息をするように本を読む

初めて読んだ本も、読み返した本も、
ジャンルも著者もおかまいなしの私的読書記録
と、なんだかだらだら日常のことなども

沙羅は和子の名を呼ぶ

2011-03-13 12:44:58 | 加納朋子
加納朋子 著

人生を振り返ると、必ず選択を求められるポイントがある。
そのときに、違う方を選んでいたらどうなっただろう、というのは誰しも考えることだ。
主人公の会社員がふと考えた過去の選択。
そのとき、いなかったはずの一人の少女に命が吹き込まれた。

沙羅は過去の恋人が生んだであろう子ども。
和子はいまの家庭で育ててきた子ども。

二人の少女に接点が生まれたことで、二つの世界が交錯し始める。

表題作のほかにもいかにも加納朋子らしい、心を打つ作品が詰め込まれている。
なかでも「フリージング・サマー」が印象的だった。
哀しみの中に詰め込まれた愛情とやさしさ。
静かに読んで、心の奥にすとんと落ちる感じだ。

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