要注意!これが「打たれ弱い」部下へのNGワードだ

2012年11月29日 11時28分39秒 | Weblog
 「我慢が足りない」「些細な失敗でくじけやすい」若手社員が急増しているという。「打たれ弱い」社員とどう向き合っていけばいいのかを探った。

■ネガティブ思考の人ほど打たれ弱い

 ちょっと厳しく叱っただけなのに、次の日からその部下が会社に来なくなった――。極端な例だが、多くの企業で起きている。その理由として、「20~30代を中心に、我慢が足りない、葛藤場面に弱い、些細な失敗でくじけやすいといった『打たれ弱い』人が増えているからです」とメディカルケア虎ノ門の五十嵐良雄院長は分析する。

 打たれ弱い若者が増えている理由はいくつか考えられる。例えば、社会人になるまでに人間関係の訓練ができていないこと。気の合う友人同士のつきあいといった横の関係は濃密なものの、縦の関係の経験が不足している。そのため、会社勤めでは当たり前である上司と部下といった上下関係によるプレッシャーに耐えられず心が折れてしまう。

 部下が、打たれ弱いかどうかを見分けるポイントは何か。企業にEAP(従業員支援プログラム)を提供するアドバンテッジリスクマネジメントの執行役員研究開発担当エグゼクティブカウンセラーの奈良元壽氏によれば、ネガティブ思考に陥りやすい人や悲観的思考が強い人ほど打たれ弱いという。

 さらに「最近の研究では、自分自身と自分の思考や感情との距離感がうまく取れていない人も、打たれ弱いことがわかっている」(奈良氏)。つまり、観察者の立場で自分の思考や感情を捉えられればそれらに振り回されないが、一体化してしまうと些細なことにも大げさな行動を起こしてしまうという。

 また、過去や未来の出来事が優位になり、現在のことに集中できない人も打たれ弱いことがわかっているという。過去の失敗や未来の不安に捉われ、少しのミスにも動揺してしまう。

 では、こうした打たれ弱い部下を持つ上司は、どのように彼らと接したらよいのだろうか。

 「まずは、褒めること。いいところを見つけて褒めることで、相手の不安や緊張感を取り除いてあげることが必要です」と五十嵐氏は話す。

 メンタルヘルスに特化したコンサルティングを行うメンタルグロウの相場聖社長は、「打たれ弱い部下の褒め方には2つのポイントがある」という。

 一つは、具体的に褒めること。どの仕事のどの部分がよかったのか、どの辺が評価に値するのかなどをきちんと伝えることが大事だという。

 もう一つは、当たり前のことでも、きちんとこなしていることに関して褒めること。打たれ弱い部下の場合、自信をつけさせていくことが重要で、「自分自身が意識していない、当たり前にできていることも、評価を言葉で伝えてあげることが本人の自信につながる」(相場氏)。

 褒めるだけでは、人は成長しない。「言うべきことはしっかり言うことが必要」(五十嵐氏)であり、時には叱ることも大事だ。相場氏によれば、打たれ弱い人を叱る際、その人自身の人間性を否定するような言い方ではなく、事実を伝えていくことが大切だという。そのうえで「これからどうすればいいのか」「同じ失敗を繰り返さないようにするためにはどうすればいいのか」を自分で考えさせていくことが必要となる。

 また、「私は、君が○○してくれたら、とてもありがたい」というように、肯定的な依頼をすることが重要だと奈良氏は指摘する。そして失敗の対策は短期的かつ改善しやすいものにする必要があるという。例えば、よく遅刻する部下に対して「おまえはだらしがないだめなやつだ」と怒るのではなく、「遅刻はよくない。これからは、いつもより10分早く起きてみなさい」と、達成しやすい改善目標を指摘する。さらに「直面した困難さや辛さから逃げ出さず、部下と一緒にしみじみと味わい、自分の感情をコントロールさせることも重要です」(奈良氏)と付け加える。

■「新型うつ病」への対処法

 打たれ弱いこと自体は決して病気ではないが、最近では、不幸にして、部下がメンタルな疾患をわずらってしまうことも少なくない。その場合は、産業医や精神科医に診察してもらうことが何よりも肝心だ。

 「面倒見のいい上司は、メンタルな疾患に罹患した部下の問題を一人で抱え込み、自分まで調子が悪くなってしまうことがあります。自分の健康を管理するうえでも、医師や上役に相談することが重要です」と五十嵐氏は話す。

 メンタルな疾患にもいろいろあるが、その代表的なものが「うつ病」だ。「うつ病は従来、40~50代の人がよく患う病気でしたが、最近は20代後半~30代が中心になってきています」。五十嵐氏はその傾向についてこう語る。

 特に最近、20~30代を中心に増えているのが、従来型のうつ病と異なる特徴を持つ「新型うつ病」だ。相場氏は、「新型うつ病という名前は正式な病名ではなく、基準すら明確になっていませんが、従来型のうつ病とは明らかに違う病態として増加しています」と説明する。

 従来型のうつ病の特徴は、頑張りすぎて疲弊し、一人で悩みを抱え込んで発症してしまうことが多く、「自分が悪い」「自分はだめな人間だ」といった自責傾向が強い。

 これに対して新型うつ病は、自分の好きな仕事や活動のときだけ元気になったり、自責感に乏しく、他責的で、自分のうつ症状を会社や上司のせいにしたりするといった傾向がある。

 相場氏によれば、新型うつ病になってしまった部下と接する際のポイントは4つある。

 1つは、「頑張れ」などの励ましの言葉を避けること。これは従来型のうつ病に限らず、新型うつ病でも同じである。

 2つ目は、「○○してはいけない」「○○でなければだめだ」といった強制的・管理的な関わり、関係性を避けること。

 3つ目は、愛情型のコミュニケーションを取ること。まずは相手を受容し、心の痛みをわかろうとするといったことだ。

 4つ目は、自立促進型のコミュニケーション。相手が自分自身で行動していけるように接することで、これが新型うつ病への対応のキーポイントになる。

 打たれ弱い部下を持つ上司は、何かと気を使うことが多くなりそうだ。しかし、自分のチームに打たれ弱い部下がいたとしても、うまくコントロールしてチームに貢献できる人材に育てることができれば、チームの業績が上がるだけでなく、上司自身のリーダーとしての資質も磨かれていく。打たれ弱い部下は邪魔な存在ではなく、上司を鍛えてくれる“切り札”だと考えてみてはいかがだろうか。

百瀬崇=文 宇佐見利明=撮影

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120831-00007017-president-bus_all

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