「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

満月や嬰の口より乳溢れ 成田一子 「滝」10月号<瀬音集>

2013-10-14 04:36:50 | 日記
 出産を無事すませた若い母親の豊満な乳房から、乳が勢
いよく噴出す。昔のわが身を思い出し乳房のあたりに、こ
そばゆいような感覚が走った。初産で乳の出が良すぎるの
に、赤ん坊にそれを飲む力がなく、退院後三日目には乳房
炎を起し手術した。勢いが良すぎる母乳にむせ、鼻からま
で溢れるものだから母乳嫌いになり、それを直すのが大変
だった。そこまでゆかなくとも、乳足りて、こくりと眠り
に落ちる赤ちゃんの口から乳が溢れている光景はよく目に
する。子育ての幸せな一場面である。窓にかかる満月が、
この子の行く末を暗示しているようだ。(加藤信子)