「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

竹皮を脱げり耳掻くマッチ棒  及川原作 (7月号滝集) 

2010-08-02 12:29:04 | 日記
 皮を脱いだ竹の青さと、マッチ棒の赤の鮮やかさにも惹か
れたがその仕草で、一瞬に時代をさかのぼり、私は祖父の傍
らに幼くいる気がした。
 祖父はタバコを吸う人で、卓上にはいつもマッチ箱があっ
た。耳を掻いていたことも確かにあった。綿棒の形状が似て
いることを思えば耳掻きに適した形なのだろう。
 「竹の皮脱ぐ」の季語を合わせたことも懐かしさに一役か
っている。
昔は竹の皮が物を包むのによく使われた。祖父が釣りに持
って行くおにぎりもそうであった。今も売られ、通気性があ
り、防腐力、抗菌作用があり、電子レンジ加熱も冷凍保存も
出来る優れもので、粽、羊羹、蒲鉾などの包装に使われてい
るのを時々見る。(H)

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