池田晶子さんが評価していた養老孟司氏の、結構真面目な内容の本である。学問的かというとそういえるのかよくわからないが、知的興奮を覚える興味深い内容である。
まず養老氏は、人間が知っている世界は脳の中だけ、と言い切る。そして脳は絶えず変化しているが、脳は自分の変化を嫌う傾向があるそうで、外の世界を固定化しようとする。それが脳化社会だという。固定化されたものは情報であり、その教義の情報が言葉である。これが心身問題の一方である心であり、脳-情報系の世界である。
心身問題のもう一方である身体において固定化されたものは遺伝子であり、それが細胞という変化する生きたシステムによって、維持存続する。この細胞-遺伝子系がもう一つの世界である。
養老氏はこの2つの世界を前提として、社会や科学を縦横無尽に論じ、人間存在というものを読み解いていていっている。この2つの世界というものを理解していないと、本の途中で「この本のはじめのほうに戻っていただきたい」と、すごろくの振り出しに戻るかのごとく指示があるので、きちんと理解して読まなければ、永久に読み終わらない。
養老氏自身が書いている通り、この本は「科学」というよりは「哲学」的な内容だが、だからこそ、池田晶子ファンには是非お薦めの本である。
まず養老氏は、人間が知っている世界は脳の中だけ、と言い切る。そして脳は絶えず変化しているが、脳は自分の変化を嫌う傾向があるそうで、外の世界を固定化しようとする。それが脳化社会だという。固定化されたものは情報であり、その教義の情報が言葉である。これが心身問題の一方である心であり、脳-情報系の世界である。
心身問題のもう一方である身体において固定化されたものは遺伝子であり、それが細胞という変化する生きたシステムによって、維持存続する。この細胞-遺伝子系がもう一つの世界である。
養老氏はこの2つの世界を前提として、社会や科学を縦横無尽に論じ、人間存在というものを読み解いていていっている。この2つの世界というものを理解していないと、本の途中で「この本のはじめのほうに戻っていただきたい」と、すごろくの振り出しに戻るかのごとく指示があるので、きちんと理解して読まなければ、永久に読み終わらない。
養老氏自身が書いている通り、この本は「科学」というよりは「哲学」的な内容だが、だからこそ、池田晶子ファンには是非お薦めの本である。