この本の挑戦的な題名と、書いた人が大数学者という理由で気になり、本屋でパラパラと拾い読みをしたのですが、その限りではあまり読んでみようという気になりませんでした。しかし、たまたま週刊新潮今週号の「闘う時評」の福田和也氏も薦めていたし、またこの本の中で私も注目するゲーデルの不完全性定理に少し触れていたので、結局一通り読んでみました。
読後感としては、やはり期待したほどではありませんでした。大数学者に対して失礼ではありますが、国家の品格を問題にしながら、文章に品格が欠けているのではないかと正直思いました。
内容の細かいところでは、首是できる部分も若干あります。例えば「精神性を尊ぶべき」と「何かにひざまずく心(自然を畏れる)」とかは、池田晶子さんが常々言っていることです。あるいは「民主主義」や「自由・平等」の限界の話もわからないわけではありません。
しかし全体的に、日本人はどうだとか、欧米人はどうだとかのステレオタイプ的決め付け発言が多いことが気になります。さらに「論理より情緒」「武士道精神の復興」となると、ちょっと首を傾げる部分もあります。
論理ですべて解決しようとするとうまく行かないというのは仰るとおりでしょうが、少なくとも言葉も論理ですよね。この本の主張内容に単純な矛盾(もしくは説明不足?)が多くあって首尾一貫してないところが結構あります。
例えば欧米の合理的精神がイギリスの産業革命を産んだが、その論理が破綻して文明の荒廃が広がっていると言いながら、情緒が大事な理由として挙げている普遍的価値の例として、世界に尊敬されるイギリスが生んだものの例を挙げています(学問のみならず、コンピューターもジェットエンジンもレーダーもビートルズもイギリス発だ、と)。
またこの本の最後の方では、人類の当面の目標は「2度と大戦争を起こさぬこと」と言っています。であるなら、武器を携える武士道よりも、茶道のほうがずっとふさわしいと思います。
話がずれますが、かつて故後藤田元官房長官が憲法改正の論議のとき、「もし改正するなら、憲法前文に、和をもって尊しとなす、と入れてほしい」と言ったと聞きましたが、これこそ日本人らしき品格ある発言だと思いました。
さて、この本は大学での講演をもとにしているそうですが、むしろ飲み屋で酒を飲みながらの放言にふさわしいレベルです。所詮新書版の本なんてそんなものだ、と言われればそれまでですが。
読後感としては、やはり期待したほどではありませんでした。大数学者に対して失礼ではありますが、国家の品格を問題にしながら、文章に品格が欠けているのではないかと正直思いました。
内容の細かいところでは、首是できる部分も若干あります。例えば「精神性を尊ぶべき」と「何かにひざまずく心(自然を畏れる)」とかは、池田晶子さんが常々言っていることです。あるいは「民主主義」や「自由・平等」の限界の話もわからないわけではありません。
しかし全体的に、日本人はどうだとか、欧米人はどうだとかのステレオタイプ的決め付け発言が多いことが気になります。さらに「論理より情緒」「武士道精神の復興」となると、ちょっと首を傾げる部分もあります。
論理ですべて解決しようとするとうまく行かないというのは仰るとおりでしょうが、少なくとも言葉も論理ですよね。この本の主張内容に単純な矛盾(もしくは説明不足?)が多くあって首尾一貫してないところが結構あります。
例えば欧米の合理的精神がイギリスの産業革命を産んだが、その論理が破綻して文明の荒廃が広がっていると言いながら、情緒が大事な理由として挙げている普遍的価値の例として、世界に尊敬されるイギリスが生んだものの例を挙げています(学問のみならず、コンピューターもジェットエンジンもレーダーもビートルズもイギリス発だ、と)。
またこの本の最後の方では、人類の当面の目標は「2度と大戦争を起こさぬこと」と言っています。であるなら、武器を携える武士道よりも、茶道のほうがずっとふさわしいと思います。
話がずれますが、かつて故後藤田元官房長官が憲法改正の論議のとき、「もし改正するなら、憲法前文に、和をもって尊しとなす、と入れてほしい」と言ったと聞きましたが、これこそ日本人らしき品格ある発言だと思いました。
さて、この本は大学での講演をもとにしているそうですが、むしろ飲み屋で酒を飲みながらの放言にふさわしいレベルです。所詮新書版の本なんてそんなものだ、と言われればそれまでですが。