ほの白い春の空に目を遊ばせていたのだろうか。お祭りとわかる音が何処からか聞こえてくる。そして、虚空に細く伸びた梢のわずかな揺れに鈴の音を見たのだ。「見た」という言い方はおかしいかもしれないがそう思った。農耕のはじめにあたって作神を迎え五穀の豊穰を祈り、疫病などを祓うための春祭の季語が「さあ農作業も始まるよ。春ですよ」と、まだ固い蕾に春を知らせる呼鈴のようだ。春祭りの賑わいを確かな春の前提として、「とどく」までの大きな空間には懐かしさも含まれているようで、梢の尖った形状までも優しく感じられるから不思議だ。(H)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます