哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

私は年齢である(週刊新潮今週号の「人間自身」)

2006-04-01 18:37:59 | 哲学
 池田晶子さんの週刊新潮連載「人間自身」今週号は、「私は年齢である」という題でした。主なところを要約しつつ抜粋します。

「人はたいてい、自分の年齢は自分にふさわしくないと感じている。自分が自分であるという自意識の側は動かないのに、年齢ばかり先に行くからだ。超時間的な意識は変わらないのに、時間的な肉体は変わる。
 一度、自分はこの年齢にふさわしい、この老いてゆく肉体そのものである、と受け入れてみてはどうか。体もふさわしく心も老いるから、老いるということは面白いのである。老いるという初めての経験にワクワクする。人生においては、あらゆることが初めての経験であるということに、今さらながら驚く。」



 前回では、「大人になれない」団塊の世代の話でしたが、今回は「老いる」ことを受け入れられない(受け入れようとしない)人々への提言のようです。老いることへの肯定的態度は、アンチエイジングの愚かさの指摘と同じようなスタンスですね。

 池田さんの文章には、肉体と精神を切り離した言い方が多いように思っていたので、年齢に同化しようとの提言には多少驚きしました。しかし、肉体も精神も若いままでいたいというような思慮の無い考えは、いつもばっさり切り捨てていますから、分別のある精神を持つためには年齢に同化したらよい、というのは、ある種、形式から実質を導くものかもしれません。年齢にふさわしい精神を持て、と。