大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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「いじめ」は大田区の条例”だけ”で防げるか

2021年04月12日 | ├子ども

大田区がいじめ防止対策推進条例をつくりました。

新たにつくられた条例には、いじめが起きないよう大田区の責務がうたわれています。このこと自体は、悪いことではないのだと思います。

しかし、条例は、目的、定義、理念をうたったあと、最初に、児童はいじめを行ってはならない、と続きます。

いじめを防止するため、私たちが行うべきは、環境を整備することで、それが、行政や政治の役割だと思います。

「児童はいじめを行ってはならない」という表現は、児童個人の行動を制限することだけに、とどまっているように感じます。

一方で、所得の格差は広がり、生活に余裕のない低所得層は拡大しています。
子どもたちが、将来や、将来の夢を描きにくい社会になりつつあります。

そうした子どもを取り巻く環境が子どもの心や行動に影響している部分も少なくないと思います。

この条例制定の背景には、平成25年2013年に制定された「いじめ防止対策推進法」があります。

いじめ防止対策推進法 | e-Gov法令検索 (e-gov.go.jp)

法律も、いじめの対症療法にとどまり、今の子どもを取りまく社会の在り方を見直そうという視点が弱いように感じました。
児童を取り巻く環境の在り方を見直すことなく、関係機関が連携して、児童の行動を制限するようになれば、やり方によっては、さらに息苦しく、こどもたちを追い詰めることにもなりかねません。

条例制定に際し、単なる教育委員会のいじめ対策にとどまらない、雇用、福祉、医療、ほかの区の取り組みを求めました。


第26号議案大田区いじめ防止対策推進条例は、大田区におけるいじめ防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進するために制定するものです。

いじめは、それが起きている学校や地域や家庭などだけに、原因があるわけではなく、社会、経済、自然、都市、行政システム含めた私たちのくらしそのものの複合的な要因により生じたもので、教育施策に特化して取り組むことには限界があります。

 

大田区で3歳の子が亡くなられた痛ましい事件がありました。そのとき、保育サービス課が対応しましたが、保育サービス課だけの問題ではないと強く感じました。

 

孤立した子育ては、孤独な地域社会と、経済状況と、職場と、家庭と、保育園ほか、多くの複合的な要素が重なり合って生じているものだと思います。

条例に、

いじめの防止等のための体制整備や、他の地方公共団体、区立学校、保護者、地域住民及び関係機関等と協力して、いじめの防止等のために必要かつ効果的な施策を策定し、および実施する、

 

と書かれているように

こどもの環境に大きな影響を及ぼす、

 

・保護者の経済・所得状況や雇用環境、

・医療制度や、

・障害福祉

・社会保障

・のびのび遊べる公園や自然環境、

・高等教育を受けられる権利ほか、

 

こどもを取り巻く社会、経済、環境整備を「総合的にとらえて改善しようという意思と力が無ければ改善できない」と思います。

 

そもそも、区民、住民、国民が、どう生き、働き、食べて、暮らしていくかの社会像を行政や政治は住民に提供する責務がありますが、社会像を示さないままに、安全性、利便性や快適性など、だけで、政治が執行されているように見えます。

 

 

大田区は、こどもを取り巻く社会、経済、環境整備などを担う大田区の各部局が政策的に関与しながら、イジメの問題に取りくむことが重要で、区長部局と連携すると答弁していただきました。簡単ではありませんし、そもそも、これまで大田区が国に無批判に従い行ってきたことの中にも反省したり、見直したりしなければならないことがたくさんあると思いますが、そこに期待をして賛成といたします。

 


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