常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

花見山

2017年04月15日 | 登山


計画していた湯殿山が天候不順のため、急きょ福島の花見山に変更。全山を彩る満開の桜、コブシ、紅梅など花々に酔いしれた。先ず驚いたのは人出の多さだ。満開の花を見に出かけるマイカーのために、阿武隈川畔の親水公園に、臨時駐車場ができる。その収容台数が凡そ1000台、簡易トイレを設け、クルマの誘導係が要所の配置されている。この駐車場からシャトルバスで、花見山までの送迎がある。料金500円(往復)所要時間10分ほど。

バスプールに着いて目に飛び込んでくるのが、山全体に咲く桜、麓の平地には菜の花、真紅の木瓜の花。同じ桜でもソメイヨシノのほか、トウカイザクラ、しだれ桜にハナモモの濃いピンク、レンギョウの黄色とサンシュユと白いコブシやモクレン、「色とりどりの花を混ぜて咲くさまは圧巻である。そして花を愛でる人の多さにも驚かされる。聞けば桜の季節にここを訪れる人は23万人。見ごろは10日ほどだとすると、日に2万人以上の入場者がある勘定になる。



花の写真を得意とした秋山庄太郎が、この花見山を「福島に桃源郷あり」と言って、花の季節にはここを訪れて写真を撮影したことで知られている。福島市渡利地区は、花木生産農家の集落で色々の花が栽培され、観光客の数も次第に増えている。頂上の展望台までゆっくり写真を撮り名ながら歩いても、小一時間たらず。高みからは阿武隈川の清流が望まれ、その向こうに残雪に輝く吾妻連峰、安達太良の山々が美しく見える。

あれが阿多多羅、
あの光るのが阿武隈川。

ふと、高村光太郎の『智恵子抄』の一節が、思い出される。光太郎の妻になる長沼智恵子は、この福島の酒造家に生まれ、画家として活躍してしていたのであった。



展望台の付近から、花見山の全容と、渡利の集落が見える。ここを訪れる若いカップルと祝福するように、菜の花でハートがかたどられている。花見山の頂上から、十万劫への嶺道を歩く。山頂に十万劫の由来を書いた看板がある。それによると、聖武天皇が東大寺を建立するため、僧侶を全国各地に仏教の普及と建立資金の喜捨を求めて派遣した。そのうちの一人、僧行基が陸奥の黄金を求めて、この地に難渋の旅をした。ここに一夜宿り、朝目覚めると、ここかた阿武隈川や吾妻、安達太良、霊山、蔵王などの絶景に心を打たれ、持参した地蔵尊を松の根方に安置し、永劫の地域の鎮めを祈念したのが由来であるという。

劫(ごう)とは、刹那の反対語で長い時間を言う。十万劫とはその長い時間が、十万の集まったもので、仏教で使われる言葉。山の麓に居住する人々が、日照りに雨乞いを祈念すると、必ず慈雨が降ったとの言い伝えがある。山を下りて池の辺で昼食。そこの枝垂れ桜の美しい色を愛でながら、花見の山行を終える。本日の参加者7名(うち男性3名)。


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