「ゴシックとは何か」

2010-04-20 20:03:39 | 

を読む。酒井健著。ちくま学芸文庫。

 ゴシック建築特有の、天を目指すかのように高くそびえる尖塔。それは、中世の人々の無限志向の表現であるという。無限、すなわち神との交流を彼らは求めた。そのために、ゴシック建築の多くは未完成のまま放置された。完成とは明確な限定を設けることであり、無限と対立するものだから。

 1980年のモンスターズ・オブ・ロックにおける、レインボーの「スターゲイザー」を思い出す。この曲でリッチー・ブラックモアは、ギター・フレーズを徐々に徐々に上昇させ、頂点に上りつめたかと思ったその瞬間に音を途切れさせた後、(未完成のままに)一気に下降に移っている。これこそは、ゴシックの無限志向を現代において復活させたものではなかったか。

 他にも興味深い記述が多い。「プロテスタンティズムが資本主義を発達させたのではない。現実の厳しい経済競争を正当化するのにつごうがいいから、当時の人々がプロテスタンティズムを選択したのだ」、とか。好著にゃ。
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