■楽しい話題が実に乏しい年末に、40億円もの公金をつぎ込んで実施た「学力テスト」の結果を公表するかしないかで国も地方も大騒ぎしております。実施した本当の目的は日教組の影響力が強い地域の学力が低いことを実証するためだ!という、とても分かり易い解説をしてくれた中山前国交相の話が本当なのかどうかは、不思議に検証されていないようですが、公表するな!と主張している側は「序列化」や「過当競争」が起こるから、具体的な学校名が順番に並ぶような資料は公表するな!と言っているようです。
■序列化や競争の向こうには、名門大学・一流企業、あるいは高級官僚への道が続いているのでしょう。詰め込み教育を否定するための「ゆとり教育」が登場した時に、某週刊誌が文科省のキャリア官僚の子供たちのほとんどが有名進学塾に通っているという、驚く者など居ない当たり前の調査結果を記事にしていましたなあ。大分県で発覚した教育行政のポストを内輪で私物化している人事問題でも明らかなように。問題は「競争」ではなくて犯罪になる「不正」と「情実」でしょう。この件は巧みに大分県限定の特殊な事件としてテキパキと裁判も進んで大急ぎで蓋をしようと、誰かさんは一生懸命のようですが……。
関西プレスクラブの12月定例会が26日、大阪市北区のヒルトン大阪で開かれ、京都大学の松本紘総長が「時空と大学~京都大学のポジション」と題して講演した。今年10月に総長に就任した松本氏は、京都大の今後について「世界的な大競争時代に突入する中で、知の追究だけではいけない」とし、「30~40年先を目指して、世界を見渡せるような学生を育てていきたい」とした。
■天下の京都大学ともなりますと、「時空と大学」などという大仰なテーマで話をしなければならないのでしょうか?単に「時代と大学」「現代と大学」でも十分すぎるような話の内容のようなのですが……。湯川秀樹博士以来、理系のノーベル賞の後光が射している京都大学ですが、今年の大量受賞者の中に京都大学と縁が有る人は居なかったようですし、そもそも湯川博士も米国に移ってからの研究活動が物を言ったという説も多いようですから、今頃になって「大競争時代」を持ち出しているようでは、在学生も入学希望者も落胆してしまうかも?
講演では「社会として生き残りをかけた人類の本格的な生存競争が始まる」と指摘。その上で大学のあり方について、「エネルギー資源の乏しい日本で何を優先的に取り組むか、その中で大学として何をすべきかを改めて問うていくべきだ」と話した。
2008年12月26日 産経ニュース
■エッ?「問う」のは素人庶民で、大学人はそれに「答える」のが任務なのではないでしょうかな?「何を優先的に取り組むか?」「何をすべきか?」を問い続けるだけなら、生徒を指導する指針が無い!という実情を正直に告白したようなものです。国家100年の計とは申しますが、「30年~40年先」と妙に遠慮して時間を区切っているところは「時空」という壮大なテーマとは合致しないようです。
■それよりも、新学長の口から「生存競争」という、聞き様によっては物騒な響きのある言葉が飛び出したことに注目しましょう。話は1箇月ほど遡ります。
(11月)18午前10時45分、京都市左京区 京都府宇治市の無職、伊達悟さん(57)が刺殺された事件で、事件3日前のトラブルで伊達さんにけがをさせた傷害容疑で逮捕された京都大学職員、岩手利之容疑者(50)について、伊達さんが通報時に「酒くさかった」などと話していたことが18日、わかった。府警は同日、岩手容疑者を送検するとともに、勤務先の京都大学数理解析研究所(京都市左京区)や宇治市内の自宅などを家宅捜索。殺人事件との関連についても慎重に捜査している。……
■京都大学の「数理解析研究所」に殺人容疑で司直の捜査が入るとは、まるで『刑事コロンボ』に出て来るような話ですなあ。コロンボ・シリーズなら、理系の知識と論理を駆使して凡人には絶対に見破れないトリックを使った凶悪犯罪が起こって、そこによれよれのコートを来たコロンボがチビた葉巻を加えて現われるのでしょうが、日本の京都大学ではその種のドラマは成立しないようです。
岩手容疑者は10月22日未明、伊達さんが生活拠点にしていた乗用車にぶつかってトラブルになり、もみ合った末に双方が負傷。伊達さんは110番通報し、駆けつけた警察官に「相手は知らない男で、酒くさかった」などと話していたといい、府警は岩手容疑者が当時、飲酒していた疑いがあるとみている。一方、岩手容疑者は調べに「相手が向かってきたから抵抗した」などと供述。自身も頭を殴られて負傷、出血したが、帰宅時には血は止まっていたため、病院には行かなかったという。
2008年11月18日 産経ニュース
■結局、岩手容疑者は殺人容疑で再逮捕され、大学も懲戒免職になってしまったのだそうです。真相は裁判で明らかになるのでしょうが、自動車暮らしをしている人の「自宅」に酔っ払って追突した京都大学の職員が、通常の事故処理をせずに刃傷沙汰の喧嘩をして結果的に刺殺してしまったという事件です。国立大学の50代の職員がホームレス同然の50代の男を殺害する。流行語になった、勝ち組と負け組との衝突事故とも言えそうですが、こういう場合に「生存競争」などという恐ろしい言葉は聞きたくないものです。
■この刺殺事件の1箇月前にも、京都大学の校内で暴行事件が起きています。
京都大は(9月)16日、教授に暴行したとして低温物質科学研究センターの男性助手(57)を停職10日の懲戒処分にした。……助手は昨年5月8日、同センターの男性教授(59)に貸したタオルが返却されないのに腹を立て、学内で教授の眼鏡を手でたたき落とし、教授や近くにいた学生らに暴言を吐くなどした。教授は唇から出血したという。京大は「就業規則に違反して学内の秩序を乱した。再発防止に努めたい」としている。
2008年9月16日 産経ニュース
■ほぼ同じ歳の教授と助手という関係は、単なる「タオルの貸し借り」を切っ掛けにして暴力沙汰に到るほど複雑で危険なものなのでしょうなあ。医学部の暗部は『白い巨塔』という名作に描かれていますが、何処の学部も内側では相当にどろどろした感情が渦巻いているようです。学問研究や教育よりも学内政治が大好き!という変な大先生が蠢いていたり、新進気鋭の若手を陰湿に虐めて潰してしまったり、それも一種の「生存競争」と呼べないこともなさそうですなあ。
京都大学は(9月)10日、東京都内の会社役員から高級腕時計を受け取ったとされる工学研究科の男性教授(60)を訓告処分に決めたと発表した。京大では昨年8月、同研究科の研究生だった役員から約130万円の腕時計を受け取ったとする報道を受け、調査委員会を設置し聞き取りなどをしていた。時計の授受は確認できず、懲戒処分を見送ったが、総合的に判断して訓告処分にしたという。この役員は、パチンコ情報提供会社「梁山泊」グループ実質経営者らによる株価操縦事件で証券取引法(現金融商品取引法)違反罪に問われ、大阪地裁で公判中。
2008年9月10日 産経ニュース
■これも京都大学の理系学部内で起こったものですが、工学研究科の「研究生」が会社「役員」で、その裏に株価不正操作の犯罪集団が潜んでいるという実に奇怪な事件であります。IT技術の塊と化したパチンコ遊具には高度な工学的な技術と情報が必要とされるのなら、京都大学の工学研究科で最新のパチンコ技術を研究している人物が存在するとしても不思議ではありません。しかし、60歳の教授が130万円の高級時計を貰う具体的な理由は不明で、もともと国会の証人喚問より捜査能力が劣る大学内の調査委員会では真相究明などは最初から不可能なのは分かっているようなもので、意味不明の「総合的に判断して訓戒処分」という体面を繕う玉虫色の処分になるのも当然でしょう。これもやっぱり一種の「生存競争」なのでしょうなあ。
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■序列化や競争の向こうには、名門大学・一流企業、あるいは高級官僚への道が続いているのでしょう。詰め込み教育を否定するための「ゆとり教育」が登場した時に、某週刊誌が文科省のキャリア官僚の子供たちのほとんどが有名進学塾に通っているという、驚く者など居ない当たり前の調査結果を記事にしていましたなあ。大分県で発覚した教育行政のポストを内輪で私物化している人事問題でも明らかなように。問題は「競争」ではなくて犯罪になる「不正」と「情実」でしょう。この件は巧みに大分県限定の特殊な事件としてテキパキと裁判も進んで大急ぎで蓋をしようと、誰かさんは一生懸命のようですが……。
関西プレスクラブの12月定例会が26日、大阪市北区のヒルトン大阪で開かれ、京都大学の松本紘総長が「時空と大学~京都大学のポジション」と題して講演した。今年10月に総長に就任した松本氏は、京都大の今後について「世界的な大競争時代に突入する中で、知の追究だけではいけない」とし、「30~40年先を目指して、世界を見渡せるような学生を育てていきたい」とした。
■天下の京都大学ともなりますと、「時空と大学」などという大仰なテーマで話をしなければならないのでしょうか?単に「時代と大学」「現代と大学」でも十分すぎるような話の内容のようなのですが……。湯川秀樹博士以来、理系のノーベル賞の後光が射している京都大学ですが、今年の大量受賞者の中に京都大学と縁が有る人は居なかったようですし、そもそも湯川博士も米国に移ってからの研究活動が物を言ったという説も多いようですから、今頃になって「大競争時代」を持ち出しているようでは、在学生も入学希望者も落胆してしまうかも?
講演では「社会として生き残りをかけた人類の本格的な生存競争が始まる」と指摘。その上で大学のあり方について、「エネルギー資源の乏しい日本で何を優先的に取り組むか、その中で大学として何をすべきかを改めて問うていくべきだ」と話した。
2008年12月26日 産経ニュース
■エッ?「問う」のは素人庶民で、大学人はそれに「答える」のが任務なのではないでしょうかな?「何を優先的に取り組むか?」「何をすべきか?」を問い続けるだけなら、生徒を指導する指針が無い!という実情を正直に告白したようなものです。国家100年の計とは申しますが、「30年~40年先」と妙に遠慮して時間を区切っているところは「時空」という壮大なテーマとは合致しないようです。
■それよりも、新学長の口から「生存競争」という、聞き様によっては物騒な響きのある言葉が飛び出したことに注目しましょう。話は1箇月ほど遡ります。
(11月)18午前10時45分、京都市左京区 京都府宇治市の無職、伊達悟さん(57)が刺殺された事件で、事件3日前のトラブルで伊達さんにけがをさせた傷害容疑で逮捕された京都大学職員、岩手利之容疑者(50)について、伊達さんが通報時に「酒くさかった」などと話していたことが18日、わかった。府警は同日、岩手容疑者を送検するとともに、勤務先の京都大学数理解析研究所(京都市左京区)や宇治市内の自宅などを家宅捜索。殺人事件との関連についても慎重に捜査している。……
■京都大学の「数理解析研究所」に殺人容疑で司直の捜査が入るとは、まるで『刑事コロンボ』に出て来るような話ですなあ。コロンボ・シリーズなら、理系の知識と論理を駆使して凡人には絶対に見破れないトリックを使った凶悪犯罪が起こって、そこによれよれのコートを来たコロンボがチビた葉巻を加えて現われるのでしょうが、日本の京都大学ではその種のドラマは成立しないようです。
岩手容疑者は10月22日未明、伊達さんが生活拠点にしていた乗用車にぶつかってトラブルになり、もみ合った末に双方が負傷。伊達さんは110番通報し、駆けつけた警察官に「相手は知らない男で、酒くさかった」などと話していたといい、府警は岩手容疑者が当時、飲酒していた疑いがあるとみている。一方、岩手容疑者は調べに「相手が向かってきたから抵抗した」などと供述。自身も頭を殴られて負傷、出血したが、帰宅時には血は止まっていたため、病院には行かなかったという。
2008年11月18日 産経ニュース
■結局、岩手容疑者は殺人容疑で再逮捕され、大学も懲戒免職になってしまったのだそうです。真相は裁判で明らかになるのでしょうが、自動車暮らしをしている人の「自宅」に酔っ払って追突した京都大学の職員が、通常の事故処理をせずに刃傷沙汰の喧嘩をして結果的に刺殺してしまったという事件です。国立大学の50代の職員がホームレス同然の50代の男を殺害する。流行語になった、勝ち組と負け組との衝突事故とも言えそうですが、こういう場合に「生存競争」などという恐ろしい言葉は聞きたくないものです。
■この刺殺事件の1箇月前にも、京都大学の校内で暴行事件が起きています。
京都大は(9月)16日、教授に暴行したとして低温物質科学研究センターの男性助手(57)を停職10日の懲戒処分にした。……助手は昨年5月8日、同センターの男性教授(59)に貸したタオルが返却されないのに腹を立て、学内で教授の眼鏡を手でたたき落とし、教授や近くにいた学生らに暴言を吐くなどした。教授は唇から出血したという。京大は「就業規則に違反して学内の秩序を乱した。再発防止に努めたい」としている。
2008年9月16日 産経ニュース
■ほぼ同じ歳の教授と助手という関係は、単なる「タオルの貸し借り」を切っ掛けにして暴力沙汰に到るほど複雑で危険なものなのでしょうなあ。医学部の暗部は『白い巨塔』という名作に描かれていますが、何処の学部も内側では相当にどろどろした感情が渦巻いているようです。学問研究や教育よりも学内政治が大好き!という変な大先生が蠢いていたり、新進気鋭の若手を陰湿に虐めて潰してしまったり、それも一種の「生存競争」と呼べないこともなさそうですなあ。
京都大学は(9月)10日、東京都内の会社役員から高級腕時計を受け取ったとされる工学研究科の男性教授(60)を訓告処分に決めたと発表した。京大では昨年8月、同研究科の研究生だった役員から約130万円の腕時計を受け取ったとする報道を受け、調査委員会を設置し聞き取りなどをしていた。時計の授受は確認できず、懲戒処分を見送ったが、総合的に判断して訓告処分にしたという。この役員は、パチンコ情報提供会社「梁山泊」グループ実質経営者らによる株価操縦事件で証券取引法(現金融商品取引法)違反罪に問われ、大阪地裁で公判中。
2008年9月10日 産経ニュース
■これも京都大学の理系学部内で起こったものですが、工学研究科の「研究生」が会社「役員」で、その裏に株価不正操作の犯罪集団が潜んでいるという実に奇怪な事件であります。IT技術の塊と化したパチンコ遊具には高度な工学的な技術と情報が必要とされるのなら、京都大学の工学研究科で最新のパチンコ技術を研究している人物が存在するとしても不思議ではありません。しかし、60歳の教授が130万円の高級時計を貰う具体的な理由は不明で、もともと国会の証人喚問より捜査能力が劣る大学内の調査委員会では真相究明などは最初から不可能なのは分かっているようなもので、意味不明の「総合的に判断して訓戒処分」という体面を繕う玉虫色の処分になるのも当然でしょう。これもやっぱり一種の「生存競争」なのでしょうなあ。
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