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風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

選挙戦の暑い夏?

2025-07-19 10:41:54 | 時事放談

 昨日、関東甲信越でも梅雨が明けた。その宣言を待っていたかのように、昨夕から蝉が一斉に鳴き始めた。ここ一週間は初秋かと見紛うような穏やかな陽気で、快適だったが、今日は朝から陽射しが厳しい。

 明日は参議院選の投票日だ。テレビを見ない私にとって、日経新聞が主な情報源になるが、どうにも選挙戦が冴えないように思われてならない。一票は決して「重い」わけではなく、「軽い」ことくらい誰でも分かっているが、それでもチリも積もれば山となるので、投票することは民主主義国の市民として義務であることに変わりない。オーストラリアなどのように棄権すると罰金を科す国があって、日本でもそろそろそこまですることも考えなければならないかもしれない(そうすれば市民は、投票に値する政治をしろと批判の声を強められると思うのは浅はか、か?)。私はと言えば、これらのことを承知しながら、ここ15年ほど、気になる候補者がいたり政策論争もどきがあったりすれば投票所に出向くが、そうではない場合はつい足が遠ざかりがちになる。

 どうして日本の政治は(日本でも、と言うべきかもしれない)、ここまで沈滞してしまったのだろう。経済の元気がないせいか? 自民党の肩を持つつもりはないが、自民党の足を掬おうとするばかりの、立民をはじめとする野党のだらしなさのせいであり、また、局外にあって政局を追うばかりでまっとうな政策批判をしないマスコミの怠惰なせいだと思っている。

 先ず野党について。もともと自民党は左右のウィングが広く、保守を軸に、政策に幅があって、結構、リベラルなことにも手を出して、適度に所得再配分しつつ高度成長の日本を支える存在だった。かつての社会党のような左派系の野党は、これでは太刀打ちできず、敵失がない限り党勢を伸ばせない苦しい立場に置かれていた。所謂55年体制である。最近の立民や国民民主などの野党は開き直ったのか、健全な政策論争から更にほど遠く、ポピュリズムに堕している。国民の関心がそういうものだ(とは限らないのだが)と野党政治家は思い込んでいるのではないだろうか、だから国民から見透かされ、既成野党は支持を増やせていないのではないだろうか、と思わざるを得ない。それだけで終わるとすれば、政治家は使命放棄になる。何のために、生活で汲々とする市民が、政治家という専門職に高給を与えてまでして養っていると思っているのだろうか。それは市民の近視眼に半ば応えつつ、それは半ばに抑えてもいいから、その先にある国家百年の計とまでは言わないまでも、国の将来を見据えた手を打って欲しいと、市民が期待しているからだ。それは間違いなく市民にはなし得ないことで、政治の専門職にこそ期待されることなのだが、期待外れで市民は浮かばれない。

 最近の野党政治家の発言は、ツイートと同じで、言葉足らずに局所攻撃するだけで、財源の裏付けに乏しい、言わば耳に心地よい夢物語を語るばかりで、総合政策を打ち出せないから、とても政権交代に耐えられると市民に受け止めて貰えない。政治とは、理想を語りつつ現実に対処し、妥協しつつ総合するものだからだ。自民党も自民党で、減税しないと言い切ったところまでは良かったが、結局、給付金をばらまくことになった。露骨な選挙対策で、弱小・公明党のせいではないかと疑っている(勿論、選挙に弱い自民党議員の声もあっただろう)。まさに、政治家(statesman)は次の世代のことを考え、政治屋(politician)は次の選挙のことを考える・・・を地で行く現実に呆れて、諦めの境地である。

 マスコミの凋落も著しい。特に全国紙がそうで、若者は今や情報源を真偽不明のSNSに頼るようになった。そんな中でも、私は相変わらず日経を支持しているのは、英国メディアを買収して、その翻訳記事によって英国目線を紹介したり(同じアングロサクソンでも米国とは違うように感じるのは、大英帝国の面影であろうか)、調査報道に力を入れたりするなど、なかなか健闘していると思うからだ。朝日・毎日・東京の左の御三家は古色蒼然とした理念先行で読む気にならないし、読売・産経にも物足りなさを感じてしまう。

 今回の選挙戦の特徴は、保守的な弱小野党が健闘して、自民党の支持基盤を蚕食していることだろう。安倍元首相の負のレガシー、とりわけ党内野党として安倍元首相に対抗することで存在を主張していた石破政権のせいでもあろうが、自民党は、声だけは大きい野党に惑わされて、どこか自らのアイデンティティの定義を間違ってしまったのではないだろうか。ポピュリズムに逆らえず、保守らしさが薄れてしまったように思う。だからといって私は、チンピラのような弱小・保守政党を支持する気にも至らず、悩ましいところだ。

 結果として、私の思いは宙に浮いてしまい、投票場所から遠ざかる・・・などと言い訳をするつもりはない。ボヤいていないで、「軽い」とは言え「清い」一票を投じなければと、老体に鞭を打っている。

 選挙戦とは関わりなく、暑い夏になりそうだ。

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