「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

悠久の多賀の碑にて昼寝 塗 守

2020-07-18 03:26:10 | 日記
悠久という長い時間と、昼寝という束の間の取合せに国の文化財。俳聖、松尾芭蕉が「おくの細道」で、旅の苦労も忘れて感激の涙が落ちるばかりであったと、その文章を結んだ多賀城の「壺の碑」。「昼寝」という「身体」であじわう季語がユーモラスに働いて、これも俳諧味のひとつ。一読、少しビックリしたが俳人のたくみな計算。「にて」が、自然さえも変化し永遠のものではないけれど、その中に在って、ここには確かに人々が生きた証があることを感じられる詠みになっている。(博子)