旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

未履修問題は終わらない 其の参

2006-12-12 00:21:39 | 教育
■日本の受験生に見放されても建学の精神を下ろさずに、外国からの相当に怪しい留学生で人数を水増しして助成金を取り込もうと悪あがきする巨大な中間層が生まれ、そこから零れ落ちる無名大学は淘汰されて行くというわけです。もともと、かつての国鉄時代に急行列車が止まる駅ごとに設立された地方大学は「駅弁大学」と呼ばれましたが、その後も大学の新設は続きまして、とうとう駅も無ければ町も無いような場所に「抜群の環境」を売り物に設立された大学も多くなりました。それらの多くは、地方経済の活性化を名目にして地元選出の国会議員などが絵に描いた餅同然にゴリ押しした教育に名を借りたハコモノ行政に他なりません。それらは夕張市に並べられた馬鹿馬鹿しい夢の跡と同じ構造で生み出された「大学」と言う名の無駄な公共事業のようなものでしょうなあ。そんな新設大学を今でも認めているのが文科省というお役所です。

文部科学省が今年度中の改定を目指していた学習指導要領について、伊吹文部科学相は8日の閣議後会見で、「(今年度中の改定は)難しいのではないかと思う」と述べ、来年度以降にずれこむ見通しを示した。学習指導要領の見直しを巡っては、現在、中央教育審議会で審議が進められているが、10月に高校の必修逃れ問題が発覚し、必修科目のあり方などを改めて考え直すよう求める声が高まっていた。また、教育再生会議でも、授業時間の見直しなど学習指導要領の改定について来年1月に提言を行う予定にしており、この提言を受けた再検討の必要性も指摘されていた。伊吹文科相は「学習指導要領は法律を構成する一部とされており、教育基本法を変えようとしている時期に、現在の基本法を前提に(指導要領を)変更するのはおかしいと思う」とも述べた。
読売新聞  12月8日

■要するに、「受験に役立たない科目」を黙って履修しろ!というお達しであります。事態を放置したらどうなるかは火を見るよりも明らかでしょうなあ。先生だけは「世界史」の授業を教室で行い、生徒達はそれを無視して受験勉強をするという、恐るべき欺瞞が日本中に蔓延するだけですぞ。それを承知で「教育基本法」の改正を言い訳にして手を打たないと言うのですから、いよいよ文科省の廃止か民営化を考えねばなりませんなあ。例の文科相が書いた「お願い」作文は、東大を始めとする全国の大学にも大量に配布されたのだそうです。一体、何を考えているのやら……。

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------
チベット語になった『坊っちゃん』書評や関連記事

最新の画像もっと見る