ウエイン・ショーターのリーダー・アルバムがブルーノートよりリリースされた。ブルーノートからは43年ぶりだそうで、その43年前のアルバム「Odysey of Iska」を当時LPで買っていてついこの間、ひっぱりだしたばかりです。
その後はウエザー・リポートが大好きだったから親しんでいたけれど、ある時期からショーターなんだか呪文をとなえるようで、あまり親しみを感じなくなりました。
43年ぶりのブルーノート、今年の注目盤であることも間違いないし、これは聴かないわけにはいかない。
1曲目、強烈なスタート、硬質なピアノに、ベースも強い、輪をかけてドラムスが激しい、ここ10年同メンバーのカルテットがいかにプレーを作り上げるか十二分に完成度を上げた演奏です。
2曲目ミステリアスなバックのアンサンブルのなかゆったりとしたテナーの響き。
3曲目、このグループ、メンバーのテンションが尋常ではない、ショーターが吹きたいように吹くと、横で何をするのか、どう加わるか凄い真剣勝負になっています。
マイルスのあのクインテット、トニー・ウイリアムスやハンコック、ショーター自身がやっていたのと同じことが起こっているのです。マイルスを経験しているショーターならではのリーダー法みたいです。
5曲目、すごいテンションのフレーズなのに、これがとても聞きやすい。前は呪文とかお経みたいに感じていたショーターのフレーズは、吹きたいように吹いてそれがそのまま素直に伝わってきます。
吹きたいように吹いているフレーズが、それが高僧の解りやすい説法のように説得してくるのです。だからメンバーが真剣に動くのでしょうね。
6曲目は管のアンサンブルが加わって、編曲部分とインプロ部分がダイナミックに交差した賛歌、ウィエザー・リポートのハーモニーなんか使ったウエザー参加、でもブルーノートだから題名はペガサスで空を駆けるって感じです。
ブルーノート、このアルバムをどのようにして作ったのか、どれほどのテープから落としたのかわかりませんが、ブルーノートとして凄い力作になりました。
WITHOUT A NET / WAYNE SHORTER
Wayne Shorter (ts,ss)
Danilo Perez (p)
John Pattitucci (b)
Brian Blade (ds)
The Imani Winds (#6)
1. Orbits
2. Starry Night
3. S. S. Golden Mean
4. Plaza Real
5. Myrrh
6. Pegasus
7. Flying Down to Rio
8. Zero Gravity to the 10th Power
9. (The Notes) Unidentified Flying Objects