28日付の英紙サンデー・タイムズ(電子版)は、イラクのイスラム教シーア派強硬指導者ムクタダ・サドル師派の民兵組織マハディ軍の幹部の大半が首都バグダッドから、既にイランに逃亡していると報じた。米軍とイラク治安部隊は近くマハディ軍に対する本格的な鎮圧作戦を始めるとみられるが、同軍の中核は拘束を免れる可能性もある。イラクの元閣僚が明らかにした。
1月28日 時事通信
■敵を一箇所に集め、頃合を見計らって集中攻撃を仕掛けて殲滅する。それは大昔から名将と呼ばれた軍人達が採用した戦法ですからなあ。こうして米軍は「民族浄化」の嫌疑を受けることなく、反抗勢力をイラク国内からイランへと追い込んで行くのでしょう。ペルシア湾内には、戦闘爆撃機を満載した航空母艦が3隻も遊弋(ゆうよく)して待ち構えていますぞ!飛んで火に入る夏の虫ですなあ。
ブッシュ米大統領は26日、イラク新政策で表明した2万人以上の兵力増派について「私が決定権者だ」と述べ、連邦上院で審議が進む増派反対決議案を一蹴(いっしゅう)する対決姿勢を示した。これに先立ち、大統領はホワイトハウスにゲーツ国防長官、イラク駐留多国籍軍のペトレイアス次期司令官を呼び、兵員や装備の迅速な輸送など増派準備を急ぐよう命じた。イラクへの兵力増派に対する反対決議案は上院外交委員会の通過を受けて週明けにも本会議での討議に移る。下院でも26日、ペロシ議長が増派阻止に向けたイラク政府首脳の説得のためバグダッドに乗り込むなど、大統領の姿勢表明で議会を主導する民主党が態度を一段と硬化させることは避けられない見通しだ。……
■「2万人」という増派の人数ばかりが目の敵にされているようですが、既に送り込まれた先遣部隊の主力が「パラシュート降下部隊」だという事実の方が問題でしょう?!バグダッド市内の家捜し作業を手伝いに、精鋭中の精鋭の部隊をちびちびと投入しようと言うわけではありません。この精鋭部隊を日本の航空自衛隊が「武器ではない」という理由で夜陰に紛れて空輸して、沙漠の何処かで特定された武装組織の秘密基地を攻撃する作戦に参加させられたりはしないでしょうな?!
ブッシュ大統領はゲーツ長官らとの面談後、記者団に対して「議会でも(イラク政策での)失敗は米国に危機を招くことを大半が認識している。私こそが決定権者であり、危機を防ぐため前に進む道を見いだす必要がある」と発言。決議案審議の結果に関係なく、兵力増派を柱としたイラク新政策を実行する姿勢を強調した。……ゲーツ長官は「部隊を展開させる手順が加速できないかを検討中だ」として数カ月を見込んでいた増派準備を短縮する方針を表明。上院決議案など兵力増派に反対する民主党の動きについては「現場指揮官の求めを差し止めることは利敵行為だ」と非難した。
1月28日 産経新聞
■民主党側の平和攻勢?にしても、大統領選挙を睨んだ選挙政治的思惑が絡んで相当に生臭いものです。米国の伝統では、民主党の大統領が戦争を始めて共和党の大統領が終戦工作をするというパターンが多いのですが、今回のイラク戦争は、珍しく共和党の大統領が始めて民主党の大統領が幕引き役を引き受けることになりそうです。外交下手な民主党が謀略渦巻く中東に手を突っ込んだりすると、ますますトンデモないことになりそうで、心配ですなあ。勿論、露骨な戦争商売に古めかしい十字軍の倫理を混ぜ込んでしまうブッシュ政権が優れているというわけではありません。
安倍晋三首相は24日夜、ブッシュ米大統領が一般教書演説で、米軍のイラク増派への支持を訴えたことについて「イラクの安定、復興に強い意志を示したものだ。効果的に成果を出すことを期待したい」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
1月24日19時1分配信 時事通信
■米国の隠された真意を極意に明かされた上で、こんなコメントを出しているのでしょうか?そもそもイラクの「復興」には日本が主体的に関わっていたはずです。これから始まる米軍の徹底的な掃討作戦が終わったら、またまた日本の防衛「省」に要請(命令)が来ますぞ!その時のイラク国内に満ち溢れる憎悪の炎は、前回の復興支援部隊を派遣した時期とは比べようもないほど恐ろしく燃え上がっていることは間違いありません。今度こそ標的にされそうですが、今の防衛大臣だとひょいひょいと米軍の注文に乗ってしまいそうで心配です。