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太宰治とたばこ(その10)最終回

2015年02月18日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
「読んでおきたいベスト集!『太宰治』」その10は、ついに最終回で、主人公と悪友の堀木が言葉遊びをしている場面です。そういえば、似たよう遊びが、タモリさんの「笑っていいとも」のコーナーにありましたね。今回、太宰治氏の作品を再読し、つくづく思ったのは「太宰治は、村上春樹なんて、はるかに及ばないほど素晴らしかった!」という事です。

『人間失格』-5(end)

579ページ
自分たちはその時、喜劇名詞、悲劇名詞の当てっこをはじめました。これは、自分の発明した遊戯で、名詞には、すべて男性名詞、女性名詞、中性名詞などの別があるけれども、それと同時に、喜劇名詞、悲劇名詞の区別があってしかるべきだ、たとえば、汽船と汽車はいずれも悲劇名詞で、市電とバスは、いずれも悲劇名詞、なぜそうなのか、それのわからぬ者は芸術を談ずるに足らん、喜劇に一個でも悲劇名詞をさしはさんでいる劇作家は、すでにそれだけで落第、悲劇の場合もまたしかり、といったようなわけなのでした。
「いいかい?煙草は?」
と自分が問います。
「トラ。(悲劇の略)」
と堀木が現下に答えます。
「薬は?」
「粉薬かい?。丸薬かい?」
「注射」
「トラ」
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