今年になってもう3ヶ月が過ぎようとしている。今年の春は駆け足だ。明日から4月とはいえ、もう紅辛夷が咲いた。例年であれば4月中旬、桜が散るころに咲く花だ。古名で云えば、三月が弥生、4月は卯月である。弥生は草木が茂り、卯月は卯の花が咲くところからこう呼ばれた。陰暦の上のことで、季節はひと月ほど先である。晩春から初夏にかけての月である。
満月に目をみひらいて花こぶし 飯田 龍太
悠創の丘まで、雪が消えてから初めて行ってた。まだ萌えない芝生にシートを敷き、お茶やお八つで憩う家族連れが3組、春の訪れを満喫していた。高台から市街が見え、その向こうに白く雪をいただいた月山が美しく見える。左の裾野に姥ケ山が見え、ほど近くにあるのが湯殿山だ。あと2週間後に春先の雪を踏んでこの山に登る。
山の雪融けも気になるところだ。今日、みはらしの丘から見た蔵王山、刈田岳の尾根が黒く見え始めた。日が長くなると同時に、陽ざしは日に日に力強さを増し、山の雪を消して行く。山では季節は麓から這い上がる。里では咲く辛夷も、山では固い芽鱗の中でじっと気温が上がるのを待っている。木々は根の上の雪を融かし、活動を始める。日当たりの良いところでは、木の枝先が赤く色づきはじめ、芽吹きの準備が進んでいる。