息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

風の中のポリー

2013-04-06 10:28:50 | 著者名 あ行
ルイザ・メイ・オルコット 著

「美しいポリー」の続編で「昔気質の一少女」「谷間の白百合」という書名でも知られている。
ただ私自身何も知らず、本書を読んでしまったが、特に問題なかった。

オルコットの得意とする信心深く慎ましい少女が主人公だ。
田舎の牧師の娘として育った美しく聡明なポリーは、都会へ出て仕事に就くことになる。
彼女は音楽教師として自立を目指したのだ。

6年前の冬、ポリーは裕福な友人・ファニーの招待を受け、彼女の家で過ごした。
見たことがない都会の華やかさ、煌くようなドレス、社交界。
ポリーにとってそれは大きな刺激であったし、その楽しみを堪能する一方で
自分をみすぼらしく感じたこともあった。
それでも彼女は自分を見失うことなく、今度は生きていく場所として街を選ぶ。

ファニーは相変わらず華やかで享楽的な日々を過ごし、ポリーのことも誘う。
しかしポリーは自分の立ち位置を揺るがすことなく良き友として彼女と付き合う。
もちろんかつてファニー一家の招待客であったときは、それなりに遇してくれた人たちが、
使用人として接してくることに戸惑ったり、おしゃれをしたい気持ちが募ったりする。

そこにファニー一家の破産という大変な事件が起こる。
大きな変化に皆が右往左往し、ファニーは何をする術も知らない。
しかし、ポリーだけは何も変わらず、ただ彼らの役に立ちたいと願う。
これまでの暮らしでは有名店でオーダーする以外に衣服の調達を知らなかったファニーが、
着るものがないと悩んでいるとき、もう着られなくなった古着を新しいデザインで
リフォームするくだりなど、読んでいてうきうきする。

結局一家にとって不幸な事件は、本当に付き合う人を選別する幸運な出来事ともなった。
ポリーはやがて道楽息子を返上したファニーの弟・トムと結婚することになる。

立ち居振る舞い、教養、高い美意識、芯の強さなど、
人間として大切なものを改めて教えてくれる作品。
いかにもお金持ちという感じのバラバラな一家が、破産を機に絆を取り戻していく過程は
温かさに満ちている。
ちょっとお説教っぽいところもあるけれど、少女の心に戻って素直に読みたい。

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