「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

まどろめる馬を過ぎたる夏の月 菅原鬨也 「滝」8月号<飛沫抄>

2013-08-17 04:15:15 | 日記
 まどろめる馬はどんな馬であろう。流鏑馬の馬、ばん馬な
どではない。やはり優美にして聡明、勇敢な競走馬サラブレ
ッドだと思いたい。馬は受けた恩を決して忘れず倍返しにす
るという。夏はどの厩舎も放牧に出す。秋になれば、菊花賞、
天皇賞・・・有馬記念までGⅠのレースが目白押し。それら
に備えて名だたる馬には保養をさせるのだ。北海道日高の涼
しい牧場で馬たちは英気を養う。磨きあげられたヴェルヴェ
ットのような美しい体躯。馬はライオンのように寝そべった
りはしない。立ったまま眠る。そんな馬たちを夏の月が煌々
と照らしながら東から西へと過ぎてゆく。時おり海風にそよ
ぐたてがみが見えるような詩情溢れる句。(あいざわ静子)