新しい資本主義」も特別枠(報道)とした。岸田首相は来年も政権維持に意欲を示したといえる。
9月に総裁選を控えてまだ立候補の申し出者もいない中で、来年度予算の内容だけは気の早い特別枠扱いだ。
(2)自民党総裁、首相に誰がなるかによって、政府政策方針、予算編成方針も変わってくるので、時期は時期とはいえ憶測も出そうな来年度予算要求基準の閣議決定だ。通常国会終盤では岸田首相に距離を置く議員、グループは会食を重ねて意見、情報交換、結束をみせていたが、通常国会終了にあわせてその後は表立った動きをみせてはいない。
(3)今回は裏金問題を受けて最大派閥の安倍派ほか岸田派などが派閥を解消して、党内の表立った動きはみられないが、最近の報道では派閥解消の中でも議員たちはひんぱんに会食を重ねているようで、早くも派閥復活の動きともとられられている。
(4)政策、理念、信条がわからない、示されない中で、世論調査で次の首相候補一番手の石破茂元幹事長は選挙区の島根での集会で島根から日本を変えると立候補に強い意欲を示したとも受けとられて、来月お盆あたりにははっきりさせる意向を示した。
国民的人気は高いが党内基盤は弱く、推薦人20名を集めることが問題であり、派閥解消となったことで有志を集めるには都合よくなったともいえて、いち早く総裁選に前向きな姿勢をみせている。
(5)派閥解消が党総裁選にどういう影響が出るのか、出ないのか、これまで立候補した経験議員、意欲を示している議員で派閥に代わる政策勉強会と称して有志の囲い込みを始めており、まずは推薦人20名確保に向けての動きだ。
(6)来年度予算要求基準で岸田首相の「新しい資本主義」実現に充てる特別枠として4.2兆円としたが、岸田首相が9月の党総裁選に意欲を見せているもので国民支持率が一向に上向かない中で岸田首相周辺からは立候補を前提とした話や意欲を伝える話が聞こえてきて、駆け引きが続いている。
(7)次の政権は来年の衆院選での政権交代も現実的な視野に入ってきており、与野党ともそれを意識した対応が続く。