旅限無(りょげむ)

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ソマリア沖海戦 其の伍

2008-11-25 17:24:58 | 外交・世界情勢全般
■そもそも自国の輸送船を守るために世界の国々は海軍を作り増強して来た歴史があります。日本だけは敵国の戦艦を撃沈するために軍艦を作って訓練を重ねたというユニークな歴史を持っております。その結果、先の大戦では通商破壊も自国の輸送船護衛も考えずに太平洋を渡って来るはず?の米国艦隊を撃滅するために大日本帝国海軍は実に不思議な行動をし続けたのでしたなあ。

■戦後は「通商破壊」など絶対に出来ない平和国家となった日本ではありますが、自国の輸送船を護衛する事も禁じるような法律の拡大解釈が罷り通っているとか……。北朝鮮による拉致犯罪に対しても何の手も打てないのと同様に、ソマリア沖で拉致された日本人を救出する手段が無い!何処かの国の海軍に「救出」を依頼するのか?「対話と圧力」で気長に交渉するのか?手っ取り早く言い値の身代金を支払うのか?今後のことをよく考えて決断しなければなりませんぞ。


アフリカ東部ソマリア沖で……14、15の両日には連続して、日本人船長の中国マグロ漁船や日本企業が管理する貨物船が乗っ取られる事件も発生。哨戒活動に入っている北大西洋条約機構(NATO)や米国、ロシアに加え、欧州連合(EU)も艦船の派遣を決めるなど対策に本腰を入れ始めたが、海賊の勢いは衰えていない。……英王立国際研究所は、今年だけで総額3000万ドル(約29億円)以上の身代金が海賊にわたったとみている。

■振り込め詐欺で荒稼ぎされた被害金額が100億円単位になっているのを知っている日本人にとっては海賊の被害が小さく感じられるかも?でも、それは平和で相互信頼が根付いている日本だけの特殊な状況で、原油価格・人件費・保険料などの高騰に苦しんでいる海運業者にとっては莫大な損失だと再認識しなければなりません。国の内外から騙されて大金を巻き上げられる日本は確かに良い国柄ではあるのですが……。やはり、相手によっては断固たる手段で対抗しなけらばなりますまい。


海賊らは自らの違法行為を「外国漁船の違法操業」に対する自衛行為と主張。自分たちを「沿岸警備隊」と呼んでいる。しかし、実際には無政府状態のソマリア情勢を逆手に取った「ローリスク、ハイリターンの有力ビジネス」と化しているのが実情だ。

■すべてを相手の責任にして大金を巻き上げるというのは、何処かで聞いた話です。そして、勝手に領海を設定して一方的に他国の船を拿捕する乱暴な国が、日本の近所にもありますなあ。海賊が「沿岸警備隊」を自称するというジョークのセンスはなかなかの物だとは思いますが……。


……タイ船を乗っ取った海賊の分け前は、実行部隊1人3万ドル(約290万円)、陸の警備部隊1人2万ドル(約190万円)……海賊の多くは20~30代。高級車を乗り回し、複数の妻をめとる海賊に貧しい若者たちがあこがれ、志願者が後を絶たないという。海賊行為はもともと、元漁師らの「零細経営」だった。だが、ここ数年で分業化され、周辺海域を熟知する元漁師らを「頭脳」役に、武器を操る武装勢力が幅を利かすようになった。衛星携帯電話やGPSを駆使する「ハイテク部隊」に成長し、母船から小型スピードボート数隻で出撃し、摘発に遭うと複雑な環礁地帯へ逃げ込む手口で追跡をかわしている。……

■日本国内の誰かさんから巨額の仕送りを受け、そのカネで日本製の高性能機器を購入し、高速工作船を作って密輸や拉致犯罪に使っている国を思い出す話です。シリアあたりに原爆の作り方を教えるような国ですから、母船と高速船の作り方や扱い方を指導しているかも?そもそも海賊が使っている船や武器は何処から流れて来たのでしょう?


海賊の拠点は、ソマリア内の自治州プントランドの沿岸一帯に散在する。地元からの情報によると、一大拠点のエイルでは海賊が得た身代金で潤う会計士や、人質解放の交渉役がスーツ姿で闊歩しており、人質に食事を提供するためのレストランもある。身代金を得るため、人質の扱いは概して「丁重」という。

■拉致しておいて、本当かウソかは不明ながら不自然な事故死に至らしめたと自白する国もありますから、ソマリアの海賊は商売としては洗練されているとも言えるかも?日朝間にもカネで拉致問題を解決しようと動き回っている人達がいるやにも聞きますが、気位だけは何処にも負けずに高い北朝鮮のことですから、自分達が海賊・山賊と一緒にされたら怒るのでしょうなあ。


海賊被害が激増するソマリア沖のアデン湾は、年間2万隻の船舶が通過する重要航路。イラクで米国要人などの警護に当たり、地元住民の巻き添え被害で問題になった「ブラックウォーター」社など、民間軍事会社も新たなビジネスチャンスと見て市場調査に乗り出している。
毎日新聞 2008年11月17日

■海賊行為がビッグ・ビジネスに成長し、被害者側には傭兵商売が売り込み?悪い冗談のようですが、これが現実の世界なのでしょうなあ。イラクでもアフガニスタンでも、傭兵会社は大繁盛だそうですから、「田母神論文」で激震が走った日本の自衛隊からも純粋にカネ目的で転職する優秀な人材が出て来ても不思議ではありません。既に海賊側に日本人が入っていたりしたらどうしましょう?

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