☆原作は連作短篇で、この門前家のエピソードも、もっとシンプルな話だったと思う。
よくもまあ、これだけ観る者を飽きさせない長篇に仕上げたと思う。
かような邦画につきものの「チープ感」はなく、舞台となる門前家の屋敷のセットを一点豪華主義でキッチリと作り上げていたので、主演の姉妹の熱演及び、二転三転する展開も手伝って、シェイクスピア的な格調高ささえも感じさせられた…、と言うのは言い過ぎか^^;
◇ ◇
主演の姉妹と、狂言回し役のおろちの三人を語っていこうと思う。
先ず、おろち。
二行前に、「狂言回し」と書いたが、実は違う。
物語は、彼女の「生き方」の不可思議をうまく利用して、彼女さえも「当事者」として、物語に深く参加させている。
この辺りに、この映画作品の作り手の工夫が見られる。
原作とはかなりかけ離れたテイストの作品になっているが、おろちがモノローグを多用しているので、それが、いかにも楳図作品チックではあった。
おろちを演じるのは、谷村美月である。
この子、本来は王道の演技派だと思う。
でも、 『魍魎の匣』、『神様のパズル』など、手足切断されたり引き篭もりの天才児だったり、なんか王道に見合った役を与えられていないね・・・。
私がはじめて彼女を知ったのは、テレビドラマ『わたしたちの教科書』だったので、とてもいいイメージだったのだが、こうまで奇矯な役ばかりなので、段々と彼女が醜く見えてきて嫌だった。
ただ、おろちが「転生」したヨシコが、門前姉妹のケンカに恐怖する様は、さすがの名演技だった。
後、丁寧に作られた作品だったけど、「転生」直後の<親子流し>のエピソードは、本筋とは関係ないのだが、もっともっと描きこんで欲しかった。
あそこが妙に「辻褄合わせ」に感じられ、物語の中でも完成度の低いエピソードだと思うのだが、でも、谷村美月のコスプレ(?)を楽しんでもらうファンサービスにも思え、また、その臭い展開が古い楳図作品チックでもあったので、認めないわけにもいかない^^;
◇ ◇
続いて、門前家の美人姉。
木村佳乃がぶちかました演技を見せてくれる。
この方は、完全に王道の女優で、名取裕子的な風格があり、私の好みの方ではないのだが、そのノリノリの演技は楽しんだ。
この作品は、あまり画一化されていないが、主要登場人物の着衣のキャラクター色がある。
おろちは赤、門前姉の木村佳乃は緑、門前妹の中越典子は青である。
三原色である。
◇ ◇
なかなかゴージャスに作られた『おろち』であるが、中越典子だけは、二人の王道女優に挟まれて、その線の細さもあって、チープ感がある。
でも、それ故に、私には魅力が感じられた。
門前妹の子役を演じた少女も、可愛かったね^^
中越典子は、物語の中盤、木村佳乃に虐待され続ける。
それが、SM的で少し良かった。
顔に青痣をこさえても、耐え続ける門前妹・・・。
中越典子の、華奢で、やや繊細そうな面立ちは、いかにもMっぽい。
・・・クライマックスで、その門前妹が長い高笑いをするのだが、それまでの展開があったので、その名演技は最高潮に活きた。
◇ ◇
初日だが、お客さんは少なかった。
でも、見逃すには惜しい作品だと思う。
(2008/09/20)
よくもまあ、これだけ観る者を飽きさせない長篇に仕上げたと思う。
かような邦画につきものの「チープ感」はなく、舞台となる門前家の屋敷のセットを一点豪華主義でキッチリと作り上げていたので、主演の姉妹の熱演及び、二転三転する展開も手伝って、シェイクスピア的な格調高ささえも感じさせられた…、と言うのは言い過ぎか^^;
◇ ◇
主演の姉妹と、狂言回し役のおろちの三人を語っていこうと思う。
先ず、おろち。
二行前に、「狂言回し」と書いたが、実は違う。
物語は、彼女の「生き方」の不可思議をうまく利用して、彼女さえも「当事者」として、物語に深く参加させている。
この辺りに、この映画作品の作り手の工夫が見られる。
原作とはかなりかけ離れたテイストの作品になっているが、おろちがモノローグを多用しているので、それが、いかにも楳図作品チックではあった。
おろちを演じるのは、谷村美月である。
この子、本来は王道の演技派だと思う。
でも、 『魍魎の匣』、『神様のパズル』など、手足切断されたり引き篭もりの天才児だったり、なんか王道に見合った役を与えられていないね・・・。
私がはじめて彼女を知ったのは、テレビドラマ『わたしたちの教科書』だったので、とてもいいイメージだったのだが、こうまで奇矯な役ばかりなので、段々と彼女が醜く見えてきて嫌だった。
ただ、おろちが「転生」したヨシコが、門前姉妹のケンカに恐怖する様は、さすがの名演技だった。
後、丁寧に作られた作品だったけど、「転生」直後の<親子流し>のエピソードは、本筋とは関係ないのだが、もっともっと描きこんで欲しかった。
あそこが妙に「辻褄合わせ」に感じられ、物語の中でも完成度の低いエピソードだと思うのだが、でも、谷村美月のコスプレ(?)を楽しんでもらうファンサービスにも思え、また、その臭い展開が古い楳図作品チックでもあったので、認めないわけにもいかない^^;
◇ ◇
続いて、門前家の美人姉。
木村佳乃がぶちかました演技を見せてくれる。
この方は、完全に王道の女優で、名取裕子的な風格があり、私の好みの方ではないのだが、そのノリノリの演技は楽しんだ。
この作品は、あまり画一化されていないが、主要登場人物の着衣のキャラクター色がある。
おろちは赤、門前姉の木村佳乃は緑、門前妹の中越典子は青である。
三原色である。
◇ ◇
なかなかゴージャスに作られた『おろち』であるが、中越典子だけは、二人の王道女優に挟まれて、その線の細さもあって、チープ感がある。
でも、それ故に、私には魅力が感じられた。
門前妹の子役を演じた少女も、可愛かったね^^
中越典子は、物語の中盤、木村佳乃に虐待され続ける。
それが、SM的で少し良かった。
顔に青痣をこさえても、耐え続ける門前妹・・・。
中越典子の、華奢で、やや繊細そうな面立ちは、いかにもMっぽい。
・・・クライマックスで、その門前妹が長い高笑いをするのだが、それまでの展開があったので、その名演技は最高潮に活きた。
◇ ◇
初日だが、お客さんは少なかった。
でも、見逃すには惜しい作品だと思う。
(2008/09/20)