旅限無(りょげむ)

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イラクの泥沼が広がる 其の四

2007-01-29 11:47:24 | 外交・世界情勢全般

インタファクス通信によると、ロシア外相は27日、米国の中東政策に関し「攻撃的論法に変化がみられず、中東での米軍駐留を増強しようとしている」と批判した。外相は、米露、国連、EUでつくる中東和平4者協議が来月上旬ワシントンで開かれる際に「米国に問いただす」と、イラク駐留米軍増派に反対する考えを示した。
1月27日 毎日新聞

■北朝鮮問題にしてもイランにしても、ロシアは徹底的に羊の皮を被って米国と対決する様子です。天然ガスのバルブを勝手に閉めたり開けたりしている自分のことは「攻撃的論法」とは呼ばないのでしょうなあ。


イラク南部カルバラで、米兵の制服を着た武装集団が検問所を通過して政府系の建物に侵入、米兵4人を拉致する事件が発生した。イラク駐留米軍は26日、「4人のうち3人は遺体で見つかり、1人は搬送中に亡くなった」と発表した。実行犯は12人とみられ、米軍は事件の容疑者4人を逮捕して取り調べている。
1月27日11時42分配信 毎日新聞

■米兵4人は全員死亡で、武装集団の方の12-4=8人は、何処かに逃げてしまったという計算になりますから、米軍は完全に裏をかかれています。これでまた無関係なイラク人を拷問に掛けたりして恨みを買うのでしょうなあ。それにしても、「米兵の制服」を何処から調達したのでしょう?きっと持っていた武器も米国製だったのでしょうなあ。現場の米兵は疑心暗鬼に襲われて、ますます神経が休まりません。こうなった原因を考えると、鶏が先か卵が先か?の難問にぶつかりますから、政策はどんどん前のめりになって泥沼はますます広がって深くなって行きます。


米ホワイトハウスは26日、ブッシュ大統領がイラク国内で米軍への妨害活動を行っているイラン人工作員に対する対抗措置をとることを許可したことを明らかにした。AP通信が伝えた。ブッシュ政権はイランが駐留米軍の死者の大きな原因となっている路肩爆弾(IED)の供給源であると判断し、「米兵の身を守るための必要な手段をとる」ことを認めた。これに関連、26日付の米紙ワシントン・ポストも、ブッシュ政権が駐留米軍に対して、イラン工作員の拘束あるいは殺害を許可したと報じた。
1月27日 産経新聞

■イラクには真偽不明の「大量破壊兵器」を理由にして攻撃を仕掛けたのですが、今度のイランは嬉しいことに?安価な手製爆弾を動かぬ証拠として持ち出せますから、イランの脅威を言い立てるのは容易でしょう。しかし、たとえ爆弾を作って供給しているのがイラン人だとしても、それがイラン政府が養成した「工作員」かどうかは分かりませんぞ!米国内にも多数のイラン人が移住しているのですから、自作自演の疑いさえ有ります。「路肩爆弾」に対する報復が巡行ミサイルやステルス爆撃機による盛大な空爆では、ちょっと釣り合いが取れませんなあ。


イラクのアブドルマフディ副大統領は25日、イラク戦争後の状況と関連して「イラク国民が占領下におかれたのは、ばかげた決定だった」と述べ、米軍を中心とした多国籍軍によるイラク占領に対し不快感を表明した。スイスで開かれている世界経済フォーラム年次会合(ダボス会議)で語った。
1月25日 毎日新聞

■米軍がバグダッドに侵攻したら、民主化を求めて苦しんでいた善良なイラク国民が大歓迎してくれる、というナイーブな絵空事を信じて米兵は市内に突入してものでした。形だけでも民主的な選挙をやって誕生した政権からも愛想が尽きた!と言われてしまっては、ブッシュ大統領の大義は地に落ちたも同然です。「今、撤退したら最悪の事態を招く」という盗人猛々しい言い訳をどこまで続けられるのか?次期大統領選挙で民主党政権が生まれたら、「後は野となれ山となれ」政策に切り替えられるだけのことでしょうか?


米民主党のペロシ下院議長は19日、米ABCテレビで、ブッシュ大統領のイラク政策を「歴史的な大ヘマだ」と痛烈に批判した。議長は「すでに危険な状況にある米兵のための予算を削減することはない」とする一方、大統領を「自分が始めた戦争に責任を持つべきだが、穴を深く掘り過ぎて出口が見えなくなってしまった」と批判。米軍増派の開始を、民主党の動きを封じるために大統領が「早く兵士を危険な状況の中に送り込んだ」と非難した。これに対しペリノ大統領副報道官は19日の記者会見で、「民主党が約束し、大統領も追求している超党派の精神と礼儀に反する」と指摘。増派は「議長の言うような政治的な思惑」ではなく「大統領が正しい政策と判断したため」と反論した。
1月21日 毎日新聞

■米国の大統領は、初代のワシントン以来、軍の最高司令官ですから、統帥権はブッシュさんが独占しています。「穴を深く掘りすぎて…」発言は、無能な二代目として石油業界に入り込んだ頃のブッシュ大統領を揶揄するための意地悪なジョークなのでしょうなあ。何処を掘っても1滴も石油は出なかったそうですから……。それに比べて副大統領のチェイニーさんは、どう転んでも必ず莫大な利益を上げて来たやり手です。戦争産業に投資しておいて、自分の手で戦争を始めて儲け、その後の復興作業を独占してまた大儲けするという天才的?な営業手腕を持っているそうですからなあ。
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