哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

日めくり池田晶子 37

2011-05-14 01:37:37 | 哲学
「日めくり池田晶子」は、しばらく間が空いてしまったが、再び適宜続けてみよう。今回は震災後に合わせて、地震関連での言葉にしようと思ったが、すでに33で取り上げていたので、死に関する別の言葉を取り上げる。今やビン・ラディン後で、再び自爆テロも増えるのではないかと言われている時勢でもある。



37 死はどこまでも観念、観念でしかないのである。


反戦という観念に殉じて死のうとした人々は、愛国という観念のために自爆して死んだ人々と、その心性としては同じである。どちらも、自分ひとりで思い込んだ観念によって、現実に対抗できると思い込んでいるのである。しかし、自分ひとりで思い込んだ観念は、自分ひとりで完結しているのだから、そんなことは無理に決まっている。現実とは、大勢の人の観念によって成立しているものだからである。生き続けて理想を現実化する努力をしようとしないあれらの人々の行動を見ると、無責任だ、信用できないと、私は感じるのである。(『41歳からの哲学』「死にたいのか、死にたくないのかー人間の盾」より)