旅限無(りょげむ)

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小泉さんに暑中見舞い 其の弐

2006-07-14 10:49:16 | 外交・情勢(アジア)
■1979年以来、それまでに占領した緩衝地帯を周辺国に返還して来た流れが止まって逆流を始める事になり兼ねません。

イスラエル軍は13日午後(日本時間同日夜)、レバノン東部ベカー高原の同国空軍基地を空爆した。同国の軍事施設を直接の標的としたのは初めて。レバノンのイスラム教シーア派民兵組織「ヒズボラ」による12日のイスラエル兵拉致事件への報復で、イスラエル軍はヒズボラの拠点など計100か所以上にも攻撃を加え、少なくとも47人が死亡した。ヒズボラもイスラエル北部ナハリヤなど10か所以上をロケット弾で次々と攻撃し、民間人2人が死亡、50人以上が負傷した。

■ナハリアは、ハイファよりも北にある地中海に面した小奇麗な街です。PLOがヨルダンを追い出されてレバノンに本拠地を移していた頃、ゴム・ボートに乗ったテロ・グループが夜陰に紛れてレバノンの南岸から密かに上陸して、大捕り物事件が起こった場所です。ナハリアにロケット弾が着弾しただけでも大変な危機ですが、それを遥かに越えてハイファまで飛んだのですから、報復は熾烈を極めるでしょうなあ。ベカー高原を先制攻撃しているところを見ると、射程を大幅に伸ばしたロケット兵器の存在をイスラエル軍は事前に知っていたのかも知れませんが、まさかハイファまで標的にされているとは思いもしなかったのではないでしょうか?。


イスラエル軍の激しい軍事攻勢は12日夜の緊急閣議でヒズボラとレバノンへの報復措置が正式承認されたことを受けたもの。同軍は13日、ベイルート空港空爆に続き、海上封鎖のため艦艇をレバノン領海に侵入させるなど陸海空各領域の軍事封鎖を進めている。
読売新聞 - 7月14日

■双方の軍が対峙し国連の平和維持軍も駐留している国境を迂回して、海から武装勢力に侵入されるとイスラエル北部の市民生活が完全に破壊されるので、海上封鎖作戦は不可欠です。空港を使用不能にしたのは空からの逃走も武器の搬入も許さない姿勢を示したのでしょうが、こうなるとレバノンに隣接するシリアの動きが重要になります。陸路で助っ人や武器弾薬を運び込んだりすると、イスラエルは予防的な空爆を実行するでしょう。しかし、シリア領にまで攻撃を加えるとなると、その裏に居るイランとの衝突も覚悟したことを意味します。イランの核開発ばかりが注目されていますが、通常兵器や爆発物の供給源としてもイランは大きな役割を担っているので、サミットで中東問題を扱う場合、イラン問題は更に大きく扱われることになりそうですなあ。


イスラエル軍は13日、レバノンの港湾を封鎖したほか、ベイルート国際空港や同国の空軍基地などを空爆した。イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラがイスラエル兵を拉致したことへの報復措置として、12日にイスラエル軍が攻撃を開始して以降、レバノン市民の累計死者数は53人となった。ヒズボラもイスラエル北部を、少なくとも70発のロケット弾で攻撃。イスラエル救急隊員によると、女性2人が死亡、42人が負傷した。今回の衝突は、イスラエルがレバノン南部を占領していた96年以来、最も激しいものとなる。レバノンのアリディ情報相は緊急閣議後、完全な停戦を望んでおり、イスラエルによる「制限ない攻撃」が終わることを望んでいると述べた。イスラエル空軍の高官はロイターに対し、ヒズボラへの攻撃が続く限りレバノン空海域封鎖を継続する方針を示した。
ロイター - 7月14日

■国会に議席を得て政治組織に衣替えしたヒズボラならば、時を見てレバノン政府の一員として交渉相手になれた可能性も有ったでしょうが、テロリストはテロリストだ!とイスラエルは断を下すでしょうし、相手は「聖戦(ジハード)」を叫んで応じるでしょうなあ。


イスラエル内閣は12日、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが国境を超えて攻撃し、イスラエル兵2人の身柄を拘束、8人を殺害したことを受け、「厳格な」報復攻撃を行うことを承認した。イスラエルのオルメルト首相率いる内閣は声明を発表し、「国境を越えた攻撃と、身柄を拘束された兵士の安全な帰還については、レバノン政府が責任を負うべきだ」と述べた。また、「この攻撃に対してイスラエルはふさわしい厳しさを以って行動する。犯罪者に対し、直ちに厳しい態度で臨み、イスラエルに対する今後の攻撃を防ぐために行動する」とした。

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