JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

何処に置いたらいいか解らない LEUCOCYTE / e.s.t

2008-09-09 22:45:52 | 聞いてますCDいいと思う


svenssonが事故で亡くなったことは大きな衝撃をファンに残していて、行き場がないようなところに、このアルバムが発売されました。

もちろんファンだった者として,置手紙を見るように購入しましたが、微妙な感じです。

事故や自殺など、突然亡くなった人に対して、取り残されたような、無視された怒りの感情が人には生じることがあります。その空白感のなかに、最新のアルバムが発売されて、その生生しさに戸惑いを感じるのです。

1曲目の“DECADE”最初の1分17秒のピアノソロをしっかりと、思い出として聴く始まりです。
2曲目エフェクト音が入りますが、結構好きな曲調です。最近のe.s.tの演奏の方向を進めた演奏で、密度の濃いインタープレーが白熱しています。
2007年1月録音で2008年3月Masteredのアルバムで、その日を確認することがとても寂しく感じるます。
電気処理とサウンドの激しさから私は少し間を置くようになっていたe.s.tですがこの1曲サウンドの質の高さを示します。生のピアノに微妙にエフェクトを入れて幻想的なサウンドにしあげてしまう上手さは素晴らしい、ベースラインはプログレが見えますし、ドラムスも気持ちよい切れ具合です。
そしてこのあたりからe.s.t.の新しい目標が感じられます。
3曲目も静かな曲想のエフェクト音に生ピアノが被さってって、そこのスベイソンのピアノ音が独特の魅力で、この音の出し方とフレーズが失われたのだと思うと喪失感が襲います。
4曲目題名は“JAZZ”ですが出だし電子音、それがアコーステックなベースとピアノにすぐ変って、このグループの4ビートに対する回帰を意識した演奏でしょうか。
それは、すべてが語られたわけでなく、私としてはもう少し続けて演奏して欲しかった演奏になりました。
5曲目ではエフェクトサウンドの静かな響きが私は好きです。これまでのe.s.t.サウンドがエフェクトを使いながらも、各楽器のパートを主にしていたようにおもいますが、この曲などはサウンドそのものを主体にしたtotalな音作りに比重が移ったような気がします。
ベース、ドラムスのすべての兼ね合いを超えてこのような演奏があるのかと思う曲になりました。
6曲目はピアノの美しい響きを楽しむ短いソロ。
そして7曲目、アルバムタイトル曲となった“LEUCOCYTE”になります。
プログラミングの声とか入った、緊迫したリズムにエフェクト処理したピアノはe.s.t.のまさに今の世界があります。しかしこの苦しそうな声、スヴェソンの悲劇的な死と重なってとても辛い。最後に昇華するような楽曲ですが、これは聴きたくない。封印です。

前作に比較してこの一連の曲は、とても意識的な方向性を持った演奏です。
ただ悲劇を経過した、次がありえない作品は、どのように置いたらいいか解らないところがあります。

唐突ですが、ジョン・コルトレーンが亡くなった後に出た“エクスプレッション”というアルバムを思い浮かべます。
1967年7月17日に亡くなったコルトレーンが最後に残したアルバムです。
なくなる前の春に残したアルバムは記憶では9月ごろ販売されました。
突然に残されたアルバムでは、コルトレーンの新しい挑戦の雰囲気があり、残されたファンには次への期待が残ったアルバムですが、次はありませんでした。

このスベィソンは新たな面を表示したアルバム、ところがこれから先がありえない状態では、このアルバムを落ち着かせる先が今は解りません。
数年経って落ち着いた心が決めるような気がします。


LEUCOCYTE / e.s.t

Esbjorn svensson(p)
Dan Berglund(b)
Magnus Ostrom(ds)

1 Decade
2 Premonition - Earth
3 Premonition - Contorted
4 Jazz
5 Still
6 Ajar
7 Leucocyte - Ab Initio
8 Leucocyte - Ad Interim
9 Leucocyte - Ad Mortem
10 Leucocyte - Ad Infinitum







コメント (4)
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