「ハーメルンの笛吹き男」を読む。阿部謹也著。ちくま文庫。
だれもが知っているこの伝説のもとになったのは何か、さまざまな説があるが、著者はひとつひとつ丁寧に追いかけていて、「萌えっ」ときてしまう。特に、第二次大戦に敗れて、ズデーテンからすってんてんになってドイツ本土に引き揚げた研究者が、この伝説を自分のルーツである中世ドイツ人の東方植民に結びつけて解釈するエピソードは、感動的で泣かせる。
当時の「笛吹き男」=「遍歴楽師」の描写が生々しい。挿絵や写真も豊富で、見ているだけで楽しくなる。バルタザール・ベッカーの肖像画も拝めるにょ。