プレッシャーと緊張を跳ね飛ばす 「医学的」で簡単な方法

2011年06月28日 19時07分56秒 | Weblog
(鶴岡 弘之)

ストレッチは本当にケガの予防になるのかと、疑問に思っていた。一時期、足のふくらはぎがよく痙攣(けいれん)することがあった(経験したことがある人は分かると思うが、激痛である)。痙攣するのはたいてい一日中歩きまわって疲れている時や、スポーツをしている最中だった。
. ストレッチは本当にケガの予防になるのかと疑問に思っていた。

 一時期、足のふくらはぎがよく痙攣(けいれん)することがあった(経験したことがある人は分かると思うが、激痛である)。痙攣するのはたいてい一日中歩きまわって疲れている時や、スポーツをしている最中だ。

 スポーツをしている時に痙攣が起きるのは準備運動が足りないせいだと思い、入念に足のストレッチを行い、ふくらはぎを伸ばすようにした。だが不思議なことに、そうするとますます痙攣が増えるのだ。

 痛い思いを何度か繰り返して、ある時、本当にストレッチは効果があるのかと疑うようになった。運動前にストレッチをすればするほど、ふくらはぎの筋肉がコチコチに固くなっている気がする。もしかしたら、ストレッチは筋肉を緊張させているだけではないのか。その緊張が痙攣を誘発しているのではないか──。

 もう1つ、スポーツをしていて疑問に思っていたことがある。プレッシャーがかかると、なぜ身体が動かなくなるのか、ということだ。

 例えばゴルフでもテニスでも、練習では楽々とできていることが、本番になるとできなくなる。特にプレッシャーのかかる大事な場面になると、体の各パーツの可動域が狭くなって、思うように動けなくなるのだ。自分の体に一体何が起きているのか。

身体の「恒常性」を一定に保つのが自律神経の大きな役割
 そうした疑問に対して、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏が著した『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』は、明快で納得のいく解答を示してくれた。

 一言で言うと、痙攣が起きるのも身体が動かなくなるのも、自律神経のバランスが崩れている状態だったのだ。

 「自律神経」とは何か。改めて説明すると、自律神経は内臓や血管の機能をコントロールする神経である。

 体の「恒常性」を一定に保つのが、自律神経の大きな役割だ。つまり、外部環境の変化に左右されずに、体の内部環境を一定に保つ役割を担う。人間の意識とは無関係に心臓が脈打ったり、眠っている間も呼吸が続いたりするのは自律神経のおかげである。

 ご存じのように、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類がある。

 交感神経は心や体が「興奮」する時に優位に働き、副交感神経はくつろいでいる時や眠る時など「リラックス」する時に優位に働く。だから、交感神経はアクセルに、副交感神経はブレーキに例えられる。

自律神経のバランスが崩れると様々な病気になる
 交感神経と副交感神経はスイッチのように切り替わって、常にどちらかが優位になって働いているように思われがちだ。しかし、本書によれば、<体がもっともよい状態で機能するのは、実は、交感神経も副交感神経も両方高いレベルで活動している状態の時>なのだという。


 具体的には、自律神経のバランスが崩れると、例えば以下のような症状が現れるという。

・免疫力が低下する

 交感神経が優位になると顆粒球(かりゅうきゅう:白血球の一種)が増える。一方、副交感神経が増えるとリンパ球が増える。

 どちらもウイルスや細菌といった外敵の侵入から身体を守るものだが、バランスが崩れると自分を傷つけてしまう存在となり、かえって病気にかかりやすくなる。自律神経のバランスがいい時が、最も「免疫力」が高い状態なのである。


 自律神経は気温の影響を受ける。そのため、季節の変わり目は自律神経のバランスが崩れやすくなる。季節の変わり目によく風邪をひくのはそのためだ。寒いから風邪をひくのではない。

・頭痛や不整脈が起きる

 交感神経が働くと血管は収縮し、副交感神経が働くと血管は弛緩する。そのため、過剰に交感神経が優位になると血管も過剰に収縮し、頭痛や不整脈を引き起こす。

・ケガをしやすくなる

 冒頭で、入念にストレッチをしても、ふくらはぎが痙攣したと述べた。小林氏によれば、実は「運動前の間違ったストレッチは、自律神経のバランスを崩してケガをする原因になる」のだという。

 筋肉には、縮める時に働く「屈筋」と、伸ばす時に働く「伸筋」の2種類がある。多くの人が行っているストレッチは、屈筋か伸筋かのどちらか一方しか伸ばしていない。それが自律神経のバランスを崩し、筋肉に送られる血液のアンバランスを招くことになる。

 要するに、ふくらはぎを局部的に伸ばす私のストレッチは間違っていたのである。ただ単にケガの原因を生み出していただけであり、むしろ、やらない方が良かったというわけだ。

 
副交感神経のレベルを上げればプレッシャーに打ち勝てる


 自律神経のバランスは、主に副交感神経のレベルが上下することで取られている。だから、副交感神経の低下を防ぐことが、バランスを取る上で大きなポイントとなる。

 実力のあるスポーツ選手であっても本番での調子にばらつきが生じてしまうのは、副交感神経が上下するためだという。

 小林氏によれば、プレッシャーがかかったり、緊張した時に身体が動かなくなるのは、副交感神経のレベルが下がって、身体の末梢部分に血が行き届かなくなるからである。だから、パフォーマンスを上げるためには、副交感神経のレベルを上げて血流を良くすればよい。

 一流のスポーツ選手は、意識する、しないにかかわらず、自らコントロールすることによって副交感神経のレベルを高めているという。

 どうすれば副交感神経のレベルを上げられるのか。小林氏は、私たちが日常生活の中で自律神経をコントロールする方法、特に副交感神経を高めるためのポイントを挙げてくれた。

<1> ゆっくり動き、ゆっくり呼吸する

 仕事でもスポーツでも、あせるとミスが増えるのは、せかせかした動きが副交感神経を低下させ、自律神経のバランスを崩してしまうからだ。自分が「あせっているな」と思ったら、意識的にゆっくり動き、ゆっくり呼吸してみる。

 深呼吸は極めて有効である。「プロゴルファーの尾崎将司さんや丸山茂樹さんは、パットの時、『ふーっ』てうるさいぐらいに深く呼吸しています。自律神経の理論を知っているかどうかは分かりませんが、そういう呼吸をするとパットが良くなることに気付いているんですよ」(小林氏)

 深呼吸は、1の長さで吸って2の長さで吐く。鼻で吸うとか、「へそ」に力を入れるとか、そんなことはまったく気にしなくていいという。

<2> 水を飲む

 冷たい水を飲むと「胃結腸反射」(胃腸のぜん動運動を促す反応)が誘発され、腸が活発に動くようになる。腸が動けば、副交感神経が刺激される。自分が「仕事で張り詰めているな」という時は、水を飲むとよい。

<3> 睡眠をしっかりとる

 睡眠不足は自律神経のバランスを著しく狂わせる。徹夜をすると、翌朝は副交感神経のレベルがほとんど上がってこない。6~7時間程度の睡眠は必要。

<4> スポーツの前は正しい準備運動を行う

 ウォーミングアップを行う本来の目的は筋肉をほぐすことではない。血流を良くして「体を暖める」こと。つまり、身体の隅々まで血流を行きわたらせることにある。

 スポーツ前の準備運動は以下の4種類だけでよい。ストレッチは必要ない。以下の準備運動は自律神経のバランスを整えるとともに、自律神経のレベルを上げるトレーニングにもなるという。

(1)両手を上に上げる。右手で左手の先をつかみ、引っ張りながら、体をできるだけ横に倒す。倒す時はゆっくり息を吐く。それを両方の手で行う。

(2)両手を前に出し、右手で左手の先をつかむ。そのままできるだけ横に引っ張る。引っ張る時にゆっくり息を吐く。それを両方の手で行う。

(3)右腕を前に出して折り曲げ、右ひじを左手で固定する。右手の手のひらを上に向けて、手首をぐるぐると回す。両方の腕で行う。

(4)椅子に腰かけ、右の足首を左のひざの上に乗せる。その状態で右の足首をぐるぐると回す。両方の足で行う。

 たったこれだけ。随分と簡単である。これらの準備運動でなぜ自律神経のバランスが良くなるのかは本書に説明があるので、読んでいただきたい。

<5> 緊張したら(ビビったら)自然を味方につける

 草や木の香りをかいだり、風を感じてみる。または、周囲の様子や周りにいる人の顔を見わたしてみる。そうすると呼吸がゆっくりになり、自律神経がバランスを取り戻す。

リラックスしすぎてもパフォーマンスは上がらない
 ただし、常に副交感神経のレベルだけを上げればいいと考えるのは間違いらしい。「リラックスしすぎても、パフォーマンスは落ちる」のだという。

 例えばゴルフだと、終盤まで優勝争いしていた選手が、もう優勝がなくなったと分かった途端に、パットが入らなくなる。または、ほぼ優勝が決まった鉄棒の選手が、落ちないことだけを考えて演技をすると、落ちてしまう。

 「今までの緊張の糸が切れてしまうんですね。副交感神経のレベルが上がってしまっている状態だからです。気が抜けてゆるんでしまい、ミスが出るんです」(小林氏)

 だから、緊張しすぎてもリラックスしすぎても、良い結果は出せない。「最も良いのは適度なストレスと適度な余裕を併せ持つこと」なのだ。

 本番で力を出せない人、プレッシャーに弱いと感じている人は、本書を一読してみてほしい。交感神経と副交感神経のメカニズムを知るだけでも、気の持ち方が大きく変わるはずだ。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/8058

本当は怖い「和食」に「ダイエット飲料」!? 食べ物に関する、あやふやで危うい知識を撲滅しよう!

2011年06月28日 16時16分10秒 | Weblog
You are what you eat.
すなわち、あなたのカラダは、あなたが口に入れたものから出来ています。



■「和食」ならなんでもいいわけではない
保健師:(川上さんの食事記録表をチェックしながら)川上さん、お昼は丼物が多いんですね
川上:えぇ、時間がないですからね。牛丼は旨い、安い、早いので、本当に重宝しています。パッと入って、思いっきりかき込んで、ササッと出て行く。まさに日本が世界に誇るファストフードですね
山下:ハンバーガーショップにも行かれていますね
川上:はい。毎日、牛丼じゃ、飽きますから。昔はよく子どもたちと一緒に行ったなぁ。子どもたちは景品のオモチャがお目当てなんですけどね。付き添いの私はポテトとハンバーガーにやられちゃいました。それ以来のリピーターです

 中年男性に大人気の「牛丼・天丼・カツ丼」は和食に分類されますが、エネルギーの過剰摂取につながるので、カラダを引き締めるためにはできるだけ避けたい食べ物です。

 かと言って、「蕎麦」は低カロリーな和食だからと、朝・昼・晩「蕎麦」だけという偏った食事も感心しません。たしかに体重は落ちますが、それに伴って筋肉も減ってメリハリのないカラダになってしまいます。

 筆者は外食する場合、できるだけ刺身定食や魚系の定食をチョイスするようにしています。ただお店によってはご飯が山盛りの場合があるので、少なめにしてもらって「よく噛んで」食べています。

 コンビニの場合は、おにぎりを基本にドレッシングが和系のサラダにしています。栄養学的にはベストな選択とはいえませんが、その分夜に野菜を多めに摂るなどして対応しています。

 また、ハンバーガーショップで定番のフライドポテト。使われている油がトランス脂肪酸といって、心筋梗塞の発症と密接に関わっています(使われている食品など詳細はコラム【トランス脂肪酸】を参照)。その他にも砂糖たっぷりのソフトドリンクも、カラダの引き締め、メタボリックシンドロームの改善には大敵です。そのことを、あまり気にせず(知らず)、「手軽だから」「時間がないから」という理由で頻繁に利用していると、後で大変なことになります。

 それからお子さんがいる方は、できればファストフード店に連れていくのはやめてください。

 なぜなら、子どものときの食習慣が大人の食習慣に大きく影響を及ぼす(トラッキング)からです。もし子どもが好きだ、喜ぶという理由だけで、ファストフードやソフトドリンクを食べ、飲ませていたらどうなるでしょう?

 大人になってもあまり健康的でないライフスタイルを送り、結果的に高血圧や糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高くなります。子どもさんの将来を本当に考えるなら、ぜひ一緒に「和食・よく噛む・お茶お水」に取り組んでみてください。教育に匹敵する投資効果があるはずです。

●【コラム】トランス脂肪酸

 トランス脂肪酸は、液状である不飽和脂肪酸を固形化する際に水素を加えることで発生する、不飽和脂肪酸です。マーガリンや調理油、ショートニングに加え、ポテトチップスなどのスナック類、ハンバーガー、フライドポテトといったファストフードや加工食品に使用される私たちにとって「身近な」油脂です。

 しかし近年、これらを大量に摂取することにより、さまざまな弊害があることがわかってきました。

1.LDL(悪玉)コレステロールを増加させ、HDL(善玉)コレステロールを
減少さる。結果的に心臓病(心筋梗塞や動脈硬化)のリスクを高める

2.アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎を引き起こす

3.高齢者の認知機能が早く低下する(CHAP: Chicago Health and
Aging Projects、Neurology誌2004年5月11日号に発表)

<トランス脂肪酸を含む食品一例>

マーガリン
ショートニング(パン、ケーキ、クッキーなどに使われている)
コーヒーフレッシュ
フライドポテト
カップ麺
菓子パン類
マヨネーズ
ハンバーガー・チキンナゲット・フライドチキンなどのファストフード類
ドーナッツ
ポテトチップス
カレーのルー
……など

お腹が空くと、力が入らない、は
よくある“勘違い”
■丼やファーストフードを減らすのは無理?
保健師:全般的にカロリーが高いので、もう少し量を減らすなり、ファストフードをやめるなり、できませんか?
川上:でも、お腹いっぱい食べないと、力が入らないんですよ。少食なんかにしたら、仕事に影響しちゃいますよ。それに今は食べることが唯一のストレス解消なんです。ハンバーガーをコーラでガーッと胃袋に流し込む。これが最高なんですよ。食事を減らしたり、好物の丼物やファストフードをやめるなんて、とても私には無理です

川上さんのように「お腹いっぱい食べないと、力が入らない。仕事にも影響する」とおっしゃる方は少なくありませんが、それは誤解です。

 何事も過ぎると良くありません。ではどのくらいが適量なのか? 日本語には「腹八分目」という非常に良い言葉がありますが、「少し物足りないかなぁ」で止めておくのがお勧めです(決して、食べないのではありません)。

 今までお腹いっぱい食べていた人にとっては、最初かなり空腹感を感じるかもしれませんが、それも数日で慣れてきます。むしろ、ちょっと軽い空腹感を心地良く思えるようになってきます。

●【コラム】ダイエットドリンクで脳卒中?

 商品の名称、味、匂い、色は違っても、ソフトドリンク(ジュース)は基本的にすべて「砂糖水」。頻繁に摂取していると、肥満だけでなく糖尿病や心筋梗塞、脳卒中などになるリスクも高まります。

 では0キロカロリーが謳い文句の「ダイエットドリンク」なら大丈夫なんでしょうか? 

 先日発表されたアメリカの研究では、2,564名の方を9年間追跡調査したところ、ダイエットドリンクを毎日飲む層は、ソフトドリンクを飲まない層より脳卒中や心筋梗塞などにかかる頻度が48%高いことが明らかになりました。この傾向は、年齢、性別、喫煙歴、運動、アルコール消費、過去の病歴の影響を取り除いて検討しても、変わらなかったということでした。

 なぜ0キロカロリーなのに、このような病気を引き起こすのか? そのメカニズムは未だ明らかになっていませんし、今後同様の調査を規模を広げて継続する必要があります。しかし、メカニズムが解明されてから控えるのでは遅すぎます。今からできるだけ控えることこそが、最善・最良のリスクマネジメントです。

 ちなみに、この記事で勧めていた望ましい飲み物は「水」でした(The optimal substitute is water.)。

http://diamond.jp/articles/-/11321?page=4

本邦初公開 名医のダイエット リバウンドしない  夕食は好きなものを食べる

2011年06月28日 16時09分54秒 | Weblog
(週刊現代)

「○○ダイエット」という情報で溢れかえっている現在、いったい何を手本としたらいいのか。本誌は減量に成功した医師たちに話を聞いた。医学的知識を持つ彼らこそ、正しい方法を知っている---。
.「○○ダイエット」という情報で溢れかえっている現在、いったい何を手本としたらいいのか。本誌は減量に成功した医師たちに話を聞いた。医学的知識を持つ彼らこそ、正しい方法を知っている---。

酒はOK、炭水化物はダメ
「僕は47歳のとき、3ヵ月で約20kgも痩せましたよ」

 そう語るのは、婦人科系がん治療の名医である東京医科大学(新宿区)産科婦人科学教室教授の寺内文敏医師(50歳)。身長179cmで、現在の体重は65kgほどの寺内医師だが、ピーク時の体重は85kgだった。

「太りだしたのは40歳を過ぎてからです。食事時間が不規則なうえ、出前ばかりで、どうしても脂っぽいものが多かった。月7回ほどある当直の日になると、夜中の12時過ぎにトンカツ定食みたいなものを食べて、すぐ仮眠するものだから、太るのは当たり前です。

 がんの手術では執刀医は立ちっぱなしで5~6時間かかることはざらです。長いときは10時間近くになることもある。それが、だんだん手術が終わると膝がガクガクするようになった。これは体重の影響だと分かりましたので、ダイエットすることにしたんです」

 多忙ななかで、現在の体重に戻すことができたのは、寺内医師が考え抜いた減量法を実践したからだ。

「そもそも肥満は摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスが原因で起きる。そこで、常に消費カロリーが摂取カロリーを上回る生活をしようと決めました」

 寺内医師は消費カロリーを増やすには、脂肪を燃焼させる有酸素運動が一番だと考え、週3回、スポーツジムで30分間水泳をすることをノルマにした。

「筋トレをして筋肉がつきすぎると細かい動きができなくなり、外科手術が下手になってしまう可能性があるんです。だから、筋肉量は落とさず体脂肪を減らすために、水泳を選びました。

 基本的に水泳は苦手で、しかも、クロールしかできない(笑)。最初は500m泳ぐのが精一杯でした。でも、クロールの酸素消費量は他の泳法よりずっと多くて平泳ぎの約2倍です。海外の学会に行くときもプールのあるホテルを選んで、空き時間に泳いでいました。帰国した日に成田からプールに直行という日もありましたね(笑)」

 食事面でも摂取するカロリーを設定し、それを超えないよう心掛けた。

「成人男子で私の体型だと、日常生活で消費するのは約2000kcal。そこで、1日の摂取量を1700kcal以下、1週間で1万1900kcalと設定しました。ですから、体重計に乗るのも週1回だけ。1週間単位にしたのは、毎日、厳密にカロリー計算していると、どうしても、ストレスが溜まってしまうから。食べ過ぎた日があれば、翌日は控えめにしてトータルの数字が目標と合えばいいと考えたんです」

間食は一切なし。ただし、「お酒は止めるとストレスになる」ということで、チューハイからカロリーの低いウーロンハイに切り替えたものの飲み続けた。

「食事は基本的に朝食はおにぎり2個くらい、炭水化物を控えたいときには牛乳にコーンフレークとゆで卵。昼は蕎麦に豆腐をつけたりして朝昼で合わせて500kcal。夜はお酒は飲みましたが、つまみを減らし、野菜をよく食べて炭水化物は取らない。この食事量でも特にストレスを感じませんでした」

 いまも、週1回はプールで泳ぎ、食事量の調節も欠かさないという寺内医師。

「水泳のおかげで減量しても筋肉が落ちていませんので、基礎代謝量も落ちていません。ですから、リバウンドはありませんね」

41kg落としたダイエット
 肝臓がん治療の権威、日本大学医学部附属板橋病院(東京・板橋区)の消化器外科教授の高山忠利医師(55歳)もカロリーバランスを重視する。食事は野菜中心の和食。カロリーや塩分を抑えるため、自宅では醤油は出汁醤油に、ドレッシングは自家製のタマネギドレッシングを楽しんでいる。

「夜は付き合いでどうしても飲む機会が多いので、アルコールを摂る分、食事は高カロリーなものは控えるようにしています。

 運動は、この1年ぐらいはジムのマシンで1日10kmは走っています。普段は仕事を終えた夜、週末は昼間。それで体重が5kgぐらいスッと落ちました」

 長時間の手術に備え、外科医は日々のカロリーコントロールに余念がない。

 NPO法人「寝たきり半分推進協議会」理事で地域医療に取り組む長野市大岡診療所所長・内場廉医師(52歳)は、「体重を計るだけダイエット」で大幅な減量に成功した。'05年12月の段階で、内場医師は身長181cmで体重122kg。それが、わずか6ヵ月で41・5kgも痩せた。

「朝起きて、体重を計り、記録するだけ。これで2週間で14kgも痩せることができた。それは、明日は今日よりも軽くなりたいという欲が生まれるからです。そうすると自然とお菓子を食べなくなったり、ウォーキングをしたり、自分から痩せる努力をするようになっていくんです」

 このダイエットの大切なポイントは二つ。一つは毎日欠かさず体重を記録すること。内場医師の診察室の前には体重計が置かれ、乗ると目の前にカレンダーが貼ってある。そこに体重を書き込んでいくのだ。そしてカレンダーは昨年、一昨年のものも脇に貼ってあるため推移も簡単に分かる。

「朝、前日よりも800gも体重が増えたら、その日は間食する気にならない。意識が変わるんです」

 ポイントの二つ目は停滞期があることを知ること。停滞期とは、減量に対して身体が防御反応を起こしエネルギーを蓄えようとする期間。どんなダイエットにもこの体重が落ちない時期があるが、そこであきらめないことが、肝心だと言う。

「多くの人がそこで、ガッカリしてやめてしまう。でも、この時期は実はそれまでのダイエットが成功している証拠。私は40kg落とす間に停滞期が6回ありました。それを乗り越えれば必ず痩せることができます」

 糖尿病治療の名医として知られる「しんクリニック」(東京・大田区)の辛浩基医師(52歳)も、毎日、体重計に乗っている。辛医師は79kgあった体重を、食べ方の工夫など無理なく続けられるダイエット法を組み合わせ、2ヵ月で6kg減らすのに成功した。

「それまではつけ麺にハマっていたんです。でも、炭水化物だけの食事は肥満の原因になる。外食のおすすめは和定食でご飯少な目です。これまで炭水化物中心の食事をしていた人は、完全に抜かなくてもそれだけで、減量につながります。またビールの原料は麦で、炭水化物ですから、それを控えるだけでも違います」

「食べる早さ」もポイントだ。栄養の吸収を高める早食いは肥満につながる。よく噛んで時間をかけるのが、太らない食べ方である。

 食事面の注意と並行して、辛医師は有酸素運動のやり方にも工夫をこらした。

「僕も一時はジムへ通っていましたが、自宅で手軽に有酸素運動ができる方法はないかと考えて、相撲の四股を10分間、寝る前に踏むことにした。走るよりはカロリー消費は少ないですが、息が上がって有酸素運動になります。腰や股関節のストレッチにもなるし、続けていると足腰がしっかりしてくるのが実感できます」

 同じく「食べ方」をひと工夫することで、10kgの減量を成し遂げたのが、糖尿病の専門医で、「ふくだ内科クリニック」(大阪・淀川区)院長の福田正博医師(54歳)だ。福田医師の工夫は「食べる順番」にあった。

「食事はまずしっかり野菜から食べるんです。歯ごたえのある野菜をよく噛んで食べ、次にタンパク質である魚や肉を摂り、最後に炭水化物であるご飯を食べる。外食でも定食だったら、トンカツの付け合わせのキャベツから食べるんです。最初に食物繊維を取ることで、脂肪や炭水化物の消化・吸収がゆっくりとしたものになり、その結果インシュリンの分泌が少なくてすみます」

 インシュリンがポイントなのだ。もし、ご飯を最初に食べるとどうなるのか?

「血液中に糖が急速に流れ込み、その糖を燃焼させるため、すい臓からインシュリンが大量に分泌されます。このインシュリンは利用しきれなかった糖を脂肪組織に蓄積する作用があり、肥満になりやすくなります」

 また、食べる順番を工夫することにより、満腹感も得やすくなり食べすぎることも少なくなるという。

 福田医師はウォーキングも実践している。

「通勤のため毎日往復で40分ほど速足で歩くようにしていたら、自然に体重の減りが良くなってきました。食べる順番の工夫とウォーキングを組み合わせることで、毎月1kgずつ減っていき、一番太っていたときは、身長170cmで、体重74kg。それが10kg減の63kg前後となり、リバウンドもありません」

1日2食でいい
 ユニークなのは社会保険中央総合病院(東京・新宿区)内科部長・山田春木医師(57歳)のダイエット法だ。わずか10ヵ月で体重103kgから83kgへの減量に成功した山田医師は、ダイエットを実行するにあたり、「これまで体に良いとされてきた健康常識をすべて無視した」という。山田医師が無視した「健康常識」の例は次のようなものだ。

●1日30品目は食べよう

「30品目も食べたらオーバーカロリーになって当たり前。太り気味の中高年が健康に良いと誤解して、余分なおかずに手を出したら、ますます太ってしまう」

●お酒を飲むときは、必ず一緒に何か食べる

「お酒を飲む際につまみを食べすぎると肥満の原因になります。私は肝臓が専門ですが、すきっ腹で酒を飲んだからといって、肝臓に悪いということはありません。肝臓を悪くするかどうかは、飲酒量の問題で、飲んだときに胃が空っぽであることとは関係ない」

●コーヒー、紅茶には砂糖を入れない

「スティック砂糖1本4~5gは最大に見積もっても20kcalしかない。ダイエットを始める前の私は毎日、ブラックコーヒーを飲んでいましたが、口が寂しくなり、クッキーなどに手を伸ばしていた。砂糖入りのコーヒーを飲むほうが、甘いものを食べたいという欲求を抑えられます」

●食事を抜くダイエットは不健康。きちんと1日3食を心掛けよう

「1日3食とらないと体に悪いという健康常識は、過食のためにメタボ化している中高年の実情にそぐわない。私の言いたいのは、健康常識にとらわれすぎず、自分の生活環境や性格、好みに合ったダイエットをすべきだということです」

 同様の考えで、循環器内科医・大阪大学大学院医学系研究科准教授の石蔵文信氏(55歳)は、「1日2食ダイエット」を実践中だ。

 実は石蔵氏、以前から体重が70kgを越すたびに、食事の回数を減らすダイエットを繰り返してきた。

「1日2食を1週間続け、その後、1日1食にするとすぐに7~8kgは体重が落ちる。そこで、また2食に戻し、さらに3食に戻すダイエットを続けていたんですが、あるとき、わざわざ3食に戻す必要があるのか疑問がわいて、1日2食で通すようになったんです」

 石蔵氏の朝食は朝7、8時頃。午後2時頃になると小腹がすくので、少しばかり大福など甘味を食べる。

「甘いものを食べると血糖値が上がり、空腹感が消え、夕食まで食事をせずにすむ。2食+間食の食生活をしていれば、体重も自然と減っていきますよ」

実際、1日2食を続ける石蔵氏はリバウンド知らずで、身長173cmで体重65kg前後を維持している。

●朝と昼を軽くする


横倉恒雄医師は脳とダイエットの関係に注目 最後に脳の働きに注目したダイエット法を紹介する。

「夕食は好きなものを、心ゆくまで食べてもいい」

 そう語るのは、婦人科医で横倉クリニック(東京・港区)理事長の横倉恒雄医師(63歳)だ。ちなみに身長172cmの横倉氏は、35歳のときに体重が80kgもあり、水泳だけのダイエットを行ったが、10kg減量するのに10年もかかったという。そこで、さらなる減量のために肥満に関する論文を読んでいたところ、人間の脳のメカニズムに注目したという。

「脳の中に間脳と呼ばれる部位があり、食欲や自律神経、ホルモンの分泌を司っています。

 この間脳に強いストレスがかかると、自律神経や満腹中枢が過剰反応し、過食につながる。肥満の元凶は、脳が受けるストレスなんです」

 脳下垂体ホルモンの研究が専門の横倉医師は、脳の疲労を取るには、「快食療法」が効果的だと考えた。

 食事制限をせずに、逆に夕食は好きなものを好きなだけ食べるのである。

「たとえば炭水化物抜きなどの食事制限をしていると、大脳は体が飢餓状態にあると判断し、空腹の情報を間脳に送ります。間脳は生きるための活動に必要なエネルギーを得るため食欲を増進させ、腸管は栄養の吸収が高まり、体内に溜め込もうと代謝が鈍くなる。

 一方、快食の状態にあるとき、脳はどう作用するのか。間脳は満たされた状態で栄養は十分と判断し、腸管での吸収は抑制方向に、余分なエネルギーは体外へ放出するよう代謝を活性化させるのです。さらに間脳は、大脳に満足感の情報を送るので食欲は抑えられるというわけです」

 横倉医師の普段の食生活は、まず夕食は「快食」。

「たとえば立食パーティなどであれば、もう全部のメニューを私は食べますね」

 ただし翌日の朝食はいつもコーヒーを一杯、昼食は蕎麦を軽く食べるだけ。
「前日の夜に十分に満足感を得ていますから、翌朝は食べたいという欲求が起きません。そもそも起床後、2時間は脳も体の細胞も目覚めていないため、寝起きに体に入れるのは水分で十分。ただしコーヒーには黒砂糖を入れます。糖分は脳を活性化する作用がありますからね。昼食も食べすぎては、午後は仕事にならない。お腹をすかせば、夕食は美味しくなりまた満足感を得ることができます」

 この快食療法を始めてから、横倉氏は半年で体重が5kg減った。現在は、それからさらに3kg落ち、体重は60kgほどだという。

「予防医学上の禁止や抑制の指導は、脳が疲れている人には〝不快〟として記憶され、かえってストレスを増強してしまうことがあるんです。ただし毎日体重を測ることも、人によってはストレスになりますが、それが〝快〟の行為となる人もいる。自分に合うダイエットは何なのか、実際に体験して、ストレスを感じない方法を探してください」

 成功への近道は己を知ることである

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/2243?page=6