風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

チームワーク・オブ・ザ・イヤー

2010-11-18 00:11:59 | 日々の生活
 世の中にはいろいろな賞があるもので、去年から今年にかけて注目を集め、顕著な実績を残した商品・サービスを提供したチームに贈られる「チームワーク・オブ・ザ・イヤー」の最優秀賞に、JAXAの小惑星探査機はやぶさプロジェクトチームが選ばれたそうです。
 2003年の打ち上げ後、暫く行方不明になって、久しく人々の記憶から消し去られていた「はやぶさ」が、足掛け7年60億キロもの長旅の末に帰還した今年6月以来、俄かに脚光を浴び、科学ファンのみならず、元気を失いがちな日本人に日本の科学技術の底力を思い出させて、勇気を与えてくれました。かく言う私も、なんとはないカプセルとパラシュートの現物セットを、否、むしろその記憶を、あるいはそのドラマ性を、有難く拝見したものです。そしてつい昨日になって、持ち帰ったカプセル内部で確認された微粒子がいよいよイトカワ由来の物質と判断されたことが発表され、今回の賞のダメを押したということなのでしょう。月より遠い天体地表から地表物質の回収に成功したのは世界史上初めてのことであり、日本の科学技術の快挙を素直に喜びたいと思います。
 さて、この賞を主催するのは、チームワークの重要性の認知向上と促進を目的とする団体「ロジカルチームワーク委員会」という、一見いかがわしそうな団体ですが、実はこの委員会を主催するのは、よくよく調べてみると、Webベースのグループウェア製品を中心に企業向けソフトウェアを提供するサイボウズで、そうと聞くと、ちょっと遊び心を感じさせてホッとします。そのHPを見ていて、ロジカルチームワーク5箇条なるものを見つけました(http://team-work.jp/point/)。
(1)わがままに成長しよう(自分が納得して取り組めなければ面白くない。チームは自己実現の場と捉えるべし)
(2)お互いを褒めあおう(褒めることは相手を承認すること。お互いを認め合い、本音の議論をするべし)
(3)高くステキなビジョンを掲げよう(ビジョンは数字ではなく理想の姿。成功した時の姿を具体的に描ける美しいビジョンを持つべし)
(4)その道のプロになろう(指示するものでもされるものでもなく、それぞれの役割におけるトップ集団になるべし)
(5)矛盾を壊して伝説を作ろう(それぞれの主張は時には矛盾を生む。立場を超えた本音の議論で壁を超え、ブレークスルーしたチームとして名を残すべし)
 チームワークと言いながら、仲良しこよしではなく、冷徹に個人あってのチームと認識し、先ずは個人の力を存分に発揮させようとする発想が小気味良いですね。
 因みにこの委員会がノミネートしたのは、小惑星探査機はやぶさプロジェクトチーム(JAXA)のほかに、大河ドラマ龍馬伝制作チーム(NHK)、キリンフリー商品開発チーム(キリンビール)、LED電球商品開発チーム(東芝ライテック)の計四つだったそうです。プロジェクトXのように、ビジョンの純度の高さや、そのビジョンを実行に移す戦略性よりも、その愚直なまでに徹底的な実行力こそが、成功のカギであるのでしょう。それは、事業経営上の全てのプロジェクトにも当てはまることだと、しみじみ思います。
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