日本のミュージシャンのJAZZLPをあまり持っていない。発売された時にお小遣いが足りないので買えないまま、そのことが残念で、引っかかっていたアルバムがあります。
それが今度、CDでリリースされました。
宮沢昭の「いわな」、それをやっとというか1969年以来43年ぶりに買えたわけでかなり嬉しい。
宮沢昭のほかのメンバーは、アメリカからもどっった佐藤充彦、それに富樫雅彦とベースの荒川康男のピアノ・トリオ。
このトリオをこのころ佐藤の母校、慶応義塾大学三田祭の教室ライブで見たのです。
佐藤允彦が「パラジウム」をだしたのが1969年3月、こんなピアノが日本にいたのかとすっごく驚いたのを覚えていますが、「いわな」が6月なのでそのあとの録音、三田祭は秋だったからその後見たのでしょう、69年のことでした。
もう一つ数奇なことは、ベースの荒川康男が、この三田祭に一緒に行った同級生の義兄になってしまったことです。
づっと欲しいと思っていたアルバム、へんな言い方ですが、日本でつくったとかブルックリンでつくったとかを超越した感のあるアルバムです。
1曲目“いわな”は長尺回しの録音を編集してLPサイズにしていたので、フェードアウトでつなぐ部分があります。(チクショー)
でもこれを聴いて、このテナー、このベース、このドラムス、日本人なのかと思うこと必至、クリポタ命の貴女にも是聞いて欲しいです。
基本的には亡くなったコルトレーンの喪失感を、日本環境で満たそうとしたアルバムのような、それがとても気持ちよい。
フェードアウトした後に再びパーカションが入ったりで、曲のながれは不安定なようですが、これも岩魚の泳ぐ姿が所々に目に入る、と思えばなかなか良い感じになります。
2曲目はよりコルトレーンのバラッドに近い始まりので、佐藤のピアノもマッコイのハーモニーを意識し、当時これを聞いたら参ること必然です。ここでは亡き富樫雅彦のドラムスが楽しい。
3曲目、ゆったりした曲は宮沢昭が得意とした美しいテナーのバラッド、今でもまったく色あせない、そう、年が暮れていく今みたいな感じ、曲名は“あゆ”です。
4曲目、コルトレーンライクな、当時、日本でこうプレーしたら回りは驚いた、と言うことで私は宮沢昭を覚えているのです。
BULL TROUT / MIYAZAWA AKIRA
宮沢昭(ts , per)
佐藤允彦(p , per)
荒川康男(b , per)
富樫雅彦(ds , per)
瀬上養之助(per)
1 いわな BULL TROUT
2 河ます BROWN TROUT
3 あゆ AYU
4 ます RAINBOW TROUT