旅限無(りょげむ)

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雨の三日も降ればよい 其の壱

2009-04-21 15:45:27 | 日本語
■漢字検定の問題が日々深刻化して行くようです。文科省が激怒したのは自省内からの天下りを受け入れなかったことへの意趣返しか逆恨みが原因か?などと勝手に想像しておりましたが、どうやら公益法人の漢検協会がやっている金儲けの凄まじさを相当程度まで把握した上でのことだったような気配が濃厚になって参りました。公益法人の不祥事と言えば、殺人事件に大麻事件、裁判には勝ったようですが噂が絶えない八百長疑惑など「再発防止」など悪い冗談にしか聞こえない相撲協会という横綱がおりますが、同じ文科省の管轄なのに漢字検定協会のように徹底的な攻撃対象にはなっていないのは、それこそ正に「伝統文化」の威光というものでしょうか?

■都都逸の中に「大工(土方)殺すにぁ~刃物は要らぬぅ~雨のぉ三日ぁも降ればいい~♪」というのがありました。『男はつらいよ』シリーズで寅さんがトラ屋の縁側で雨を見ながら口ずさんでもいましたが……。船頭殺すにぁ~10日も降ればいい~♪などの派生作品もあるようですなあ。何だか漢検にも当てはまりそうな気がしますなあ。


財団法人・日本漢字能力検定協会(京都市)が不適切な運営で文部科学省から指導を受けた問題をめぐり、受検希望者から申し込みを受け付ける学習塾や書店で困惑が広がっている。6月予定の次回検定について、文科省が協会に示唆した延期や中止が現実になれば、受検料の返還などの事務の混乱が起こるのを危惧しているのだ。「協会のもうけの片棒を担ぐのか」と保護者から批判されて、すでに受け付けを取りやめた学習塾も出始めており、関係者は検定の行方をやきもきしながら見守っている。

■理事に名前を連ねていたエイラ人達は素早くこっそりと辞任しているのに、受検する側の団体の方は奇妙なほど動きが鈍いようです。どこまで行っても文科省のお墨付きには絶対の信頼を置いているのか?単なる先例墨守の石頭ばかりが揃っているからなのか?『漢字という財産 其の六』で、高島俊男さんの言葉を借りて考えてみたように、既に漢字文化と漢字検定協会とはまったく無関係だという事は明らかになっているのですから、「別の指導方法を考える」の声が湧きあがって来ないのが不思議であります。


小・中学生を対象に漢字検定に力を入れている大阪市内の学習塾では、6月21日に予定されている21年度第1回検定について、40~50人の児童・生徒の受検を予定していたが、今回の問題を受けて参加を急遽取りやめた。保護者から「協会が利益を上げるのに加担するのか」との声も上がったといい、塾長(52)は「文科省の認可を受けながら、もうけばかり考えている協会は信頼できない。漢検に変わる手段があるか探している」と話す。

■こうしたニュースが流れ出す前に、「漢字検定ボイコット」を打ち出せば厳しい塾業界の中では大きな宣伝効果があったのでないでしょうか?漢字文化の保護と伝承などという大きな話ではなく、生徒達の漢字学習意欲を高めるためなら、手作りの教材やテスト問題を工夫するとか、専門の書店が編集してくれている既存の教材を吟味して選択するとか、漢字検定以外にも幾らでも方法はあるのですからなあ。寄らば大樹の陰とばかりに親方日の丸に擦り寄って、国家資格でも何でもない検定を受けて一喜一憂している人は、大久保親子にとってはネギを背負った鴨同然だったのですから、塾生の保護者が文句を言うのは当然のことでありましょう。

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