モウリーニョとグアルディオラ

　熱心なリーガ・エスパニョーラファンのの間で

　「モウリーニョとグアルディオラのどちらが優れた監督か？」

　という議論があるようです。

　僕自身は現状ではモウリーニョの「優勢勝ち」という見方をしています。これは何も
彼が僕の好きなインテルを率いていたからという、単純な理由ではありません。

　ではどうして僕がモウリーニョがグアルディオラより一歩先を歩んでいると考えるのか？

　それはモウリーニョが監督しての場数がグアルディオラよりも多いという点。

　そして何より

　「異国で結果を出し続けてきたこと」

　にあります。

　母国ポルトガルを足がかりに、イングランドとイタリアでもその名を馳せたモウリーニョ。

　彼自身母語のポルトガル語だけでなく、英語、イタリア語に精通している上、今はスペイン
語も非常に上達している事でしょう。

　そして何より古巣のチェルシーとインテルのファンと選手の多くが、今でも彼を慕い続けて
いるその影響力。

　これはモウリーニョがクラブに至福の時をもたらしただけでなく、モウリーニョというひと
つの

　「文化遺産」

　を作ったと同じだと思うのです。

　一方のグアルディオラは皆さんご存知のように、非常に聡明な指揮官です。

　彼は監督としての経験はスペインのみですが、選手としてイタリアとメキシコ、カタールで
プレイした経験がありますから、異国の文化を肌で感じ自分の糧にしているに違いありません。

　ただグアルディオラが、バルセロナという

　「家」

　以外で監督を務めた際、果たしてモウリーニョのように、慕われ同時に優勝をもたらすこと
ができるか。という点では疑問があると感じます。

　勿論成功する可能性は非常に高いと思います。

　しかしその半面、バルセロナと同じ嗜好のサッカー、同じ育成の哲学を持つクラブは存在し
ないんですね。ライカールトがバルサを離れてからその手腕が聞かれなくなったように、グア
ルディオラにも同じ不安が感じられます。

　でもグアルディオラが仮にバルセロナを退団した際には、多くの監督要請が届くでしょう
し、彼も国外での挑戦を受け入れるはずです。

　言い換えれば異なるアイディンティティを持つクラブを常に優勝に導いているモウリーニ
ョは、やはり凄い監督です。

　彼のサッカーを退屈と考える識者も、その点は考慮しなくてはいけません。