人生案内「異動で嫌々向かない仕事」

2011年08月25日 09時23分02秒 | Weblog
 30代半ばの公務員男性。今春の異動で、行きたくなかった部署に配属されました。その後は体調がすぐれず、仕事に対してやる気を持てない状態です。

 今の部署は、業務が専門的で忙しく、時間外勤務も当たり前のようにあります。以前から、私には性格的に向かない仕事だと思っていました。前の部署の上司にお願いされ、仕方なく異動に応じたのですが、実際に業務に携わってみると、やはりしんどくて、今更ながら受けるのではなかったと後悔ばかりしています。

 前の部署の仕事にようやく慣れてきて、もう一年頑張ろうと前向きになっていたのに、今回の異動で働く意欲をなくしました。毎朝の通勤がつらく、仕事をしてもすぐ疲れを感じます。

 私はいやだという気持ちをあまり顔に出さないので、言われた仕事を淡々とこなすようなタイプと、周囲には思われているようです。でも、実際はいろいろと葛藤しながら職場にいるのです。

 休日も仕事のことを考えてしまい、いやになります。日々の充実感がありません。どうすればこの状況を打開できるでしょうか。(愛媛・R男)


 食わずぎらい、という言葉があります。あなたの仕事に対してのえり好みの激しさには、この言葉が感じられます。いやだな、やりたくない仕事だな、と思っていた仕事を命じられたので、アレルギー反応を起こしたのでしょう。

 こういう時には、やみくもに拒否するのでなく、いやいやながらでも試食をしてみることです。あなたが想像していたのと違って、大変おいしかった、ということが多くあるからです。あなた好みの味であった、なんて案外な発見をするかも知れない。

 食わずぎらいの人は、自分勝手に「いやな味」を想像していやがっているのです。「いやな味」こそ本当は美味なのに、食わずぎらいの人は、みずから食の世界を狭めて生きているのです。もったいない。

 あなたは、自分の性に合わない仕事だ、とおっしゃる。仕事をしてみて、自分の性に合わせるのです。人は仕事で人間形成を成すのです。その意気込みで、充足した日々を送るのです。

 (出久根 達郎・作家)

(2011年8月23日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/gakko/20110823-OYT8T00119.htm

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