(1)選択的夫婦別姓問題は、経団連が早期導入を求めて政府に民法改正法の提言をした。働く人にとって婚姻で姓名が変わることはそれまでの業績評価が不利に働くという声は研究者などからもあって、先端的研究の学術論文が姓名変更により別ものと理解、伝わることもあるのは理解される。
(2)世論調査では選択的夫婦別姓制度導入に賛成は57%で、反対22%を大きく上回った。現在の民法は婚姻によりどちらかの姓名を名乗る「自由」は定められており、どちらもどちらかの姓名を名乗ることも「個人」を定める選択の自由とすることには基本的人権として問題はないと考えられる。
(3)課題としてまだ自ら選択できない子どもの姓名をどうするのか、年令にもよるが18才に満たない子どもには両親の養育権のもとでの選択の自由はないので、両親の親権の問題として判断するしかない。それも親の責任と考えて、18才成人を迎えて子どもに法律上の選択の自由を与えることになる。
(4)自民党保守派議員にはそれでは「家族の一体感、絆」が損なわれるという、旧来の伝統的家族文化社会に由来した儒教思想の封建社会に根差した社会思想が強い。家族制度も戦後の経済成長の中で社会思想として大家族制社会から核家族制社会に移行して変化してきており、中には働き方改革として単身赴任社会も定着している時代的背景もある。
(5)パラドックスとして家族の一体感、絆は離れていることで姓名を同じくすることで確認、維持されるともいえるが、現在は情報化社会、IT、スマホ時代であり毎日が同時性、同一性をもって家族の一体感を確認、共有できる時代、社会でもあり、自民党保守派、岸田首相の否定的な発言には時代錯誤感を強くするものだ。
(6)子どもは成長して18才になるまで両親の親権、養育権に支えられものであり、親の責任として子どもがどちらの姓名を名乗るのかは個人の選択の自由であり、基本的人権と考える。